船に乗るため釜山へ①下関港国際ターミナル
クイーンビートルが定期航路に就航したと聞いてから、ずっと乗りたいと思っていた。とはいえ、燃油サーチャージの高騰もあり、安くても片道1万円程度はかかってしまう。どうせ行くなら韓国で泊まりたいと思うも、19歳未満は保護者の同意書が必要でめんどくさい。では釜山乗継で対馬に渡るのはどうかと考えるが、釜山・比田勝間の航路は再開したものの、特定曜日(※1)の釜山午前発・対馬午後発しか無く、クイーンビートルのダイヤと噛み合わない。仕方ないので、関釜フェリーで行ってクイーンビートルで帰るという単純な行程を実行することにした。
ソラシドエアのマイルを余らせていると、九州の玄関口は長崎・熊本・大分になる。初乗車となる西九州新幹線を経由して、韓国の玄関口・下関へと向かった。鉄道連絡船の性質を残した関釜フェリーに乗るなら鉄道で行くのが礼儀ではあるが、安さには代えられない。18きっぷを使うにしても、下関には18時に着いておかなければならないのである。
実は、下関から釜山までは直線距離で215kmしかない。国内の航路に例えると、八戸・苫小牧間のシルバーフェリーよりも短いくらいだ。実際、博多からのジェットフォイルは3時間でこの間を結んでいたし、シルバーフェリーの速度でも8時間だ。夜の22時に出て朝の6時に着くことができる便利な距離なのである。
しかし、関釜フェリーは下関を19時45分に出て、釜山に翌朝8時に到着するダイヤになっている。さらに、乗船は19時で締め切り、発券手続きは18時までとなっている。ここまでくると、移動に便利な夜行フェリーかは疑問になってくる。確かにぐっすり眠れて船内でくつろぐ時間までできるので快適ではあるのだが、福岡市の企業を定時で退社しても間に合わないかもしれない。
こんなにもゆったりとしたダイヤなのは国際航路ならではの事情で、「税関や出入国管理や検疫の執務時間の関係」(※2)だという。だから、乗船を締め切ってから何時間も動かなかったり、到着から下船開始まで2時間も停泊したりする。24時間営業している国際空港とは違って、船の時間に合わせて30分だけで一気に全員分の手続きをするのだ。
ともかく、役所の事情に合わせて17時台に下関駅に着くと、まさに「鉄道連絡船」と呼んでも差し支えないアクセスで港へと向かう。フェリーというのは車のアクセスしか考えていないことが多く、徒歩だと貨物の積まれた間の道を歩かされるものだが、ここは歩道橋を歩いていけばターミナルの2階に辿り着ける。まさに、鉄道と鉄道を繋ぐ利用に最適化された航路だ。
ターミナルの中はあまり広くない。スーツケースで並んだ人たちがそこら中に散らばっているが、出国手続き開始までに使えるベンチは50席強しかなく、到底足りない。手続きを18時までに済ませるよう求められており、一方で出国開始は18時30分なので少なくとも30分はここで待たなければいけないが、駅に近いのでフードコートにでも転がりこむのが吉だ。シーモールの地下にある中華料理屋では、17時台にも関わらず総菜が半額になっていた。
乗船申込書も国際航路ならではだ。国籍や現地滞在先など入国カードかのような記入欄が続き、これをパスポートと共に窓口に出す。ここで支払いもするわけだが、乗船料金はクレジットカードが使える一方で、港湾施設使用料と国際観光旅客税は現金で支払わなければならない。空港からの出国でも券売機で切符を買ってたといった思い出話を思い出すが、まあ単純にめんどくさい。学割で全て合わせて10,320円であった。関釜フェリーはそこまで燃油サーチャージが高いわけではないが、以前実施していた割引キャンペーンは全て無くなっており、正規運賃で乗るということ自体に割高感がある。
ちなみに、入国カードや健康状態質問書は乗船券と共に渡された。船内のカウンターには健康状態質問書しか置いていなかったので、外国人用の入国カードは無くすと下船まで記入できなくなる。
ターミナル内にはしょぼい店が1つあるが、5分も歩けば駅に着くのでそっちで買ったほうが良いだろう。手荷物カウンターの古い重量計が味を出している。しかし、30kgまで船内持ち込み可能で、段ボールを大量に持ち込む人もいるくらいなので、このカウンターは閑散としている。
徒歩だと表玄関は2階だが、1階には車の乗船待ち列があり、扉もある。日韓間で乗用車を持ち込む場合は、簡単な通関手続きのみで、ナンバーはそのままで公道を走行できるらしい。船との間が高い柵で隔てられているのが、国際航路を象徴している。
18時30分になってターミナルへと戻ると、長い行列ができていた。19時頃までベンチで待ってから最後の方で乗船したが、2,000字を超えたので記事を分けることにする。文章力の無い人がだらだら書いても読みにくいだけなので、今回は時系列に写真を並べていってコメントを付ける、ツイートの連続のような形でお送りすることにした。伝統的な旅行ブログの形式にも意味はあるのだ。
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脚注
1)PanSter・NINAの2航路とも、再開からしばらくは人数制限とともに、土日月(月は比田勝発のみ)の運行となっていた。6月からは、少なくともPanStarは毎日の運行となる予定( https://news.yahoo.co.jp/articles/e150f66b0c299b8b8fdca3b9be6f1349318d2cbb )
2)SHKライン編『長距離フェリー50年の軌跡 SHKライングループの挑戦』ダイヤモンド社2018(p.229)
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