見出し画像

播磨陰陽師の独り言・第百九話「アイスホッケーの靴」

 子供の頃はアイスホッケーをしていました。十勝平野に生まれた人なら誰でもアイスホッケーはしている筈です。と言うのは、中学校の体育の冬場の授業はアイスホッケーだったからです。
 小学生の頃はスピードスケートをさせられます。人によっては幼稚園からスケートをすることもあります。
 中学生になると、女子はフィギュアスケートを、男子はアイスホッケーのスケート靴を買わされて体育の授業に出るのです。もちろん、ヘルメットやプロテクターも買っています。スティックは、普通の選手とゴールキーパーの物は形が違います。
 冬季オリンピックがあるとホッケーの試合ばかりを見ていました。
 私は市内のスポーツ少年団に入っていました。その時はアイスホッケー部でした。アイスホッケーは嫌いではありませんが、試合よりホッケー靴を履いてリンクを滑る方に興味がありました。皮のゴツゴツしたアイスホッケーの靴は、よく滑る氷の上でも程良い安心感がありました。
 あの頃はまだセミスピードの靴がなかったので、スケートと言えばスピードか、フィギュアか、ホッケーのことでした。
 滑って行く内にスケートの刃が磨り減ってエッジが効かなくなります。そんな時は夏場に包丁研ぎをしているお店に研ぎに出します。
 その手のお店は冬場は、
〈スケート研ぎます〉
 と言う看板を出していて、スケート靴を研いでくれるのです。スケート靴は左右を専用の金具で固定し砥石で研ぎます。今の私なら包丁も研げるので、ホッケー靴の刃も研げるかも知れません。しかし、子供の頃は包丁も、ましてやスケート靴を自分で研ぐなど思いもよらないことでした。
 毎年、秋の終わりにホッケーの靴を研ぎに出して返って来た靴の革を手入れしていると、
「あぁ、また、スケートの季節だなぁ」
 と、冬の到来を感じるのでした。

  *  *  *


いいなと思ったら応援しよう!