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播磨陰陽師の独り言・第二百五十四話「霊的食物連鎖」
人間は霊長類です。霊的な存在の中の長であると言う意味です。ただし、肉体を持って霊を宿しているものに限られています。
肉体を持たないものまで含めると、人間の立場は低くなります。霊的な食物連鎖があるとすれぼ、その底辺に属するのが人間なのです。人は、霊的なものに狩られる立場でしかありません。
人間を狩る連中には様々な種類があります。やつらは基本的には、人間に限らず、霊的なものなら何でも狩る存在です。それは生きているものが、他のものの肉体を殺して食べることに似ています。肉食獣は必ず他の生き物の肉体を食べて、消化吸収します。霊的なものもそれと同じで、他のものの魂を食べて、消化吸収し、自らのエネルギー源にしています。
このルールでは、やはり生き物と同じように、より小さな霊的なものが、大きな霊的なものに食べられるのです。
たとえば、人魂を専門に食べるものがいます。食べると言っても、食べ尽くす訳ではありません。せいぜい半分くらいまで食べると、それで済んでしまいます。
しかし、生き物の魂を食べる場合には、全部食べてしまうこともあります。虫の魂なんかを食べる時、そのサイズが小さすぎて、つい、全部食べてしまいます。これがネズミくらいの大きさの生き物だったら、半分くらいしか食べられません。
肉体のあるものは食べると消化されますが、魂は直接、消化されずにそのまま吸収されます。取り込むと言うのが正しい表現かも知れません。
他のものの魂を取り込む連中には、化け物・妖怪・魑魅魍魎・怪物・お化けなど様々な呼び方があります。基本的には〈化け物〉だけです。あとの呼び名は〈化け物〉に属するものの種類の呼び分けなどです。
すべての生き物は、呼吸することによって魂が入れ替わります。生まれてから最初の呼吸で肉体に魂が宿り、最後のひと息で肉体から魂が出て行きます。最初の呼吸をしなければ、魂は宿らないため、いわゆる水子は呼吸をする前に堕ろされるので、魂は宿らないことになりますが……。
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