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「廻らぬ星のステラリウム(らぬすて)」という良ゲーがなぜサ終するのかあれこれ考えてみた


廻らぬ星のステラリウム」というソシャゲがある。(以下「らぬすて」)


フリューから2024年4月23日(火)配信が開始され、2025年3月10日(月)にサービス終了してしまうアプリだ。

自分はこのアプリに事前登録し、配信開始後は毎日欠かさずログインし、全てのイベントストーリーとメインストーリーを読んできた。
課金も毎月した。推しは全てのバージョンをお迎えした。
推しが来ていない時でも課金するくらい好きだった。毎日とても楽しかった。

でもサ終してしまう。
サ終のお知らせを見て以降、ずっとショックで悲しくて辛くてしんどくて、何をしても落ちなかった体重がサ終を知ってから今日までに2kg近く落ちた。
九ヶ月にも満たない短い期間で、自分が楽しく生きていく上で欠かせないアプリになっていたと気付かされた。
オタクになってそれなりの年月が経つが、オタク人生の中で間違いなく今が一番苦しい。

あまりにもキツいので、どうしてサ終するのか自分なりに考えて気を紛らわせる事にした。
正直なところ全く紛れていないが、折角いろいろ考えたのでここに書いておく。

なお、人によってはディスリに感じられるかもしれないので、嫌な予感がした人はこのページを閉じてほしい。
他社製アプリの話も多少している。
あと自分はソシャゲ業界について何も知らないただのユーザーだという事も念頭に置いてほしい。

■売上の話■

ソシャゲが終わる話をするなら、売上の話からは逃れられない。
らぬすての売上がどうだったのかというと、「物凄く良いわけではないが、めちゃくちゃ悪いのかというとそこまででもない」という印象だ。
(この辺あんまり詳しくないので個人の感想です)
具体的な作品名を出すと失礼かもしれないので記載はしないが、らぬすてより売れているのにサ終したゲームもあるし、らぬすてより売上が低いのに継続しているアプリもある。

売上は勿論大事だが、この辺は母体となる運営会社がどうなのか、という部分が大きいと思う。
経営状況の良し悪し。運営方針。売上とランニングコストの比率。ゲーム部門の人員を他の事業に割きたい等々。
その辺りは、いちユーザーには分からない。
売上が多少良くとも特定の部門を縮小したり撤退したり、という事が決まってしまう事もあると思う。

しかし、もし「フリューの利益がらぬすて配信開始後に爆増し、その利益の九割をらぬすてが生んでいた」という状況だったなら、会社の経営状況や方針がどうあれ、「これだけ利益が出るなら続けてみるか」となったとも思う。
だからやっぱり、会社のあれこれを覆すだけの利益は出ていなかったのだろう、という結論が出てしまう。

しかし、らぬすては本当にいいアプリだ。
イラストが綺麗。シナリオも読みやすく面白く、言葉選びと文章の持つ雰囲気がとてもいい。
キャラクターの設定とキャラクター同士の関係性も、唯一無二と言えるものばかりだ。
音楽だって最高だし、システム面にも目立つ不都合は無かった。
その上で細やかなアップデートが繰り返され、ユーザーがより遊びやすい環境づくりに余念が無かった。
大きなバグも、配信開始から現在に至るまで無かった。
デイリーミッションもサクサクこなせるもののみで構成されており、ウィークリーミッションに至ってはそもそも存在しない。
自分は今まで幾つかのソシャゲをプレイしたが、その中でプレイヤーにかかる負担が一番小さい作品だった。
キャストの皆さんの声もキャラクターによく合っており、なおかつ豪華だ。
X(旧Twitter)でこう言っている人を見かけた。
「サ終する以外悪い所の無いゲームだった」と。

メインストーリー更新やイベントの告知が出るたびにわくわくしたし、配信後にストーリーを読むと、いつだって期待以上の面白さと驚きがあった。
更新のたびにキャラクターの名前やゲーム内の用語がXのトレンドに入ったっておかしくないくらい面白いと思っていた。
しかし現実的にはサ終のお知らせが出た時でさえ、「らぬすて」の四文字がトレンドに入る事は無かった。

何故終わりが決まった時でさえトレンドにさえ乗らなかったのか。
何故フリューが絶対配信続けたい!!と言いたくなる程の売上が出なかったか。
自分なりに、その辺についてちょっと考えてみた。


■課金圧が低かった?■

自分は単純に石が欲しいのと運営を応援したいのとでミッションパスとログインパス、イベントごとに販売されるパックを買ったりはしていたが、課金圧が凄かったかと言われると、そうでもなかったような気がする。

