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国際競争力も幸福度もトップクラスのデンマークには、日々の仕事に活かせる思考が詰まっていた

3月末に、マーケティングトレースの活動をされている黒澤友貴さん主催のオフラインイベントに参加しました。
テーマは、小さくても大きな変化を生む国デンマーク。

なぜ参加したのか?

参加した理由は、過去の色んなきっかけが積もり積もって、自分のアンテナが「行け」って言ってる気がしたから。

・大学生のときに住み込みしていたゲストハウスの宿主がデンマークのフォルケホイスコーレに参加していて、WORK MILLのデンマーク特集が本棚に置いてあったこと。本に出てきた「ヒュッゲ」の概念に惹かれて、今も本の内容が頭に残っていること。
・社会人1年目のとき、黒澤さんと才流の栗原さん共著の『マーケター一年目の教科書』をコツコツ読んでいたこと。
・大学時代の友人がデンマークに住んでおり、来日時に再会して現地の暮らしや仕事の話をしたこと。
・身近な人が北欧に旅行に行っていて、なんとなくTRANSITを買ったら余計に興味が湧いたこと。

そんなこんなで、「黒澤さん×デンマーク」という組み合わせは自分にとって何かが起こる気がしました。

デンマークの人口は日本の20分の1以下、面積は日本の9分の1。
国際競争力は2年連続1位で、幸福度ランキングは2位。
そんなデンマークを、黒澤さんが「小さいけど、独自の方法で変化をつくることができる国」と説明します。

デンマークの変化のつくり方から、日本の組織や地域が学べることとは?というテーマで話していただきました。


人間中心のデザイン

変化を生んだ秘密の一つめは、
デンマークは「環境、人、街にとって良い行動が、自然と生まれるデザインになっている」こと。

自動車社会から自転車社会へ

デンマークの首都コペンハーゲンは、街づくりのビジョンを「自転車にとって世界で最も素晴らしい都市になる」と掲げています。
実際の街並みはこんな感じ。

黒澤さんの投影スライドより

自転車社会へと移行した結果、CO2削減や健康効果による医療費削減といった変化が表れています。
通勤通学の44%が自転車移動ってすごい👀

黒澤さんの投影スライドより

Sightseeingとしての観光から、「くらしを体験する」観光へ

そして、コペンハーゲンは”THE END of TOURISM as we know it”という観光コンセプトを掲げています。観光なのに、「ツーリズムの終焉」。
これからのコペンハーゲンでの観光は「一時的な住人となり地域文化を体験する」ことを指すよ、という宣言でした。

暮らしそのものが観光資源なので、
市民のみなさんと観光客がいっしょくたに場所・空間を共有しています。

黒澤さんの投影スライドより

このように、地球・人・街にとって必要な行動が生まれるようにデザインされた結果、人にとっても地球にとってもサステナブルな街として認識されるようになりました。

黒澤さんの投影スライドより

コペンハーゲンの人々はみんな意識高い系なのか?

でも、「へえー、コペンハーゲンの人ってみんな真面目なんですね、偉いですね」で片付けたら表層しか読み取れないわけで。
この変化を下支えしたのが、無理をさせない、自然にその行動をしてしまうように「場」をデザインしたことでした。

デンマークの著名な建築家ビャルケ・インゲルスは「快楽的持続可能性 」を提唱しています。これは、サステナビリティの重要性を啓蒙するのではなく、 遊びの体験に落とし込むことで人々の行動をデザインする工夫とのこと。

(今まで乗っていた自動車ではないけれど)自転車で走る道がおしゃれで面白そうだから。
(廃棄物発電所だけど)スキーやクライミングができるから。

無理やりではなく、楽しさ、面白さに惹かれて自然に行動が喚起された結果、街が変わっていったのです。

変わるために、捨てる

変化の秘密2つめは、自分たちの強み、やるべきことを見極めて集中すること。
デンマークは2022年、2023年に国際競争力ランキング1位を獲りました(日本は34位)。

