【麻雀時事】あるノーレート麻雀店の値上げ報告を受けて。麻雀研究者にできることは?【雀荘経営論】
皆さんこんばんは。山本夏蓮です。
私が「麻雀論」という新分野を創設しようというお話をしてから1日経ちました。私が麻雀の健全化をさらに促進したいという想いを抱いていることは皆さんもご理解いただけたと思います。
しかし、その裏で、高田馬場にあるノーレートフリー麻雀店のMLスタジアムさんがとある1つの声明を出されました。
内容を読み上げさせていただきたいと思います。
(一部省略させていただきまして)
少し前にはベルバードさんが成績管理費として1日200円を徴収するという値上げ措置を行ったということもありました。麻雀の健全化、則ち「麻雀が青少年の健全な育成に資する」というアピールのためには、ノーレート雀荘の増加とそれに伴うオンレート雀荘の相対的な割合の減少が不可欠ですが、どうもノーレート雀荘を取り巻く状況はあまりいいものとは言えないということが分かります。ノーレート雀荘の経営健全化および新規事業の支援のため、我々研究者にできることはないのでしょうか。
この【麻雀時事】は卒業論文で麻雀研究をしようとする学生さんに向けても発信しておりますから、できる限り基本的なことも説明しようと思っていますが、何か特定の状況を改善しようと思ったら、その結果を導く原因を特定し、それに対する改善方法を検討していくという流れが基本になります。
しかし当然のことながら、我々麻雀研究者はMLスタジアムさんの「1ゲームあたりの平均時間が想定以上にかかっている」ため値上げせざるを得ない状況になったというのを無条件に信用するわけにはいきません。
1ゲームあたりの平均時間が想定以上にかかっているということは、以前まではそれで運営できていたわけですから、以前と比べて時間がかかるようになったという状況だと解釈できます。実際、Xでは「客が打つのが遅いせいであり、値上げは客のせいってことか」といったような反応も見られました。
しかし、客の打牌速度が経営を圧迫した原因であると証明するためには、まず、一定期間以前の1ゲームあたりの平均所要時間から現在までの1ゲームあたりの平均所要時間の推移をデータとして取り、同じ期間の利益のデータを用意し、相関係数分析を行う必要があります。
そして相関係数分析の結果、統計的に有意であると証明できれば、次に単回帰分析を行います。その単回帰分析の結果、統計的に有意であると証明できてはじめて、我々研究者、もっと限定すると、【雀荘経営論】の世界では2つに因果関係があったと示せるわけです。
しかし、MLスタジアムさんが単回帰分析を行った結果(他にも要因があると考えておられるようなので、重回帰分析かもしれませんが)、いずれにせよ分析を行った結果、どの程度統計的に有意であったか我々に確かめる手段はありませんし、一般に大企業であればあるほど経営分析をきちんと行う傾向にありますから、今回の場合は主観で記述している可能性もあります。
すると、我々研究者としては、「以前と比べて客の打牌が遅いから値上げが起こったんだ」と決めつけることはできません。お店の状況には一番詳しいのはお店だから信用していいのではないかという皆さんの疑問も最もですが、だからといってそれを鵜呑みにし、仮説を構築するのは科学的ではないということです。
そうなると、まずは原因を特定するための研究が必要になります。ノーレート雀荘の経営状況が苦しいのは何故なのか。このテーマについて様々なノーレート雀荘を取り巻く事実を洗い出し、仮説を構築していきます。勿論、その中には「1ゲームあたりの平均時間」に関するデータを自身が実際に雀荘に足を運び、計測しながら打つことで集めることも含まれるでしょう。そして、理論的背景・分析を含めながら、可能性が高そうなものに順序をつけていく。こうした研究を「事実発見型研究」もしくは「探索的研究」といいます。
仮説を構築したら次に、その仮説を「リサーチ・クエスチョン(問い)」として自分の見解が妥当であることを立証する論文を書いていきます。こうした研究を「仮説検証型研究」と言います。
以上の手順を踏んではじめて、原因が特定でき、改善方法を示すことができるわけです。
さて、まとめですが、「麻雀論」創設に関する口述発表でも申し上げたように、また最初にも申し上げたように、ノーレート雀荘の増加は「麻雀が青少年の育成に資する」、「役に立つ」とアピールするために不可欠なものであります。その意味で、昨今のノーレート雀荘の苦境は到底黙って看過できるものではありませんし、(「麻雀論」創設に)賛同いただけるのであれば、我々にとって重要な研究テーマになるであろうことは、言うまでもありません。
これにて第1回雑感の発表を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
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