15年好きだった人に振られた後の、わたしたちの関係。
去年の11月、いろんな出来事や想いが重なって、高校のときからずっと好きだった人に告白した。人生初の告白だった。
「友だち」でいることを、彼は望んだ。
◇
実はあの日から、2回ほど彼とは会っている。
地方から東京に戻ってきたのだ。
決してふたりではなく、2回とも同級生の集まりで顔を合わせた。
◇
1回目はお盆。
彼のことをまだ好きだと気づかされたきっかけとなった同級生の死から1年が経とうとしていたので、新盆にお線香をあげにみんなでご実家へ伺った。
ご家族の方への話やその場の機転の効いた会話など、やっぱり素敵な人だなと思った。
でも、その後みんなでご飯を食べに行っても、懐かしい場所を巡っても、軽く飲みに行っても、彼はずっとわたしから一番離れた場所を選んでいた。
仕方ないことかもしれないけど、少し悲しかった。
◇
2回目は、わたしの誕生日祝い。
ただの集まりかと思いきや、サプライズで誕生日祝いをしてくれた場に、彼も来てくれた。(いつも誕生日祝いをしてくれる一番仲のいい友だちから今年は何もなかったのと、珍しくこの集まりの幹事をしてくれたので、もしかしたらとは思っていたが…笑)
この日も、彼はわたしから1番離れた席に座っていた。
だけど、前回と違って、これまでみたいに積極的にわたしをイジったり、話を振ってくれるようになっていた。
みんなワインでいい仕上がりになり、お酒も回ってきたので、2軒目に移動。
酔っているのをいいことに、移動中に彼に少し触れた。(全然かわいい触れ方ではなく、かなり乱暴に押したに近いが。笑)
2軒目もまた離れた席に座られてしまって、いい加減腹立つなとまで思ってきた。
そして3軒目のカラオケで、ターニングポイントがやってきた。
やっと、彼の隣に座ることができた。
いろいろあって腕をつかんで引っ張られた時は、驚きと幸せでたぶん10秒くらい意識が飛んだ。
近くで見る彼の顔は、やっぱり好きだし、高校のときからずっと上手な彼の歌声を一番近くで聞けて、幸せな時間だった。
トイレに立ったとき、後輩から「男を落とす香りです」と言ってプレゼントされたCHANELのヘアミストを吹きかけて戻った。
乙女だなあ、自分。
最後にみんなが解散していく中で、同じ駅の方面なので一瞬だけふたりになった。
終電ギリギリだったので、特に話すわけでもなく、ただ「じゃあね!」と分かれた。
◇
元の友だちに戻れたことはとてもありがたい。
彼の優しさをすごく感じるし、わたし自身もよくがんばったと思う。
ただ、決して未練はないのだけれど、やっぱりまだ好きだという現実に向き合うたびに、心が苦しくなる。
恋愛的な感情だけではなくて、人として心から尊敬している相手への「好き」という気持ちは、そう簡単にはどこかに行ってくれないみたいだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?