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OmamOri
春は死の季節
頼りなく咲いて呆気なく散って
人に惜しまれながら満足そうに土に還っていく花弁
意味なんて概念も持ち得ないモノに訳と感情を見出して自慢気に微笑んでみせる
生まれ変わるために一遍死ねと言われても
虚ろを肥えにして幹を太らせていた
羨望と妬心にラベルを付けられるなら
君に出会ってはいなかった
春が嫌いと君が言ったから
忘れたくて忘れられなかった神経の設計不良
シナプスごと塞いじゃえって魔法の杖を振り回せばいい (魔法なんてないね)
夏しか愛せないと君が言ったなら
茹だるような暑さ 張り付く汗の不快感
息が詰まる空気
よりも 澄み切った青の広さ 含羞んだ少女の八重歯に反射する光が眼に浮かぶよ
影が差す昼下がりの窓枠
映画のフィルムみたいに想い出を切り取る
夢の中 君の瞼には何が視えてる?
句読点の隙間を縫って君を見つけたい
訳と感情を見出して不安げに微笑んでみても
今の端っこを切り落とさないように恐る恐る
箱に入れて鍵を閉じる
タイムカプセルなんてなくたってね