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『ルパン2世』はいかにして大帝国を創設したのか

 図書館で『フラミンゴ・ボーイ』という本を借りました。

 イラクのアフワール(日本では『イラク水滸伝』という書籍で紹介されています)、東南アジア山岳地帯(James C. Scott氏の著作『ゾミア 脱国家の世界史』)、アメリカノースカロライナ(『Where the Crawdads Sing』邦題『ザリガニの鳴くところ』の舞台)など湿地や山岳地帯は国家から逃れた人々が独特の文化を保存しているものです。

(※本邦では一向一揆の舞台や忍者や鬼のいた地域が湿地だったり山地や島です。いずれも都に程々に近い)

森田先生のアルセーヌ・ルパンの漫画を見ていて『物語の舞台は北部中心』ということに気づいた。

 ルブラン先生がパリに住んでいるのだから仕方ない。
 常識的に国内活動と海外で王様やっている間にお金を貯めたと考えるといい。一世は。

じゃ(※自称)2世はアイツどうやって日本くんだりにきて現地女性と子供作ったんだ。そもそもあんなに金持ちなのは何故に。

 一世は愛国者、愉快犯的に殺人を好まない、メディア王という側面を持つ。あと技術パトロン的なひとのイメージ。本人や作者直筆作品はさておき、戯曲の手下なんか作者監修なのに電話機盗もうとするバカだぞ。
 知的レベルや文化が似ていない手下は扱いづらい。

  ……こいつ、どこのガキなんだ?

 まぁ戯曲版は作者が違うからこんな変な部下がいてコメディを担ってくれるのはわかる。

 それに部下がアレでも戯曲版のアルセーヌさん、フランスの国鳥であるニワトリのコスプレしてイギリス代表をおもてなしする身体張ったギャグする人だから目立たない。

 原作だと結構水を使って逃げたりするし、本拠地だって日本で有名なのは奇巌城だろう。ドラえもんとは一切関係ないけどそれっぽいタイトルの検索妨害!

 一応原作年表を見てみると子供は一応いる。だがこの子がルパン3世の親とはわからん。というか別人でいいんでね?

 最近のアニメのルパンはその後継者を選ぶ感じになっているし、そもそも同じルパン3世という個人がいるというより50年くらいに渡って『ルパン3世』を名乗る一団がいると考えた方が自然だ。いくらマンガでも年取らなさすぎる。

では自称ルパン帝国は如何にして成立したか

 まぁ『都市と田舎は相関関係』『文明あってこそ非文明という文化が成立する』という観点から見て、フランスにも湿地帯があったと考えて調べたら南部にある。カマルグ地帯というらしい。

 そういえば先日フランス旅行した際、パリ周辺を巡ったが当然北フランス中心だ。

 その時フランスでは塩をSALTと呼ばないことに気づいた。
 ガイドさんから『モン・サン・ミシェルで塩を買うなら……』と解説された時聞きなれない単語を聞いたからだが。
 聞いて調べればフランスでは湿地帯の塩と海水の塩の呼称が違う。

 塩が?(※今調べたら『セル』がSALTに相当するようだ)

言語的興味とたまたま読んだ本がガッチャンコ

 小説『ザリガニの鳴くところ』では美しい湿地の自然と詩情により描かれるミステリーだ。

 アメリカノースカロライナ州では古くから犯罪者が逃れる地として小説内で描かれ、偏見という言葉に振り回されてしまう人々が描かれる。

 一番面白いのは人間は偏見を克服しようとするほどドツボにハマる事実である。

 ゲイやレズにシンパシー感じたからってちんこやおっぱい削ぎ落とす必要はない。

こういった都市と非都市の相関関係と同じようなことが規模は違いすぎるがイラクでも起きていた。

 かのアガサ・クリスティが集めたとされるマーシュアラブ布(※アザールもしくはイザール)はムスリム地帯なのに明らかに人物と思しきモチーフが採用されている。
 この布はなんか湿地帯に逃げ込んできた超少数宗教マンダ教徒やユダヤ人など、はたまた古代メソポタミア時代からのさまざまな文化が保存されている。

