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船に乗るため釜山へ②関釜フェリー乗船

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18時30分に乗船開始となり、人がいなくなるのを待ってから並ぶと19時頃になってようやく乗ることができた。団体客は一番最後なので、右に一般客の列が終わってから進むらしい。

チケットの確認を受けて検温を終えると、放置されたX線検査機をスルーしてそのまま出国審査場へと向かう。2つか3つくらいの窓口が空いており、空港と何の変わりも無いが、「KANMON」のスタンプが押される、文字数の都合なのかもしれないが、「SHIMONOSEKI」ではなく関門という言葉には特別感があり、日本の出入国スタンプで一番好きかもしれない。もっとも、「空港と何の変わりも無い」と書いたが主要空港では顔認証ゲートの導入が進んでおり、このような窓口もだんだん珍しい存在になっていく。

このような港であっても、出国するとしっかり免税店がある。何があるのかしっかり見なかったが、タバコの広告が目立つ。

ところで、ターミナル内からところどころに中国・青島の地名が見られる。2015年に休止されたが、行き先によって違う言語の3か国語表示というのはなかなか良い。

この日の船は韓国籍の星希(ソンヒ)だった。英語で船体に記載されている文字は関釜フェリーではなく釜関フェリーになっている。

どういう経緯なのかはわからないが、地名表記は「下關」と旧字体でされていた。

どこのフェリーに乗っても基本的な設備は変わらないが、ものによっては韓国語と日本語の2か国語表記になっているのがやはり特徴的であり、国内航路にもなく、いろんな国を行きかう飛行機にもない、不思議な体験である。

1等室を1人で貸し切ると追加料金を取られるので2等室にしたが、かなり混雑していた。はまゆうだと2等寝台室もあるようだが、星希はすべて雑魚寝で、他人と隣同士で寝ることになる。申し訳程度の頭の仕切りも無い、真の雑魚寝は初めて乗ったが、これぞ本来のフェリー旅という気がしてくる。10人部屋で7人が乗船しており、韓国人の学生4人グループと、おじさんが1人、青年が1人、そして唯一の日本人である私だ。韓国人のおじさんが日本語で話しかけてくれて、布団を1つ片付けてくれたので少しは間隔を確保して寝ることができた。この船は部屋番号までしか指定されていないので、端を取りたければ早く乗船するしかないようである。ターミナルでは並ぶべきであった。

韓国人のおじさんは頻繁に来日しているだけでなく、日本で暮らしていたこともあるようで、話す内容も「新宿から八王子の間は大学が多い」といったように解像度がやたらと高かった。おじさんが話したがるのは万国共通で韓国人の学生グループは嫌な顔をしていたが、完全にアウェイの空間で言葉が通じる相手というのはやはりありがたい。

しばらく話しているとあっという間に出航時間となっており、デッキに出てみる。この船は1つの大きなデッキがあるタイプではなく、階段で狭いデッキ同士を行き来しなければならないが、前後左右全てにデッキがあるのでまず困らない。下関港から離れていく船には韓国の国旗がたなびいていた。

デッキプランは日本語よりも英語が目立つ記載になっていた。客室は4甲板から6甲板までの3層で、共有スペースには下からコンビニ、レストラン、自由なスペースがある。階級ごとに階を分けているのか、2等室でも窓付きの部屋で電波が入るのはありがたい。

ところで、デッキプランの左上の2等室はなかなか不思議な場所にある。普段は使わないのであろうが、看板を追うとまずデッキに誘導され、

そのうえで外を歩いていくと、

突如として4つの船室があらわれる。トイレとシャワーはあるのでこの空間から出なくても済むようにはなっているようだが、雨の日とかは大変そうだ。満員だと使われるのだろう。

少し戻って、3階の共有スペースだ。これは早朝に撮った写真だが、夜には韓国人が集まって談笑していた。

続いて、2階のレストラン。星希のレストランは休止中なので食事用スペースとして開放されているのだが、誰もいなかった。なお、朝に覗いたら従業員用の朝食を作っているのか、調理場から音が聞こえた。

給水機は動いていたが、紙コップがあまり見なくなったペラペラの紙製のやつ。台湾でも見たが、場所によっては割とまだ使われているようだ。

怪しい日本語によると給水機はレストラン以外にもあるらしいので、他も見てみる。

1階の給水機を見てみると、立体にもなっていない封筒のような紙コップが。歴史上のものと認識しかけていたので、見ることができてよかった。

1階には韓国のコンビニ「GS25」がある。2030年に釜山で万博をやるようで、街中だけでなくここでもアピールしている。

残念ながらカードは使えないが、日本円は使える。この日のレートは100円=920ウォンで、Visaレート(※1)と比べると3.6%程度の手数料ということになる。下関港には両替所が無いので通常は日本円しか無い状態で乗るわけだが、市中で両替するよりも良いくらいのレートだと思う。なお、レジの横に貼ってあるものをGoogleレンズで読むと箸50ウォン、スプーン50ウォンと書いてあるようだが、コンビニで食べ物を買った場合は無料でもらえる。また、私は気が付かなくてやってもらってしまったが、電子レンジには「セルフ」というテプラが貼ってあった(購入商品以外使用不可)。

商品も軽く紹介しておく。アイスは1800~2500ウォン

サンドイッチは2800ウォン。商品自体に値段が印字されており、市中と同じだと思われる。

ジュースは2000ウォンくらいで日本より高いけど市中コンビニ価格。ビールはロング缶で3200ウォンから?

