船に乗るため釜山へ④クイーンビートル

1年経ってしまいましたが、書きかけの下書きが出てきたので完成させました。
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ようやく本編、クイーンビートル乗船。少し前に予約したのだが、最安の4,000円は早々に売り切れており、8,000円が最安だった。一方でビジネスは最安運賃が残っており、本来5,000円差のところ、この状態だと1,000円差。この旅の目的でもあるので、ビジネスクラスを選ぶことにした。釜山港施設使用料500円と燃油特別付加運賃3,800円が加算されて合計で13,300円。関釜フェリーと比べると燃油サーチャージが高めに感じる。1か月前の予約だとLCCより少し安いくらいだろう。所要時間は空路なら1時間に対して海路だと3時間40分と、福岡空港のアクセスが博多港より良いこともあって勝ち目がない。金海空港のアクセス時間を考えても空路の方が早く、JR九州がジェットフォイルの速達性を捨てたのも頷ける。

しかし、船には時間や金には代えられない楽しさがある。少しの波で船体が揺れるので快適な乗り物とも言えないかもしれないが、やはり昼間の船で寛ぐ時間は良いものだ。

旅客船とはいえ、国際航路だということもあり、1時間前までのチェックインが求められている。どの程度厳格に運用されているのかはわからないが、締切7分前に到着してチェックイン。JR九州だということもあり、完全に日本語対応である。

座席は指定席なのだが事前の指定はできないので、窓口で希望を聞かれる。ビジネスクラスの場合は、前方が開放的な座席、後方が頭部に仕切りがある座席になっており、後方の方が人気があるようだ。せっかくの2階席なので最前列が空いてるか尋ねてみたら、直前のチェックインにもかかわらず中央最前の1F席を取ることができた。

レシートのチケットと税関申告書(主要空港以外では紙で出す必要がある)をもらい、入国審査を14:20(40分前)までに通過するように言われた。チェックインもこのくらいの時間までは受け付けているのかもしれない。

ターミナルにはレストランもコンビニもあるので、早めに着いても過ごせるようになっている。飛行機と違って液体の持ち込みも禁止されていないので、水などもここで購入して持ち込める。逆に出国後エリアには免税店しか無い。

釜山港が日本の港と比べて特徴的なのは、保安検査を実施していることだ。金属探知機やボディータッチを伴う本格的な検査を実施しており、検査官の性別に合わせた男女別2列での検査を行っている。

釜山港は乗り入れる会社も多く、免税店もかなり充実している。ロッテ百貨店の免税品受け取りにも対応しているようだ。下関港は動線上に1軒あるだけだったのと比べると、かなり空港に近い印象を受ける。ラウンジは無いが座席はそこそこあり、コンセントも完備している(USBではないので変換アダプターは必要)。

少し充電しながら過ごしていると、14:20頃に乗船開始の案内があった。入国審査通過締切ギリギリまでレストランで過ごしていた人なら、出国後すぐに案内される。船にもかかわらず便名が付いていたりして大きな港を感じる。

屋根の付いた屋外通路を通り、一番遠いところにクイーンビートルはいた。看板も付いていたのでおそらく固定運用。それにしても特徴的な形をしている。

他の方が前から撮っていたので私も便乗。かっこいい。

横にかかった橋から乗船。乗組員の会話を聞いていると、この日の乗客は一般席185名とビジネス43名らしい。もしかしたら合計185名で内ビジネス43名だったかもしれない。韓国人も日本人も欧米人も、幅広く乗っているという印象。

乗船するとすぐの場所にロッカー室があり、ここは航行中は空間ごと施錠される。ビジネスクラスはすぐ2階に上がるよう案内され、2階にもロッカー室があった。

また、自転車をそのまま載せられるラックもある。収納袋に入れれば無料のところ、そのまま載せると要予約で1,000円かかってしまうが、折り畳み式でも無い自転車も運べるのは便利な仕組み。1階の2階の往来もスロープで問題無く、置き場もロッカー同様各階にある。

