自分を知るための手段のひとつ〜NINIROOMのひと vol.2〜
NINIROOMのひとvol.1はこちら
京都の丸太町にあるゲストハウス、NINIROOMでは、京都ぐらしの足がかりとして、長期的に滞在する人もいる。
京都の丸太町に位置する「HOSTEL NINIROOM」にて、個性豊かな面々に話を聞いた記録、「NINIROOMのひと」。第2弾に登場するのは、長期滞在ゲストのさきさん(右)とコホさんである(左)。普段からラウンジで楽しそうに話す2人に、同い年だけではない、ある「共通点」について聞いてみた。
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ーーーふたりはどんなきっかけでNINIROOMに来たんですか?
さき:きっかけは2020年の8月ですね。それまでは地元の淡路島と、京都大阪を行ったり来たりする生活をしていました。でも、2020年の3月くらいから一歩も外に出られなくなっちゃって。
実家は徒歩圏内に自販機すらないような場所にあったので、車の免許もないわたしにとっては、どこにも行けないストレスが半端なかった。それで、島を出ることを決めました。
どこか行く場所を探し始めたら、以前泊まったNINIROOMにヘルパー制度があることを見つけたんです。まずはヘルパーをして、そのあと長期滞在者になりました。今となっては第2の家みたいな存在ですね。
コホ:NINIROOMにきたのは今回が初めて、それまではカナダでワーホリをしたり、就労ビザを使いながら飲食店で働いていました。
当時は永住権を目指していたけれど、コロナ禍になってから、「このままこの生活を続けたいのかな」と思い始めたんです。自分の理想の暮らしと、今の暮らしにズレを感じて、悩みに悩んで全部手放して地元の鳥取に帰りました。
地元で約半年間、充電期間をとって、そろそろ動きたいなって気持ちになったのが、2021年の11月ごろだったかな。
もともと京都は憧れの場所だったので、翌月、部屋探しの内見も兼ねて1泊2日で京都に行きました。でも、その時内見したおうちはしっくりこなくって。他に京都で住める方法を探してみたら、「ゲストハウスで長期滞在」に行き着いたんです。
NINIROOMは一目惚れでしたね(笑)内装の可愛さにときめきました。まずは1ヶ月間、実験のつもりで滞在しています。
ーーーNINIROOMは「京都の実家的存在」と言ってたヘルパーもいましたしね。内装もおしゃれで快適ですし!
ふたりとも占いは最近始めたと聞いたんですが、どんな経緯があったんでしょうか。
さき:信頼している人がいるんですけど、その人が始めたのがきっかけです。周りにいる人も一緒に始めたから、わたしもやってみようと思って。何かを選ぶ時、「人」の基準は結構大きいですね。
コホ:小さいころから好きなものでした。小学校で書いてた『自分新聞』に、「好きなもの:占い、みかん、柿ピー」って書いたくらい(笑)。カナダでの暮らしと理想の暮らしにギャップを感じていた時、むかし星座で占う西洋占星術が好きだったことを思い出したんです。ギャップを把握するために、まずは自己理解がしたかったので、その道具が、わたしにとっては占いでした。
西洋占星術は覚える量が多くて大変なので、最初はオラクルカードからはじめて、その後タロットカード、最後に西洋占星術についても調べはじめました。
さき:自己理解のための道具ね。わたしはもともと高校生の時から、心理学や教育学に興味があったんだけど、
コホ:わたしも!大学で教育学専攻だった。
さき:ここにも共通点が(笑)。あと、いわゆる就職活動らしいことを2人ともしていなかったよね。
「なんか自分の生き方って、周りと違うよな」って思ってた。小さいころから周囲に馴染めないことが多かったし。「どうしてこうなるんだろう?」ってずっと疑問だった。
わたしが勉強していた心理学では、「自分が望んでいない現実って、望んでいないように見えて、深層心理ではそれを望んでいたんじゃないの?」ってオチになることが多かったんだよね。
思い込みや潜在意識を変えればうまくいくよ、っていうのがわたしが思う心理学のアプローチなんだけど、これを続けていたらしんどくなっちゃった。
頭の中で既に自己否定している状態で自問自答を始めると、どんどん苦しくなる。「自分はダメだ」って結論づける材料集めをしているみたいだった。そうじゃなくて、目に見えて腑に落ちるような材料が欲しかったんだと思う。
ーーー自分を知るための手段のひとつだったんですね。ちなみに、占いが自身に役立った経験はありますか?
