播磨陰陽師の独り言・第百七十六話「北海道にしかない食べ物」
北海道にしかないと言うのを知らなかったチープな食べ物のひとつに、〈大甞飴〉と呼ばれるお菓子があります。
このお菓子は、北海道でしか売られておらず、しかも冬限定のお菓子です。子供の頃によく食べました。あの頃は普通に買えたので、どこでも売っていると思い込んでいました。大正4年から売られているので昔からあるお菓子です。冬に限定されるのは溶けやすいからでしょうか? 噛まずに舐めながら食べます。
飴の中に少しゴマが入っていて……食べていると不思議な感じがします。
同じメーカーから『きびだんご』も売られています。こちらも北海道にしかないようです。
これは、丸くない、
「どこが、お団子なんだ?」
と首を傾げてしまいたくなるようなお菓子です。
子供の頃には、普通に食べていたので、
「桃太郎は、これを持って鬼退治に行った」
と思い込んでいたくらいです。
きびだんごは、丸いお団子の形ではなく、細長い長方形のお菓子です。こんなのを桃太郎からもらったキジは、
——いったい、どうゃって食べたのだろう?
とか、不思議に思っていました。
そう言えば、袋麺の〈ホンコンやききそば〉も北海道限定だったような気がします。調べて見ると1964年から全国で販売されていたそうですが、売れなかったので今は地域が限定されているそうです。北海道の他には、宮崎県と大分県の一部でしか売られていません。インターネットでは買えるようです。ネットでは何でも買えるので便利ですね。しっかし、なぜこの〈ホンコンやきそば〉が北海道で好まれるのかは分からないそうです。他の地域では、ほとんど売れないようですので、不思議としか言いようもありません。
そう言えば、弟が東京の大学に行っていた頃、
「ホンコンやきそばは、東京にはないから」
と言っていて、よく母が荷物と一緒に送っていました。ずっと食べたいとも思いませんでしたが、ふと、
——美味しかったな、あれ。
とか思い出して食べたい物リストに追加しました。
さて、こちらはチープな食べ物ではないですが、帯広市内の六花亭本店の喫茶コーナーに、イチゴソースをかけて食べるショートケーキがあります。あのケーキは六花亭の本店限定で、他のお店にはなかったような気がします。
田舎は寒くて淋しいこともあり、あまり良い思い出もないため、
——北海道に帰りたい。
と思うことはありませんが、あのケーキだけは、もう一度、食べてみたいなぁ。
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