<有償石のメリットが少なかった>
他のソシャゲ同様、らぬすてにも有償石と無償石の区別はあった。
しかし、いわゆる有償限定のステップアップガチャ的なものは存在しなかった。
ハフバで導入された事はあったが、あのときは恒常SSR確定でイベ版カードの排出は無かったので、回さなかった人も結構いたと思う。
あれ以降のイベントガチャで導入されるのかなと思っていたが、そういう事も特に無かった。

なので、有償石でだけ出来る事は「一日一回限定で単発ガチャを回す」のみ。
有償石にこだわらなければならないシーンというのが非常に少なかった。

そして有償ステップアップガチャが存在しないので、お目当てのSSRが来ない時は天井の200連まで回す以外に確定でお迎えする方法が無い。
これはこれである意味課金圧かもしれないが、200連の遠さに諦めて、天井まで回さない人もいたのではないだろうか。

また、現在は解消されている事だが、配信開始直後はイベントの前半と後半に合わせてガチャも前半・後半に分かれていた。
同時に、イベント用のお得なパックも前半に一回、後半に一回購入できるというシステムだった。
前半ガチャのキャラに石を沢山つぎ込みたい人がいたとしても、すぐ買えるのは前半ぶんの一回のみ。
後半に入ってから追加でイベパックを買う人もいただろうが、鉄は熱いうちに打てというか、一気に買えた方が良かったかなとは思っていた。

※これについては運営側も思う所があったのか、はたまた要望が来たのか、2024年7月後半イベントからガチャ・イベントパックともに前半後半の区切りが無くなり、全て同じタイミングで開始・販売される事になった。


■同時期配信の女性向け作品がそこそこあった■

サ終のお知らせが出た時に「らぬすて」がXのトレンドに入らなかったという話は上でもした。
それはつまり、らぬすてについて呟いた人が少ない=プレイヤーの母数が少ないという事だ。
熱心に課金しているプレイヤーが居ても、もしその比率が高かったとしても、プレイヤーの母数自体が少なければ厳しいものがある。

らぬすては広告を打っていた。
ピクシブや他ゲーム内でのCMとして、配信前後の頃に見かけた記憶がある。
自分の場合は広告ではなく、ゲームの総合的な情報を扱うアカウントで見かけて事前登録をしたような気がする。
とにかく、らぬすてを知る機会が無かったわけではない。

しかし、思い返すとらぬすての広告を見たのと近しい時期に、他の女性向け作品の広告を沢山見た記憶もあるのだ。
「モルガナティック・アイドル」、「東京ディバンカー」、「青山オペレッタ」、「ライドカメンズ」、「悪魔王子と操り人形」あたりを見かけたと思う。

それぞれのサービス開始期間は下記のような感じだ。

モルガナティック・アイドル:2024年3月5日(2025年1月15日にサービス終了)
東京ディバンカー:2024年4月18日
青山オペレッタ:2024年4月30日(2025年1月15日にサービス終了)
ブレイクマイケース:2024年5月9日
ライドカメンズ:2024年5月30日
悪魔王子と操り人形:2024年6月3日(2025年1月31日にサービス終了)

そしてこれらより前の1月に配信が開始された「恋と深空」がXでバズり、現在も好調な売り上げを見せている。
既に「恋と深空」が強さを見せていた中で配信を迎えた他作品には、好調なものもあるが、上記のようにサ終が決まったものもある。

複数のゲームを並行してプレイし始めるのは単純に大変だし、大体の人は取捨選択をしたはずだ。
少しプレイしてみて、あるいはどれをインストールするかの段階で選別があっただろう。
東京ディバンカーあたりはXなどで今も広告を目にする。人目に付きやすく、人が集まりやすい状況にあると思う。

しかしそのあとらぬすて運営が人目に付く努力をしていなかったかというと、勿論そんな事は無い。
2024年7月、メインストーリ第7章配信決定に伴い、拡散キャンペーンを行っていた。

こちらは一日目のポスト。リポスト数は7,000を超えている。

こんなこと言いたくはないが、サ終告知のリポスト数は1月12日現在6,000に届いていない。

それを思うと、7章配信決定キャンペーンのポストは、らぬすて的にはとても拡散されている。

そのお陰もあってか、7月の売上は前月より400万以上伸びている。多少なりとも効果があったのだろうと思う。
しかしこういったキャンペーンを除くと、バズるかどうかは、ほぼ運だ。
トリガーになるような何かがあったとしても、誰かのポストが拡散されなくては大衆の目に触れる機会は少ないままだ。

■らぬすてはバズったか■

サ終が決まった今現在、キャラクター設定や関係性・その他要素を前面に押し出す形でポストを投稿し、それが拡散されているケースもある。

しかし、らぬすての世界観は何と言うか、ゆったりと優しいのに心をざくざく刺し、胸をずどんと撃ってくるというか、酷薄な現実と世界の暗部を描きながらも、全体の空気感は緩やかな印象を与える、不思議な手触りだと感じている。
シナリオにおいて言葉選びが柔らかいのに、精神の奥を静かに抉るような何かがある。