前方の座席はこんな感じ。前に飾り付きのガラスが付いているのが邪魔なのと、コンセントが無いのを除けば、非常に良い座席である。机は前のほか、横からも小さいものが出てくる(ただしコップを置いておいたら揺れで倒れたので、よほど穏やかな航海で無い限りは前の縁が付いた机を使うべき)。

後方の座席もなかなか良さそうだ。リクライニングを倒せば頭部が覆われるし、倒さなければ景色を楽しむこともできる。

2階の最前部には誰でも使えるスペースがあり、いろんな人が来て談笑している。逆に言うと酒を飲んで大声を出す人もいるので、最前席に座っていると少しうるさく感じた。やはり寝たければ後方座席が良い。

タグボートが来て出航

ビジネスクラスらしく、しっかりとしたアメニティがもらえる。4時間弱だが、スリッパとアイマスクがもらえるのは寝るのに有難い。

船内サービスとして、売店でアイスとコーヒーを無料でもらうこともできる。生ビール、ハイボール、コーヒー(ブレンド、アメリカン、カフェラテ)、ソフトクリーム(ミルク、ショコラ、ミックス)の中から2つ選ぶことができ、食べ物は有料であるものの、短距離であれば機内食よりもよほど満足感の高いサービスである。

それだけではなく、座席にはクッキーの詰め合わせを配って回っており、これも無料である。飛行機ならまずもらえても1つだろうが、機内食の代わりも兼ねて箱にたくさん詰めてもらえ、相当満足感が高い。税関に引っ掛かるものも入っていないので、余れば土産として持ち帰ることもできる。

クッキーと共に袋入りのリンゴジュースも配られており、ドリンクサービスではジュースが選べないのでこれもありがたい。

さらに、ドリンク自販機も無料で使える。種類は限られているが、温かい飲み物を自分のタイミングで飲めるのはかなり有難く感じる。

船内安全ビデオも、船でよくある安っぽい映像ではなく、教室を舞台としてこだわって作っており、これもクイーンビートルのブランド形成に一役買っている。国際航路ならではの案内としては、船内で気分が悪くなった人は検疫で申し出るように案内していた。

波が高くなりやすい海域なので少し酔いそうになったが、前の窓から陸地を見ながらの航海は楽しいものである。後方座席で快適に寝て酔わないよう対策するのも良いが、やはり最前方座席の景色も代えがたい。(窓まで若干距離があるので、写真は座席よりも前に移動して撮っている)

寝たり景色を楽しんでいたりしていると、あっという間に博多港に到着した。一部の海域を除いて携帯電話の電波もつかんでおり、特にahamoなどで韓国側の電波をローミングで使っていると、国境を意識することもなく快適な航海であった。

ビジネスクラスには優先下船サービスもあり、入国審査が空いているうちにあっという間にターミナルを抜けることができる。船からターミナルまでは若干距離があるが、しっかりと屋根がついており雨を避けることもできる。

税関申告書を紙で書かなければいけないのが空路よりも面倒だが(2023年5月現在。現在は不明)、特に税関で止められることもなく、スムーズに入国することができて大空港よりも便利である。18:51に下船して18:56には建物の外に出ていた。バスでしかアクセスできないのは少し不便だが、福岡空港国際線ターミナルも地下鉄は通っていないのであまり変わらないかもしれない。

インクの多いHAKATAの文字が輝く。反対側の面にインクが移ってしまうのは勘弁だが、かすれるよりはよほど良い。大阪港や対馬のスタンプなども集めたいところである。

次の日授業があったので、福岡からはそのままJAL便で東京に帰ったが、余裕を持って予約していたので待ち時間が発生してしまった。JAL国内線特典航空券の前便繰り上げができなくなったのが悔やまれる。仕方ないので博多駅地下でラーメンを食べたあと、ラウンジでTwitterに時間を吸われて帰路についた。

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