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マリナ油森国訪問記③

からっとした空気を吸い込む。強い日射しが少しまぶしい。
ここは「国であり沼であり街でもあるどこか」だ。note街の人波を観察していると、自己紹介している"ネズミさん"こと、マリナ油森さんを見かけた。

エッセイや様々な文章を生み出す、ネズミさんがどんな半生を歩いてこられたのか、少しだけ伺うことが出来る。大学にしろお仕事にしろ、出会った環境を全力で楽しめるスタンスの方だと感じた。そして、とにかく多趣味。

note街には大きな書店や図書館がある。note街で執筆された小説もエッセイも漫画も、図書館に収蔵されている。新刊コーナーで、ネズミさんの初めての小説を見かけた。貸出手続きを済ませ、図書館の社会人席で一気読みをした。「恋愛法廷ごっこ」に震え上がりつつ、ページをめくる。誰かの基準ではなく、登場人物達の「文化」が育っていく様子に触れられた気がした。

noteの書き方について情報交換するカフェに、ネズミさんの姿を見かけた。
普段使われているノートパソコンではなく、スマホで更新して気づかれたことを述べられている。「全体の俯瞰」と「書く時に映像と文字、どちらが流れるか」という話題が、心に残った。私はどうやっているのかな?

ネズミさんが、ワイナリーからぴょこんと顔を出す。テキパキとワインのお世話をしながら、こんなことを聴かせてくれる。大学生の頃は「ブドウ」を腐らせてしまうこともあったけど、noteと出会った今のネズミさんの心は、ブドウづくりに最適だよと。だから表現者として、挑戦してみたいんだ、と。

出来たての、2つのテイストのワインを試飲させていただいた。

noteの街には、エッセイや小説の書き方に関して、意見交換出来るカフェもある。
エッセイを書いて消耗してしまうことに胸を痛めたネズミさんが、「どこまで自分をさらけ出すか」を水着に例えて話されている。無理をしてさらけ出したり、周囲が剥ぎ取るものではない、確かに。
比喩と見立てのセンスが素晴らしいネズミさんならではの表現だと思う。

ネズミさんの比喩に接して、こんなことを考えさせられた。消耗してしまった方は、まず休んで欲しい。その上で、ネズミさんの提案された「どこまでさらけ出すか」を試して欲しい。また、心のレンズをどこに向けて何を切り取るかを工夫しても良いかもしれない。その人の価値観や「視点」も大切な魅力だし、心のレンズを向けて苦しくない何かが見つかると思うから。

noteの街は、Twitterの街とご近所だ。
Twitterのクソリプ・アンチコメの話から、ネズミさんのストーカー被害の記憶が蘇った。「※ こちらの文章は、フラッシュバックを起こさせる可能性があるため、過去ストーカー被害に遭われた方は読まないことをおすすめします。」という前置きをして、何があったのかを書かれている。そして、ネズミさんはその時その時に最善の方法を選んできたけれど、振り返って気づかれたことを共有されている。
ストーカーへの配慮ではなく、絡まれた時の自衛策として。

ネズミさんも書かれているように、ネットとリアルの境目が曖昧になっている現代だから、誰でも絡まれるリスクを持っている。ネズミさんが共有してくれた知恵に触れて、それぞれの非常用バッグを確認してもよいかもしれない。

旅する日本語』へ書かれた、ネズミさんの作品は、今日も「レンズ」のピントがばっちり合っている。切り取られたそれぞれの情景から、なんだか気持ちが伝わってくるようだ。

・星を見に出かけた、阿蘇の宿の優しい時間のこと
・鈴鹿サーキットの熱気と、赤福氷のコントラスト
・ヒマラヤトレッキングの道中、山中の村の結婚式へ招待され、捧げたもののこと
・「温泉から上がりたくない」と思える、映画部の卒業旅行のこと
・異国の警察の署長さんとのご縁のこと


noteの街には、歴史を語る場所もある。ネズミさんは、戦争に関する2つの記憶を描かれて、今、どんな生き方を選んだのか、静かな口調で、祈るように話されている。私は、じっと耳を傾けた。

