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播磨陰陽師の独り言・第二百四十八話「パラレルワールド」

 世の中にはパラレルワールドがあると言う人々がいます。パラレルワールドとは〈並行宇宙〉と訳されています。並行宇宙なので、今、われわれがいるのとは別な世界で、しかも、ソックリですが微妙に違う世界らしいです。大きな違いは、文字の読み方や、言葉が違うそうです。景色も微妙に違うそうです。
 YouTubeなどでは、たくさん関連動画があります。しかし、私はパラレルワールドについては懐疑的です。なぜかと申しますと、古い資料にないからです。聞いたこともありません。パラレルワールドに違いものとしては〈異界〉があります。しかし、異界はパラレルワールドの特徴とは違った世界です。異界で話される言葉は、基本的には日本語の古語です。知らない単語も含まれているので、聞いていても分からない表現もあります。しかし、日本語なのです。
 一方、パラレルワールドでは、日本語のようで少し違う妙な言葉を使っています。文字も日本語の文字を配列を変えて使っていて、看板などは読み方も分からず、意味も分からないそうです。
 異界の文字は日本語のフォントとは別な系統なので、誰が見てもまったく読めません。
 異界は、こちらの世界の並行的な世界ではなく、異界のものが棲む世界です。魔物や天狗が棲んでいるとも言われる世界です。
 パラレルワールドには化け物のような何かはいるようですが、ハッキリ魔物だと言えるものや、天狗の類はいないようです。
 天狗は見ても分からないようです。普通の人の目には古風な人々にしか見えないかも知れません。見方によってはアイヌの人々のように見えると言います。
 YouTubeで配信されているパラレルワールド関連の映像を見ましたが、ほとんどが勘違いか、作り物です。パラレルワールドから持って来た証拠品と呼ばれる物たちも、結局、作り物でした。中には、
——発行されていない筈の十万円硬貨がパラレルワールドから持ち込まれた。
 と言うものまでありました。しかし、これも偽物でした。パラレルワールドの証拠品が偽物ばかりである限り、信じることは出来ません。
 異界での時間は、こちらの世界の流れ方とは違っています。異界に入って出ると、現実世界では一週間くらい経過していることも珍しくはありません。それが異界と言うものです。

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