その理由をマーケティングのフレームワーク「PoX」で紐解いてみると、
デンマークは「捨てるもの」と「差別化するもの」が明確になっているようです。

黒澤さんの投影スライドより

有名な観光地を訪れたいだけの人や、サステナビリティ意識が低い人をターゲットから外すと同時に、コペンハーゲン市民の地元体験ができること、つまり「くらしを体験できること」を、他の都市にはない独自性として打ち出す。

何は捨てて、何は他と同じでよくて、何は差別化するのか、をはっきりさせることで、変化を生むために必要なことが自ずと明らかになっていったのだと感じました。

そして、この変化するために捨てることができるのは、教育の体制が絡んでいる、とのこと。
クリティカルシンキングや対人コミュニケーションを重視し、批判的、創造的に考え、学び続ける力のある人を育てることが目指されているそうです。

黒澤さんの投影スライドより

変化を生むリーダーシップ

後半はコペンハーゲン市ユースセンターのペタゴー(社会教育者。教師とは別の役割)Madsさんが、デンマークでの組織のあり方についてプレゼンしてくださいました。
Madsさん、オープンでフレンドリーでとっても素敵な方だった、、!

「あり方」を尊重する教育

冒頭にMadsさんが自身の仕事に交えて話していたことのうち、印象深かったのは、

「デンマークはどんな境遇の人でも、
<その人のありたいあり方>が実現できるようにする社会だ」という言葉でした。

西村佳哲さんによる「インタビューのワークショップ」でも、「あり方」についてじっくり深ぼったことがあったので、この一言がじわーっと自分に染み込みました。

また、「デンマークで育つことは外部からのプレッシャーが小さい」、とも。
プレッシャーの小ささによって生まれる余白から、
「なぜ自分はこれをすべきなのか?」「なぜ働くのか?」「なぜ勉強するのか?」といった問いが生まれ、
よりクリエイティブに、よりイノベーティブに考える力へと繋がるそうです。

来日されたMadsさん

良いリーダーシップとは

デンマークでのリーダーシップは
①平等で、形式ばらない
②非権威主義的で、民主的
③メンバーへの内的な動機づけによって人を動かす
④カリスマ性よりも、理性的な説明によって周囲を説得させる

といった特徴があります。
このパートの総括として、Madsさんは「良いリーダー」について
「従業員と協力し、メンバーの意見を尊重できる人」とまとめていました。

「現場をより知っているのはメンバーだ」という、メンバーを尊重するスタンスでいること。時にメンバーの方が良いアイディアを持っていることも知っているリーダーである、と。

そんなフラットな組織を実現するために、
①情報格差を無くす
②アイディアを発言する機会をつくる
③仕事以外のことに十分に時間を使う(ことで相手を十分に理解する)

といった工夫がなされています。

Madsさん投影スライドより

最後に: 現地で自分の目で確かめてみたい!


セミナーを通して特に強く記憶に残ったことは2つ。
ひとつめは、観光のコンセプトに共感したことです。
わたしは「暮らしを体験する」旅が好きで、ゲストハウスに住み込みしたり、知り合いがいる土地ならその人に連絡して、ローカルでディープな場所へ連れ回してもらったり、その人のお家にお邪魔してその人の暮らしを一緒にやってみたりします。
観光ガイドやInstagramには載っていない、その土地での暮らしができることは、その土地が自分の「日常」に少し近づく感覚があります。
そのスタンスでいる街という点に、親近感を勝手ながら感じました。

ふたつめは、自身の強み、やるべきことを見極めて集中すること。街づくりに限らず、自分の仕事においても今まさにやるべきことだと感じました。
デンマークの生産性や競争力の高さは、強みの見極めと、リソースの投下先の見極めが土台にあります。

もう社会人3年目になるし、上に書いたような「賢く働く」ための工夫をせねばと、年度末に気持ちを引き締める良い機会になりました。

楽しいイベントでした!行ってよかった。
ますますデンマークにも北欧にも興味が湧いたので、今度は現地に行って自分で体感してみたいな。

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