伝統文化について、様々なnoterさんが語り合う広場に、ネズミさんを見つけた。歌舞伎の何に憧れ、どう挫折したのか。そして、来世に何を望むのか。歌舞伎の何がどう美しいのか、情景が咲くように浮かぶから、読んでいて心地よかった。

高校三年生5人の完璧な夏の描写だけで、十分魅力的だけれど、大人になって「あの夏の無鉄砲」をまだ持ってるの知ってるよ、という流れが、17年の時間に洗われて、輝いているように感じられた。

演劇が好きなnoterさん達が集うお店に、ネズミさんがいる。何でも最近初めて生でオペラを観たという。オペラへ触れる機会も増えたからこそ、「熱量」をキーワードに魅力を語られている。ネズミさんが触れた「熱量」とは、どんな熱だったのかは、記事を読んでのお楽しみ。

エッセイの育児トピックは、いじめの話題になることもある。
これは、ネズミさんのワイナリーで試飲させていただいた、作品の1つ。いじめる側のケアは賛成するけれど、いじめる方「が」辛いという理屈は、確かにびっくりする。会話が平行線になることも予想できる。

でも、作品を読むともっと驚かされる「匠の技」を目撃することになる。未読の方は、ぜひ、試して欲しい作品だ。

学ぶことで私達は自由になれる。コミュニケーション能力を鍛えると、鍛えた分だけ、自分の世界を狭めずに済むのかもしれない。

「noteでよかったこと」タグに、ネズミさんがぬいぐるみみたいな小さな手でお供えをされている。確かに、「事実は小説より奇なり」と呼びたい出来事だ。その後、ちびちゃん達が回復して、お茶されていたらいいな。

子育ての日常エッセイを読む。ネズミさんのHPが削られていく様子と、HPが回復していく様子が描かれている。こうしてご自身を客観視出来ることもネズミさんの強さだけれど、しんどいことが重なる時に、周囲とのどんな関わりで元気が充電されていくのかも、すごく伝わってくる。

訪問先一覧

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その光は粛々と
最凶タッグ誕生 ーいじめ当事者たちの邂逅
マリナ油森というひとは
心のパンツは脱がないで
熱戦と赤福氷
食らい、遊び、舞う 極彩色の婚礼
私の初恋。乗り越えられなかった性別の壁
アマチュアオペラをあなどるなかれ
【小説】金魚の水換えはいつも私。それがいい。
実家と義実家でnote更新して思ったこと
耳を満たす叫び、目を覆う優しさ
岩場に下着を干して、私たちはめちゃくちゃに泳いだんだ
美味しいワインになっていますか -私が悲しい話「も」書く理由
この温泉を上がったら私たちは離れ離れ
異国のパトカーに護送されて
note神へのお供えnote
クソリプを具現化したようなストーカーを成仏させた話【前編】
クソリプを具現化したようなストーカーを成仏させた話【中編】
クソリプを具現化したようなストーカーを成仏させた話【後編】
子育てでイライラしたけど、ちょっとの幸せでその日は楽しくなっちゃったから割とどうでもいいイライラだったのかもしれない

編集後記

「訪問」第3回目になった今回は、少しだけ構成を意識してみました。記事を公開された時系列順の方が読みやすかったら申し訳ない……。

美味しいワインを例に、書かれた記事が心に残りました。表現する上で、何を大切にされているかが、とても伝わります。比喩と見立ての強さだけでなく、"ネズミさん"の正解を読み手に押し付けないことも、読んでいて居心地が良い理由なのだろうなと気付かされたのでした。

さて。赤福氷もめちゃめちゃ惹かれますが、無性にラーメン食べたくなったので、今夜は私もラーメンをキメます。それでは、また。

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