近々両用より使えるデスクワーク眼鏡の処方を解説します
一般的に知られるパソコン眼鏡って、
ただブルーライトカットしたレンズだったり、
ちょっと詳しい人でも
中近両用や近々両用を知っているくらいじゃないでしょうか?
今回の動画は、眼鏡屋らしく、ちょっとだけレベルの高い内容になります。
これは以前にも少し紹介したことがある
「遠近両用のレンズ設計を利用したデスクワーク眼鏡」の処方解説です。
簡単におさらいで解説すると、
累進レンズにはそれぞれの特徴がありますよね?
遠近両用なら遠方が広くて中間手元がしだいに狭くなる設計、
中近両用は遠方はほとんどなくて中間と手元が広い設計、
近々両用は手元の視野が広くて中間がやや狭い、遠近と逆の設計になります。
このデスクワーク用眼鏡は、
「遠近両用の遠方視野を利用した、近々っぽい使い方の眼鏡」
ということです。
僕も始めこの使い方を知った時は、
「ん?遠近なのにデスクワーク用?中近や近々じゃなくて?」と
疑問に思いました。
そりゃそうですよね。
基本的には遠近は遠近、中近は中近っていう使い方しか
教えられないはずですから、
「意味わからない」と思うことは正常だと思います。
でも、眼鏡の有識者の方々に質問してみたところ、
「昔はこういう使い方を処方していたけど、
今はあんまり普及していないし、それぞれの設計も良くなってるし、
あんまり知られてないかもね」
って言ってました。
実際に処方した時の見え方イメージは、
パソコン部分の視野が近々よりも広がるので、
モニター画面が大きい場合や、
左右にパソコンがあって数台使い分けている方がターゲットになります。
処方の考え方としては、
S面は、完全矯正値に加入度数1.00から1.50の間を入れて、
パソコンにピントが合うようにします。
そこから累進の加入度数を0.50から1.00ぐらいに設定することで、
手元の見え方もフォローできるようになります。
具体的な数値で例題を作ってみると、
完全矯正値がS-4.00だった場合、
S面に加入1.00から1.50くらいを入れた
S-2.50とかS-3.00ぐらいにしてパソコンぐらいに距離を設定します。
そこから手元の見やすさをフォローするために
加入度数を0.50から1.00を試してもらい、
「このくらいなら十分見える」というお客さんが思える度数を探します。
遠視の場合も同じように、
完全矯正値がS+2.00だったら
S面をS +3.00からS +3.50くらいにしてパソコンにピントを合わせ、
そこから加入度数を0.50から1.00の間で探して終わりです。
ここで勘のいい方は、加入度数が1.00だったら
遠近両用の設計とリラックス系レンズの設計どっちがいいの?
って思うかもしれませんね。
何人かお客さんにモニターしてもらった感想としては、
加入度数が同じだった場合は、
「モニター部分の視野を広く取りたいならリラックスレンズ、
手元の見え方をしっかりしたければ遠近の方が見えやすい」
という結果でした。
同じ加入度数でも、
設計の違いで度数の移り変わり方などが違うみたいですね。
このデスクワーク用眼鏡を提案する時の判断基準は、
・累進世代で加入度数がすでに1.75以上入っている方
・デスクワークに特化したい方
このパターンが来た時に有効となります。
ここで重要なのが問診です。
もちろん中近や近々の提案も頭の片隅に入れますが、
仮枠装用する前の問診で
「今回の眼鏡をかけてどこまで遠方の見え方を求めますか?」
という質問を必ずしましょう。
この質問で、この方がどれほど遠方を見たいのか?を絞っていきます。
その返答次第で、
・遠近両用
・遠近寄りの中近
・数メートル先までの中近
・1メートル以内の近々
・モニター画面を広く使いたいなら
今回のデスクワーク処方
といった感じの提案をイメージして、
主訴に近い設計を2パターンほど見比べてもらいます。
この処方は複数提案にも効果的で、
「遠近とは別にデスクワーク用として便利ですよ」と
おススメすることができます。
なおかつリラックスレンズを取り扱っているのなら、
モニター画面を広くするならこちらがおすすめです」と言って
単価アップに繋げることもできますね。
遠近の設計でもかなりモニターやパソコンが見えやすいですが、
リラックスレンズでモニター画面を
実際に見比べてもらったときのリアクションが全然ちがいます。
この方法を使って、
眼鏡の複数提案や単価アップに繋げてみるといいかと思いますので、
一度試してみてくださいね。
こちらが驚くほど「見えやすい!!」と言われますよ。