カップ麺は1300~1600ウォン。あとお菓子とか日用品とか

お粥みたいな食べ物4500ウォン

麺は5000ウォンとか。サラダは大きいやつが4600ウォン

あとはソーセージっぽいやつがいろいろとか、何種類か食べ物とか

全ての写真は撮ってないが、おおむねこんな感じ。普段はカップ麺食べないのに船に乗ると食べたくなるが、辛さとか含めて何もわからないので、近くで子供が食べているものを買ってみた。パッケージに点字付いてるんですね。

同じ空間にある自販機は日本のもので、150円とか170円とか。自販機価格だけど韓国のコンビニ価格よりも安い。ビールは値段忘れたけどたぶん免税、ネットで調べたところ350mlが200円で500mlが250円かな。ところで飲酒年齢はどこの領海かで決まるんですかね。

あとはテレビがあるけど、もちろん韓国語。座席に飲食禁止マーク付いてることに後から気がついたけど、みんな食べてて結局よくわからない。

あとは休止中のカフェと免税店と、洋服着れるフォトスポット。

夜の写真と朝の写真を混ぜながら船内を紹介していたら時系列がごちゃごちゃになってきたが、あとは風呂がある。風呂の使い方の説明があって脱衣所戻る時に身体を拭けと書いてあったが、タオルを持ち込む文化は無いらしく脱衣所はびちょびちょになっていた。

部屋に戻るとコンセントは4口(韓国2、日本2)のうち3口が使われていたので、残りの1口を使って就寝。何度か目が覚めていたが、5時過ぎに日本語ができるおじさんが出て戻ってきた。私もいつまでも寝てられないので、再び船内の座席とかで過ごす。

朝の5時半の時点でカウンターの前には下船待ちの荷物が並び、

そのうち係員が動かし、

7時過ぎにはここまで増えていた。乗船時の港はまだ警察官とか立っていたが、ここは誰もいないところに荷物だけが並ぶ。盗まれるとか考えないのかな。

そうこうしていると6時には釜山の景色が見えてくる。

だんだんnoteの文面がひどくなってきたが、圧巻。

釜山港は橋をくぐってツインタワーに向かっていくというかなり良い構図で入港していく。車の出入り用の坂が前方右側に跳ね上げられているのが少し邪魔だが、この光景を正面から見られるのはかなり良い。

同じようなビルが大量に並んでいたり、ひたすら住宅が並んでいる山だったりは見ていて楽しい。港というのは何も無いところにあることが多いので、こういう都会にフェリーで入港していくのは新鮮な光景。

6:20頃に橋の下を通過し、

船会社の名前が書かれたコンテナの横を通ると、

対馬行き高速船が隣に見えてきて、

6時40分、大都会、釜山港に入港。しかし、出入国手続きのための職員が働いていないので、8時10分まで下船はできない。

入港と同時にGS25の納品車がやってきたが、何時ごろ入ってこられるのだろうか。

朝食は下船してからのつもりだったが、腹が減ったのでコンビニで4500ウォンのお粥。

さらに、足りないので1900ウォンのハンバーガー。本当はパンとかおにぎりとか欲しかったのだが、船内コンビニには無かった。

14時には港に戻ってくる必要があるので早く下ろしてほしいのだが、仕方ないので歯を磨いてひたすら待つ。8時10分に下船開始とは言っても、私は荷物で順番待ちをしていないので9時過ぎになるかもしれないな……と覚悟していたら、例のおじさんが声をかけてくれた。「俺の荷物置いてあるから、一緒に下りようよ」、おじさんは5時頃起き出したときにリュックを置いていたらしく、8時を過ぎてみんな並んでいるところに荷物を探して割り込んでいった。船内ではのんびりしていたおじさんだが、船を降りると入国審査場に向けて「走るよ」とダッシュしていき、私も羽田空港で京急に6分乗継するスピードで追いかけていく。

人が並んでいくところに着くと、まずは健康状態質問書を提出する。韓国滞在先に「Day Trip」と書いたら、「ホテルの名前は?」と日本語で聞かれてしまったが、「今日の船で帰る」と返したら伝わったのか不明ながら15秒で解放。続いて入国審査場は韓国人3レーン、外国人1レーンだが、ほとんど韓国人なので並ばずに進める。こちらでは一言も交わすことなく指紋と顔写真を登録して入国シールを貼られておわり。その後、保安検査なのか税関検査なのかわからないがX線検査を通す。X線の後は税関だが、旅行促進策でE-KTA免除と同時に税関申告書も不要になったようで、グリーンレーンをそのまま通過すると終わり。8時17分には建物の外に出ることができた。下船開始は8時10分よりも数分早かった気もするので所要10分くらいだろうか、おじさんのおかげで助かった。

釜山港も下関港と同じように駅とターミナルが徒歩で容易に往来できて、10分も歩けば釜山駅に到着する。おじさんが待っていてくれたので元のペースに戻って歩いていたが、また木曜日にパンスタークルーズに乗って大阪に行くそうである。「大阪でも下関と同じ値段なんだよ」と言うが毎週日本に行っているのだろうか。なお、帰りはクイーンビートルだと話したがご存じなかった。

地下鉄は駅の中を抜けて行って、反対側の地下にある。どこに行くか決めきれないまま着いてしまったが、おじさんが「新海雲台に行け」と途中まで案内してくれるので、とりあえず言われるがまま向かうことにした。長くなったがここでいったん記事を分けることにする。

注釈
1)2023年5月21日のVisaレートは、100 KRW = 10.489341 JPY (参照:https://www.visa.co.jp/support/consumer/travel-support/exchange-rate-calculator.html

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