コホ:以前から「アクセルとブレーキを同時に踏んでしまうような感覚」があったんですよね。
刺激がほしくて、前のめりに、外に向かって行動するのに、家に帰ると「なんでこんな後ろ見ずなことをしてしまったんだろう」って自己嫌悪してしまう。
HSS型HSPって今は言われているけど、当時はそんな言葉も知らなかったし、どうしてこうなっちゃうのかが分からなくて辛かった。
西洋占星術は、「ホロスコープ」という、その人が生まれた時の星の配置図からその人の個性を知るものなんだけど、わたしの図を見たら、「だからじゃん!」って腑に落ちてホッとしたことがあります。それから自分の性質に合わせた生き方をする指針として意識するようになりましたね。
ーーーなるほど。ふたりの占いって、たしか流派が違うんですよね。どんな違いがあるんですか?
コホ:わたしは主に西洋占星術とタロットカードを扱っています。
西洋占星術は、太陽系10天体と神話を掛け合わせているのが特徴ですね。
太陽系10天体は存在自体に科学的根拠がある一方、神話は人によって語り継がれてきたという点で、地に足がついている感じとロマンのバランスがいいな、と個人的には思っています。1人ひとりの性質に焦点を当てているところは、西洋の個人主義の流れを汲んでいるようにも感じます。
タロットカードは、その時点の自分の潜在的な気持ちや状況を確認し、悩みに対するアドバイスを導くために用いています。
さき:わたしは日本式数霊術(やまとしきかずたまじゅつ)といって、古神道にも由来がある、日本生まれのものを扱っています。厳密には占いではなくて、「生き方の確認作業」と捉えた方がわかりやすいかもしれません。古来中国で作られた「元数盤(げんすうばん)」に、その人固有の持ち物である誕生日と名前を掛け合わせ、1人ひとり異なる人生設計図を導き出します。
日本生まれだから、家系とか、家族との関わりにも言及するのが、西洋との違いですね。「家系の流れから託されてきた願い」とか。
コホ:この前ためしに、同じ人を2つの方法で占ってみたんです。
そしたら、意外にリンクするところが多くって。だから、コラボ企画も計画しています。
西洋占星術は世界的に使われていることから、信頼のおける占いだと思うし、日本由来の方式を掛け合わせることで、深みがますんじゃないかなと。
ーーーコラボ企画、面白そうですね!
ちょっと失礼な言い方になるかもしれないんですが、占いってお金と同じで、使い方によっては薬にも毒にもなると思うんです。どんな時に占いを参考にしたらいいんでしょうか。占いのトリセツ的な、アドバイスをお願いします!
さき:決めつけないことですかね。決めつけたらそれに囚われちゃうから、こちらの差し出し方は意識しています。
コホ:これまでの占いは「悩んでいるときに使う」立ち位置だったけれど、これからは、もっと身近なものになっていくんじゃないかな、と思っています。自分を知るっていうことに使うようにすると、日々自分の性質をケアする術(すべ)がわかると思うんです。自分に無理をさせず、楽しむための選択ができるようになってくるんじゃないのかなって。
さき:自分が感じる違和感の出どころを探るための、ひとつの眼鏡とも捉えられるね。「だから今わたしはモヤモヤしてるんだ」って理由がわかったら人はスッキリする。その手段。
コホ:おすすめなのは、フィーリングの合う占い師さんに相談することです。占いって、新たな視点を取り入れられるのが強みなので、驚くこともあるかもしれません。だからこそ、話していてホッとできる人を選んで、腑に落ちたものは日常に取り入れてみたらいいのかなって。人生の主導権は常に自分自身にあることを忘れないで欲しいですね。わたしはお守りのようにヒントをお渡しすることで、応援させてもらえたら嬉しいなあと思っています。
さき:自転車の補助輪と同じだね。慣れてきたら外せばいい。むしろ、外す前提のもの。
補助輪と違うのは、外したら再びつけちゃいけないものじゃないこと。ちょっと誰かに助けてほしいなって時に使ってもらえたら嬉しいな。
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さきさんについてもっと知りたい方はこちら
コホさんについてもっと知りたい方はこちら
シリーズ「NINIROOMのひと」
https://note.com/karen_r51d/m/mae0ee23580a9
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