「遠近両用の処方ミスは何が原因?」
みなさんは遠近両用や累進レンズでお客さんに「慣れないから戻したい」と言われたことはないですか?
もちろん慣れないことはあるので仕方ないこともありますが、できる限り慣れやすいようにこちらから提案することもできます。
まず大前提として、累進レンズは加入度数が2.00をこえると左右の歪みが強くなり今まで見えていた視野が狭く感じます。
そして、年齢的に「慣れやすい」年齢は50代くらいという条件を覚えておきましょう。
この2点を前提として考え、果たして初めて累進レンズを希望する方にマッチするかどうか?を考えて処方していきます。
単純に遠方の見え方と近方の見え方をしっかり希望された場合は、完全矯正値と年齢加入を入れていけば処方自体は終わりです。
ですが、全ての方がそんな単純ではないですよね?
このチャンネルでは「傾聴式測定」と言って
しっかりとお客さんの「主訴」を深掘りし「観察」しながら「体験」コミュニケーションを取ることが重要だと説明しています。
では、ここから具体的に何を考えていけばいいか?
注意点を四つ挙げていきます。
・希望はしっかりめなのか?
・どこを重視して見たいのか?
・累進設計のメリットデメリット説明
・装用したリアクションはどうか?
ひとつめ
希望はしっかりめなのか?
とは、お客さんが現状使っている眼鏡にどんな「不満」を抱いているのか?を聞き出すことが大切です。
眼鏡を使っている方でも、ほとんどの方は意外と眼鏡のことをわかっていません。
なんとなく見えているけど、
なんとなく「疲れる」とか、なんとなく「見えにくい気がする」という状態で相談に来ることが多いです。
測定する僕たちは、その「なんとなく見えにくいもの」の正体が何なのか?を具体的にしてお客さんに伝える必要があるんですよね。
これが最終的に処方の成功率に関わってくるからです。
ふたつめ
どこを重視して見たいのか?
とは、お客さんは「眼鏡」=全て見えるものと考えています。
ですが、眼鏡とは「明視域」で考え、足りない部分は「調節力」で補うということを「わかりやすく」伝えなければいけません。
なので、この「どこを重視したいか?」を聞くことで、「なぜそんな質問をしたのか?」という疑問がお客さんに浮かび、「その理由はこうだからです」と説明することができます。
眼科さんでは主に「視力」で説明することが多いと聞きますが、「視力」はあくまでもどこまでが見えているか?だけしか伝えられず、その他にかかる目の負担は調節力で補っているという説明が不足してしまいます。
そうなると、お客さんは一般的に「遠くが良く見える眼鏡」=「良い眼鏡」という勘違いをしてしまい、本当の「疲れの原因」まで解決できないことがあるんですよね。
ですので、
どこを重視したいのか?
そうすると、ここに負担がかかるので
こういう度数でここからここまで楽にするか、こういう設計レンズでここからここまでを楽にするか
どちらがいいですか?と提案することが大切ですね。
みっつめ
累進設計のメリットデメリット説明
とは、
累進設計にはいいところと悪いところ、言い方を変えれば「見えやすいゾーン」と「見えにくいゾーン」があることを説明しなければいけません。
僕はいつも眼鏡を100%を設計ごとにどう振り分けるか?を説明しています。
ざっくりですが、この表みたいな感じです。
この「見えやすいゾーン」と「見えにくいゾーン」を数値化してお客さんに見えるようにすると、設計ごとに違いがあり、自分は〇〇に困っているからおそらくこれなのかな?と考えてくれるようになります。
あとは実際に体験してもらうことで「思っていたものと違う」とか「これは便利だ!!」というリアクションが出るはずです。
このリアクションを見逃さず、微妙そうかどうか?を判別していきます。
よっつめ
装用したリアクションはどうか?
とは、いろいろ説明をしたあと実際に体験した時に、「本当の不満」
すなわち「今回の主訴」がきちんと聞き取れていれば、ほとんどが「便利だ!!」
となるはずです。
ここのリアクションが「う〜ん」とか、「リアクションが薄い」場合
先ほど挙げた注意点のどれかが理解されていない、もしくは本当の主訴が違う。
ということになります。
リアクションが薄い場合は、もう一度お客さんの主訴(本当に困っていること)を聞き出すところに戻って見ましょう。
そうすれば、お客さんは「実はそこまで困っていなかった」とか「これなら今のままでいいかも」という考えになるはずです。
累進処方で1番失敗するのが、この注意点をほとんど理解せずに「なんとなく眼鏡を作るから」なんですよね。
このポイントをおさえておけば、「なんとかなく作ったけどまぁ保証で無料だし戻してもらおう」といった、本来慣れられて便利に使えていたかもしれない方の未来を奪うことは減ると思います。
測定データも大切ですけど、
もっと大切なことは「しっかりとお客さんの主訴を明確にし、最適な提案を説明して体験してもらうこと」なんですよね。
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