一度ひたってしまえば心地良く、もっと読みたいもっと浸りたいと感じさせる魅力的なストーリーだと私は思っている。
しかしサ終が決まるまでにXでバズる、というのは難しかったかもしれない。
イントロのある曲がサブスクでは受けにくく、イントロ無しでいきなりサビに入る曲に人気が出るのと、近い構造があるように思う。
持つ空気感が静かな分、ひたってもらうまでに少し時間を要するのだ。

じゃあこの世界観と雰囲気をぶち壊してほしいのかというと、それも違う。
もっと早くにどこかでバズって、このままのらぬすてが人気になる世界であってほしかった。
個人的にはそう思っている。

■分かれ目?■

個人的に、ここが分かれ目の一つだったのでは、と感じた変化はあった。
2024年10月後半イベント「光射す神殿のピカレスク」から、イベント報酬が貰える上限ポイントが150,000ptから30,000,000ptに跳ね上がった事だ。

そのぶん貰える報酬は増えたが、普通に栽培して普通に調査して普通に合成して…という手順では、到底届かない数値になった。
当然イベントSSRをお迎えすればポイントは稼ぎやすくなる。
必要ポイントを200倍に上げた事。
運営的に、ここは結構思い切った決断だったのではないかと思う。

このイベント以降、自分は「イベSSR二人(いずれも限界突破なし)&イベ報酬SR(最上限まで突破済)」というメンツのケースと、「イベ報酬SR(再上限まで突破済)と恒常や他ver.のカードのみ」、どちらのケースでもイベントを走ってみた。

確かにイベ版SSRが二人いる方が楽ではある。
しかし、二人いても普通にプレイするだけでは30,000,000ptにはなかなか届かなかった。
意識して合成回数を増やす必要があるし、イベSSRといえど限界突破回数がゼロだと、イベ報酬SR(最上限まで突破済)より、合成時に受ける恩恵が少ない状態にある。
イベ版SSRが、最上限まで突破したイベ報酬SRより高いイベント特攻を得るには、限界突破を最低二度しておく必要がある。
つまり同一のイベSSRカードを三回お迎えするか、ステラピースを250個×2回消費するかしないと、イベ報酬SRの特攻率に届かない。

そして、最上限まで突破したイベ報酬SRのみで30,000,000pt集めるのが不可能かというと、実は不可能ではない。
かなり素材を買い集めて合成を繰り返し何度もイベント調査に行く必要はあるが、達成できなくはないのだ。

こうなってくると、課金圧というほど圧があったか、という話に到達してしまう。
売上額をGame-iさんで確認してみると、2024年9月の売上が2,482万、ポイントUP措置が取られた10月が3,680万だ。
10月はハーフアニバーサリーがあったというのも関係しているとは思うが、一応売り上げは上がった。
しかし11月はどうかというと、1,741万円まで下がってしまっている。

これまでにも、前月と比較すると売上が下がっている月があった。
何が共通しているかというと、誕生日を迎えるキャラクターの人数だ。

らぬすてのキャラクターは18人。
誕生日は各月に分散しているが、総人数が24未満であるため、どうしても誕生日を迎えるキャラが一人しかいない月がある。
バースデーガチャが実施され始めたのが2024年5月から。
5月から12月までのうち、誕生日キャラが一人しかいなかったのは6月、9月、11月。
そしてその全ての月で、前月より売上が下がってしまっている。
他の月と比較してガチャがひとつ開催されないという事なので、当然と言えば当然ではある。

そして、これから先の2月、3月、4月も誕生日のキャラが一人しかいない月だ。
サ終が決まってしまった今となっては何とも言えないし、今後は復刻ガチャが多数開催される上に普段より高い頻度でイベントガチャが開催される予定だ。
比較する事はもう出来ないが、通常通りサービスが続く予定だった場合、誕生日キャラが二人いる月より控えめな売上になった可能性はあると思う。
(そのキャラ一人じゃ戦えないとかいう話ではなく、単なる頭数の話だという事を強調しておきます)

仮にサ終の予定が無かったとして、2月以降に控えめな売上になってしまった場合、またサ終に向けた話し合いが上層部で行われる可能性があったのではないか。
そんなマイナスな事を考えてしまう。

■本当に終わる予定だった?■

らぬすてはサ終する。
しかし、その割に最後に追加されるものがあまりに多い。

まず、通常12日ペースでやっているイベントを、1月14日以降に開催されるものは8日に短縮し、2月下旬までに五つのイベントを行う。

今まで月2回の頻度でイベントを開催していたのを思うと、3月いっぱい持たせる事の出来るイベント数を、2月までで全て消費しようとしているのだ。

サ終発表前の話になるが、お正月には描き下ろしイラストもXで公開されていた。

更に、2月9日15時から、メインストーリーのプロローグ~6章までがフルボイス化される。
今まで無かったプレイヤーバースデーボイスも追加される。
サ終した翌月となる4月、オフライン版に1周年ボイスも追加される。
既にサ終しているタイミングなのに、だ。

