大和シティー・バレエSUMMER CONCERT 2023 想像 × 創造 Vol.4『 Giselle 』
ジゼル、一幕をコンテで再解釈し、二幕をお馴染みの古典で締めるという試み。コンテは木村優里さん、クラシックは菅井円加さんという配役が素晴らしい。
二幕は言うまでもなく素晴らしい円加さんの演技であったが、一幕は見るに耐えないといった感想。一幕の感想は後半に記述。
第二幕 クラシック
ジゼル:菅井円加
アルブレヒト:清水凌
ミルタ:古尾谷莉奈
ヒラリオン:木下嘉人
キトリがハマり役といえる円加さんがジゼルになれるのか、その興味からチケットを取ったと言っても過言ではないが、なんと円加さんは確かにジゼルでそこに新たな表現を観てとれた。
ふわりと浮いて翻る円加さんは確かにジゼルであり、その上に彼女の音取りの癖と芯の強さが彼女ならではのジゼル像を形作っているようであった。
大好きな円加さんのグランジュテを何回も観れて嬉しい。そしてただのパドブレに何度も心を奪われた。
ファンの木下さんはヒラリオンが似合いすぎてて笑ってしまった。これは確かに褒め言葉。頑張ってほしい人。
ヤマトシティバレエの古尾谷さんは素敵だった。
第一幕 コンテ
ジゼル:木村優里
アルブレヒト:佐藤洋介
バチルド:本島美和
ヒラリオン:林田海里
古典の音楽にあわせたコンテは酷く戯曲的。脱調和を志向するのがコンテであるのに、それが調和的(そしてジゼルにおいては酷く平和的な)音楽の中でそれを表現しようとしている。身体表現を誇張したもの、それのみとしてコンテを捉えているのか。表層的心理の身体的誇張はまるでおもちゃたちの踊りのようである。
ジゼルの解釈も酷いもの。俗な四角関係の話としてしか描かれていない。ジゼルの根底にある、ジゼルの唯一性、身体的虚弱、身分格差への抵抗、それら全てを消し去っている。
それでいてそんなありふれた四角関係を大勢のキャストで飾り立てることで満足している。ディズニーのショーのような平易さ。
素晴らしかったのは、木村さんの表情による表現力と本島さんの背中。木村さんはいつからこんな演技派になったんだろう。素晴らしい。