患者さんの未来を変える【失行症】…あなたの担当患者さんは大丈夫?
お読みいただいている皆さんありがとうございます。
理学療法士の唐沢彰太です。
サロンにセミナーに、充実して過ごしています。
「みなさんは失行症の患者さん、担当した事ありますか?」
ある勉強会で講師をさせていただいた時、参加されていた100名のセラピストの皆さんに質問したことがあります。
その結果は、<担当した事ある>と答えたのは20%弱…約8割のセラピストの方がが<担当したことがない>と答えました。
これってほんとなのでしょうか…?
失行症は左半球損傷においてみられる高次脳機能障害です。
その出現率は文献によって大きく差はありますが、20%~60%とされています。
また失行症は、様々な症状の【症候群】であり、どの症状を失行症として出現率をみているのかによって大きく違ってきます。
ですが、運動麻痺や感覚麻痺では説明が出来ない運動障害がみられている場合、高次脳機能障害特に右麻痺患者さんでは失行症による影響を考えるべきです。
そのことを考えると、失行症の中のどの症状なのかはさておき、失行症がみられる患者さんを担当したことがある人が少なすぎます…。
失行症の代表的な症状に、道具を使用した錯行為があります。
古典的分類で観念失行と呼ばれるこの現象は、
・歯ブラシで髪をとかす
・髪をとかすブラシで体を洗う
などの道具の使用方法のエラーがみられますが、失行症といえばこの症状が浮かぶのではないでしょうか。
しかし、これらのような現象がみられる頻度はあまり高くなく、先ほどの観念失行のような古典的分類での観念運動失行が圧倒的に出会う頻度は高いんです。
この観念運動失行に気付くためには多くの患者さんを観察から介入まで経験していて、更に必要な検査を実施しなければなりません。
もし失行症に気付くことが出来なければ、失行症を考慮して臨床が出来ているかどうかが変わってきてしまいます。
これは、患者さんが回復期病院を退院した後、思わぬ事態を引き起こします。
私が生活期に転職してから、患者さんからの不思議な訴えが続きました。
「退院時は出来たのに徐々にできなくなってきちゃった…」
足が硬くなったなどの細かい変化ならまだわかるのですが、歩けていたのに全然歩けなくなったなどの大きすぎる変化の訴えでした。
更に、驚くべきことにこのような訴えをされる方の多くが、左半球損傷の方々でした。
気になった私は、このような訴えをされた方々に失行症に関する検査を実施しました。すると、全員中等度から重度の失行症の症状が見られました。
失行症のうちの模倣の障害や視覚性・体性感覚性の注意障害は、誤差学習を難しくしてしまう問題があり、自分で動作などの間違いに気付くことが出来ず、ちょっとしたエラーがどんどん大きなエラーへと増悪していってしまいます。
つまり、間違えた動作を繰り返す、毎回動作が安定しないなどが繰り返され、気付かぬうちに動作が下手になっていってしまうのです。
そこで、ご本人・ご家族へ失行症に関する説明をすると、
「病院ではそんな話聞かなかった」
とみなさん口をそろえて言われました。
回復期から生活期へとリハビリの場を変えたことによって気付けたこの深刻な問題は、恐らく日本中で起きていてしかも気付かれていないという更に大きな問題をはらんでいます。
失行症は、患者さんの未来を大きく変化させてしまうかもしれない、とても怖い高次脳機能障害だということをセラピストは知らなければなりません。
その上で、失行症について勉強し、その対応方法を考えていくことが必要だと思います。
あなたの担当している患者さんは、ほんとうに失行症ではありませんか?
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