ネイキッドランナー 2
徳島敦夫(47歳)が裸で街に繰り出した時、最初に感じたのは羞恥でも興奮でもなく、身体の軽さだった。
彼は一歩また一歩と進むごとに、スーツに拘束された不自然な歩き方を忘れていった。
自分がどこに向かっているのかはわからなかったが、数十年の間忘れていた充実の感覚があった。
「変態!?」
「警察早く!」
すれ違った人々の悲鳴は敦夫の耳に入っていなかった。
彼の身体は溢れるエネルギーを持て余していた。
ごく自然に歩く速度が速まり、やがて彼は走り出した。
敦夫が走り始めると、10月の寒さは嘘のように消し飛んだ。
通行人たちが疾走する全裸中年男性を避けようとしたおかげで、敦夫の行く手を阻むものは何もなかった。
意図もなく、目的もなく、彼は走り続けた。
そして、ついに敦夫は障害物に遭遇した。
「そこの変態、止まれ!」
通報により駆けつけた警官だ!
だが、あえて敦夫は警官の方へ速度を上げて走った!
【続く】
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