ハーフアニバーサリーの際、各システムボイスや合成レシピが追加され、四つの国それぞれのログインストーリーが公開され、公式ホームページではSSが三本公開された。
それを思うと、これらの豪華な更新は本当は一周年で実装する予定だったのでは?と思ってしまう。
あまりに駆け足で開催される複数のイベントは、本当はいつものペースでゆっくりやるつもりだったのでは?と考えてしまう。

各キャラのバースデーイラストをあしらったグッズは、現状イラスト未公開のキャラがいるにも関わらず、2024年12月の時点で予約開始に踏み切っている。
少なくとも12月の時点ではサ終が決まっていたからこそ予約が始まったのだろうとは思うが、その一方で3月までのイベント関連の発注や作成、一周年に向けたボイスなどの準備に取り掛かってもいる。
なんだか、少々ちぐはぐした印象を受けてしまう。

以前、自分は別のアプリのサ終に出くわした事がある。
そのアプリは、「これが最後のイベントです」的なお知らせも無く通常通りにイベントを開催した後、いつもやっている別情報の告知を出さないままずるずると日々を過ごし、暫くしてから「サ終します」と発表した。

その後上記のアプリは、復刻ガチャと復刻イベントなどは開催したが、新規のイベントは無かった。まあそれも仕方ないとは思う。
ソシャゲの中には、メインストーリーが完結して、大団円のもとサ終するというものも少数派ながら存在する。
しかし大部分のソシャゲは「売上が芳しくないから」という理由で終わっているはずだ。
売上の都合で終わりゆくものに、お金をかけて新規コンテンツを投入する理由は特に見当たらない。

しかし、らぬすての場合は「サービス終了」の六文字から目を逸らしてしまえば、「大型アップデート」に他ならない印象だ。
らぬすては、本当にサ終する気だったのだろうか?
個人的には、少なくとも開発部にその気は無かったのではないか、と勝手に思っている。
まあ実際の所どうだったのかは知る由も無いし、単なる私の想像で願望でしかない。
らぬすてがサ終する、という一点だけが揺るぎない事実だ。


■最後に■

これまで全く話題に出していなかった別アプリの話で恐縮だが、「偽りのアリス」というソシャゲがある。
このアプリ、2023年7月で新規コンテンツの更新を停止するという措置を取っている(小規模な更新は行われている模様)。
しかしそれと同時に「サーバー代カウンター」と「何かのカウンター」を実装しており、「何かのカウンター」が「サーバー代カウンター」を下回らない限り、サービスを継続するという仕組みになっている。

要するにサ終ラインがユーザー側にある程度分かるという仕組みだ。
その後このソシャゲがサ終したのかというとしておらず、2024年1月分のサーバー代を初日でクリアしている。
大規模な更新を停止して約一年半、生き延びている作品なのだ。

らぬすてサ終のお知らせを見たとき、上記アプリの事を思い出して確認しに行って、今なお運営が続いている事に少々驚いた。
「偽りのアリス」は更新停止の発表時すでに配信開始から数年経っていたのもあり、根強いファンが一定数いるのだと思う。

何が言いたいのかというと、らぬすてに限らず、ちょっとまずそうな気配があるソシャゲも、何かしら真似てくれたらいいなぁ、という話だ。
ユーザー側で存命行動がとれるタイミングで、上記アプリの「カウンター」のような指標があれば、あがくユーザーは出てくるはずだ。
とはいえ「ライン」を見せられる事によって、逆に気持ちがしおれるユーザーも少なからず出てくるとは思う。
どう転ぶかは難しい話だが、上記の「偽りのアリス」は今のところ上手く回っている。

せっかく時間と予算と人員を割いたコンテンツを切り捨てる。
それはそれで、思い切った決断が必要だろうとは思う。
らぬすてだって、ユーザーの知らない所でめちゃくちゃ藻掻いて足掻いて抵抗してくれたのかもしれない。
ただのユーザーでしかない私には分からない。

でも、もう少しだけ、アプリが長続きするための何かを打ち出す運営が増えてくれたらいいなと、自分は願っている。

そしてそれ以上に、どこかの会社がらぬすての運営を引き継いではくれないだろうかと思っています。
どこかのどなた、「廻らぬ星のステラリウム」いかがでしょうか…!!
本当にめちゃくちゃいいゲームなんです…!!!!!
ここで終わってしまうのは、あまりに勿体ないんです!! お願いします!!!

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