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EEE

読みもの「EEE」

それは
ある日のド昭和。

クラスの女子が
みんな履いていた
キラキラメッシュのサンダルを
自分も履きたくて

母親に泣きついた私は
イトーヨーカ堂の
靴売り場にやってきた。

今でこそ
未就学児さんくらいの年齢の子が
履いている印象の
キラキラメッシュサンダルだが

当時それは
小学校低学年女子に
大いに流行っていたのだ。

先がほっそりした
パンプスのような形。
透明でラメの入った
キラキラのサンダルは
シンデレラのガラスの靴のように思えた。

今まで出会った靴の中で
最もかわいいと思った。

そんな靴に
恐る恐る
足を入れてみると…

幅広の私の足は
哀れ、半分くらいしか入らなかったのだ。

ガビーン!!!(昭和的ショック)

「しょうがないじゃない。」

母親に言われても
しょうがないとは思えなかった。

全くしょうがなくない。
私は思いっきり落胆した。

ああ、私は…
ガラスの靴みたいなこの靴が
……入らないのか。

(友だちはみんな履けるのに!)

シンデレラになり損ね
シンデレラ姉のように
無様に足が入らないショック。

自分に「意地悪で不細工な女」という
烙印が押されたように感じた。

(※おおげさだな!)

無様ついでに
シンデレラ姉がそうしたように

靴を引っ張ってなんとかして
足をねじ込んでやりたかったが

虚しくなってやめた。

真っ暗な
底なしの穴に落ちてくような感覚。

(※本当におおげさだな!)

そう、
私は大げさな子どもだったのだ。

しばらく引きずった。
口惜しかった。
ううう。

今なら別に
1ミリも気にしないことだけど
子どもの頃には
ショックな事件だった。

EEEサイズみたいなのが
子ども用にも
あればよかったのになあ。





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