 とある方の仮説ではこれは文字成立以前の絵文字の文化が根底にあるのではという面白い話もある。

小説はデタラメ書いて想像力という現実を喚起するものなので

 ここにとある物語のアイデアが生まれる。
 だいたい三題噺が成立すれば良い。

 フランス南部のカマルグに逃げ込んだ人々。彼らはかの聖母マリアの子孫らしい。
 人類史が始まりし時の記録を残すアガサコレクション。
 かのアルセーヌ・ルパンが興したはずの地下帝国の正体とは。

(2世の興した)ルパン帝国はフィクションの英雄アルセーヌ・ルパンに因んだ反抗組織を前身とする国際反骨集団

 実はカマルグ地帯について日本語資料ではろくなものがない。
 図書館でレファレンスしてもらってもなかなかないレベル。

 どうも日本におけるフランス史は北部中心らしい。

ラ・セーヌの星

 アニメ本編では国外逃亡した彼女達がカマルグに逃げたのかは知らんけど、めちゃくちゃ古い作品のラ・セーヌの星のWikipediaをみたら当時の知識ではまずないSavate(※サファーデもしくはサバット。格闘技ではソバットで有名)が出てきた。

 サファーデはパリの喧嘩戦術を起源としているようだが私が描くのは娯楽小説なのでいい加減な資料も意図して使う。
 曰くギリシャのボクシングとインド武術カラパリヤットはフラミンゴの型から。

 フラミンゴといえば湿地帯だな。
 カマルグでは塩と白馬とともに有名。

 ついでいえばフランスの湿地帯では米も有名だけどこれはだいたい日本軍のせいで当時植民地だったベトナムの人々が無理矢理作らされたせいで規模拡大した。歴史的にはもっと前からあるらしいので一概に言えないけど。

 あれ。かすかにアルセーヌさんと繋がったぞ。アメリカで死んだ体育教師である父から日本武術とともに教わっているらしい。もっとも正伝で確実に教わっているかはわかんないけど。

この時代における最強の敵は多分ナチス。

 そういえばルパン3世もナチスの残党や南米の独裁者や国家化した犯罪組織などとアホほど戦っている。
大抵の場合一週間かけず壊滅させるが。

日本でカマルグといえばナチスの収容施設があったという話くらい

 まぁゴッホのファンなら南フランスの美しさは知っているが、所詮鴉野教養などない。
 南部のフランス人は筆者にキレていい。

物語は『自分が何を知らないかを踏まえる』『今できる以上のことを書くとエタる』という基本原則がある。

 書きたい主人公が6人いても3人にリストラすることは割とよくあるのだ!

 自作なら『夢を追う者』シリーズの主人公はファルコ、実質主人公ロー・アース、元気なチーア、敵か味方か謎めいた男ミック、オカマ言葉で話すスナイパーであるロン、ヒロインであるエルフの賢者リンスを描くにあたり『6人もかけるわけねー』と実態は語り手にして実質主人公チーア、気になる異性ロー・アース、かわいいけどチームの切り札ファルコに描き直した。

基本ラインはできた。

 敵はナチスだ。

 三つの要素としては。
 ヒロインは聖母マリアの子孫。当時で言えばロマ(※ジプシー)。
 資金源は湖沼と塩とその他口に出すとアレなもの数々。

 ヒーローは湖沼地帯に逃げ込んで力をつける。
 なんなら史実では精神的誇りも肉体的誇りも奪われて虐殺されたルイ・シャルルの子孫でもいい。

 アガサコレクションを巡ってナチスのオカルト部隊と戦う(※ナチスの主戦力と戦えるほど主人公たちが強いと思えない)。湖沼地帯を舞台として逸れものたちが山賊や海賊的に経済活動をして資金を得て、クライマックスは収容施設からヒロインを助け出そうとするのだ。

 とはいえ、ヒロインと結ばれるなら必然的に日本人と結婚しない。子供を成しても愛人になる。愛人の子供の方がルパン3世らしくなるけど。

 とりあえず、ルパン3世とか版権出してきたら著作権的にアレなのでアイデア倒れになるのであるが、湿地帯を舞台とした好漢どもを描くオカルトとアクションは面白いと思います。

自称元貸自転車屋 武術小説女装と多芸にして無能な放送大学生