AIとデータが描き出す、意外と近くにある未来。 -シン・ニホン-#304
今、データ×AIや、それ以外にも数多くのこれまででは不可能だったことを可能にする技術が一気に花開いているが、これらはそもそも人間を解放するためにあるのではないのか。テクノロジーの力を使い倒すことにより、僕らはもっと自然と共に生きる美しい未来を創ることはできないのか? そうだ!「風の谷」だ!
と、「シン・ニホン」の中に描かれていました。本の中には現在の日本の状況について、膨大なデータをもとに考察が描かれています。
「情報の識別」「予測」「目的が明確な活動の実行過程」がAIとビッグデータにより行われていくこと。けれど、日本にはビッグデータを取得するデータ基盤も、それらを有効に活用できるエンジニアやデータサイエンティストも十分にいないこと。
そして、いまからでも教育機関に十分な投資をすることで、そういった人材を育てていくこと。そのさきに、AIに人の意思が加わり「夢×技術×デザイン」がかけあわさって、新しい生活となる未来が描かれていくこと。
そのひとつの未来として、著者の安宅さんの「都市型ではない、広大で豊かな土地と、最新のテクノロジーを組み合わせた新しい生活である、風の谷」構想が描かれています。
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ぼく自身も、コロナの状況が生まれてから、外に出ることも少なくなり、人と会うことも極端に減りました。変化した状況に対して、2つのことを感じるようになりました。
ひとつは「自分で、時間をコントロールできることが嬉しい」ということ。例えば仕事をしていれば、がんばっている人がいれば、その人の期待に応えたいという意識が強まって、ぼくは、遅くまで会社にいることが日常化していました。
でも、家にいれば周りから切り離された中で、粛々と必要な仕事をする。シンプルに「必要な仕事をしている」という時間は増えた反面、「周りの期待に応えようと、気を遣う」ということは、圧倒的に減りました。そして純粋に仕事をするようになり、同時に、仕事が好きなんだなと思えるようになりました。
そして、浮いた時間に一人でじっくりと考える時間が増えたことで「これから先、自分にとって、ほんとうに必要なものはなんなのだろう?」なんて、答えの出ないことを、考えることが増えました。
すぐに答えが出るものではないけれど「慌ただしい東京から距離をおきたい」「一定の自然のある場所に身をおきたい」「広い開かれた関係性は今までと同じように持ちながら、わずかでもより密な人間関係を持ちたい」「テクノロジーで、日々の生活に影響を与える仕事がしたい」といった、いままで忙しさに隠されていた、自分の意志のようなものが、わずかにみえてくるようになりました。
なにより、コロナでぼく自身が影響を受けたのは「仕事をオンラインなんて、そんなこと、現実的に無理だろう」と思っていたことが、意外と大きなコストがなく、できてしまったこと。今周りにあるテクノロジーを使うことにより、できないと思っていたことができてしまう。できないと思っている、自分の認識が間違っていることも多い、ということをとてもはっきりと認識できたことは、とても嬉しいものでした。
安宅さんが、明確な未来を描こうとしているのに対して、ぼくが描ける未来はなんなんだろう?って、考えさせられる一冊でした。
読んでくれたかた、ありがとうございます。
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