演劇制作者が知っておきたいエクセルの基礎知識(データベース篇)
ここは、小~中劇場規模の舞台公演(主に演劇)で制作やチケット管理業務をしてきた私が培ってきた事を綴るnoteです。
このささやかな知識で制作者の生産性が少しでも向上されれば幸いです。
今回はデータベースとしてエクセルを活用するための基礎知識です。
データベースといっても難しい話が出来る訳ではありません。
ただエクセルのファイルを作成する際に、この考え方を少し意識するだけでぐっと使いやすいファイルが出来ると思います。
エクセルは方眼紙ではありません。
これはもう・・・本当にすべての演劇関係者にわかってほしいです。
マス目に入力する四則演算できるWord-- くらいの感覚で作成されているファイルが本当に多いです。
もちろん、最大限に活用されている方もいらっしゃいますが、劇場や助成金の申請書類や主催者仕様の精算書など、いまだにプリントアウトして紙になる事しか想定されていないのでは??と疑いたくなります。
提出した後の処理をどうしているのか、ものすごく気になります。(誰かご存じの方、教えて下さい)
確かに印刷文書を作成するうえで、レイアウトを整えやすいエクセルではありますが、むしろ、
簡単にデータベースを作成できるAccess-- と思って作成して頂ければと思います。
どういう事かと申しますと・・・
DMや招待の名簿を扱っている方は分かりやすいと思いますが、その名簿自体を印刷する事などはあまりないかと思います。
むしろ郵送用に宛名ラベルを作成したり、チケットの申し込みを受ける際に番号で検索したりと、入力した名簿を基にして様々な業務を行っているのではないでしょうか。
これは入力したシートだけで完結せずに、入力した情報をデータベースとして活用している事になります。
ラベルの書式にそのまま住所や名前を打ち込んで、印刷する人はいませんよね。だって、そんな事をしたら入力したデータはラベル作成以外の事に使えないのですから。
経費精算書や稽古スケジュールや関係者の連絡先も・・エクセルで作成しようとしているその書類、まずはすべて同じ考え方で管理してみませんか。
※もちろん、レイアウトだけを考えてエクセルで作成する書類はあります!
香盤表やテキレジ一覧などはプリントアウトした時の見やすさ重視で作成するのがよいかと思います。
データベースとして活用するために
データベースとして活用するために大事な事は、
・一つのデータは一行に
・セルの結合をしない
・行や列を空けない
・シートは分けない
です。
・一つのデータは一行に
データベースの原則は、一つの行に一つのデータです。
例えば関係者の連絡表。
印刷する際に見やすいかもしれませんが、これだと[鈴木花子]の情報がどこにあるのかエクセルは認識してくれません。
どんなに長くなっても一人のデータは一行にまとめます。
印刷したい場合は、別のシートに印刷用のレイアウトを作成すればよいのです。関数を使えば簡単に転記できます。(そもそも連絡表を印刷する事など今はないかもしれませんが・・)
・セルの結合をしない
例えばチケットの営業先からとりまとめとして左図のようなデータが送られてくることがよくあります。
人には見やすいかもしれませんが、これでは3行目が[1月1日(木)19時]の枚数を表示しているとエクセルは認識してくれません。
右図のようになっていないと、納品書や請求書、日報週報を作成する事がしづらいです。
・行や列を空けない
例えば、とある助成金の申請書
費目ごとにわかれていて見やすいように思われますが、集計がとてもしづらい表です。一つ一つ合計のセルを目視で拾っていかなければいけません。
このように全て繋げていれば、費目でも項目でも支払先でも、関数やピボットテーブルを使用して好きなように集計が出来ます。
また見た目だけを考えて空白の列を作ると
A~DとF~Gは同じデータと認識されません。違う表だとエクセルに思われてしまいます。必ず列も一繋ぎになるようにして下さい。
どうしてもそうしなければならない場合は、タイトル行(ここではE1)に何か文字(ハイフンetc)をいれて表が分断されないようにして下さい。
・シートは分けない
チケット予約管理でステージごとにシートを分けている方に何回か会った事があります。
その日の申し込みだけが確認できる表ではありましたが、これもデータベースとして活用できていないケースです。
「あのお客様いついらっしゃるんだっけ?」
と聞かれた時、1枚ずつシートを確認する必要があります。
「まとめて請求書を発行してほしいんだけど、私扱い今何枚くらいになってる?」
と聞かれた時、これもそれぞれのシートを確認して集計していかなければいけません。
検索や集計、変更をする際に、1枚のシートになっていた方が圧倒的に効率が良いです。(関数やVBAを利用すればシートが分かれていても簡単に出来る方法もありますが、それが出来る方はこのnote必要ありません・・)
如何でしたでしょうか。
本当は一度Accessなどを使ってみると、データベースの概念を理解しやすいのですが(私はたまたま数千人規模の有料会員組織の管理をする必要に迫られて使用していました)、演劇制作者には中々使用する機会はないかと思いますので、まずは騙されたと思ってエクセルで上記の事を試してみて下さい。
慣れてくるときっと一つ一つの作業が楽になり、ミスも少なくなると思います。
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