今更『ゼロの執行人』を観たにわか野郎の雑な感想

ネタバレ全開。勢いだけの書き殴りなので「雑やな」と笑って頂いてかまいません。


元々『相棒』シリーズの脚本さんが担当したという前評判から
期待値は高かった作品ですが物凄く「らしさ」を感じた内容でした。
・オンライン機器の暴走テロというデジタル化が進んだ社会での大規模犯罪。
・惑星探査機帰還という現実の世情を最大限にケレン味として取り入れた終盤。
・社会の中での『正義』と『罪』の在り方を多重に問うシナリオ構造。
などなどが上げられますが、やはり目を引いたのは公安という組織の描き方。

小五郎のおっちゃんの逮捕に始まり、表に出せない協力者など真っ当でない扱いの数々。
そして事件が解決すればでっち上げた『罪』すら消してしまう一方的な傲慢さ。
全ては犯人逮捕し、国民の平和を守る為……。
という『正義』の名目の下に行われた無数の行為は、しかし明らかに黙認される『犯罪』でもある。
そして犯人の動機の大本は、その犯罪に対する怒りに端を発していた──

本作において「語られざる犯人」がいるとするなら、それはこの公安という組織そのものでしょう。
これを直接語る事無く、しかし観客に如実に伝えてくる「被害者」の筆頭として、
数奇な運命の末にその公安の協力者となってしまった人に、最後にそれを糾弾させる。
こんな構造は、通常のコナンのシナリオでは決して扱えず、劇場作品だからこそ可能な大胆かつ重たさの籠もったものでした。

それでいて、作品の要所要所をコナンとしてチューニングしてくる腕前も見事でした。
アクションシーンの数々や探査機落下の軌道修正という、
実写作品ではハードルが高い大一番を用意し、そこをしっかりコナン側の要素で描き切る魅せ方。
何より最たるものは安室透という男に、公安の代表者という大役を任せた事でしょう。

公安という特異な警察組織の強引さや傲慢さ、それが時に無関係な筈の第三者に牙を剥く理不尽さ。
普段は黒の組織という巨悪に立ち向かう為に見過ごされているとも言える、これらの要素をダイレクトに描く危うさ。
それをタフな生き様がファンに知れ渡っている、近年のコナンを牽引する看板キャラの
安室透という男を通して描く事で、危険球めいた脚本のバランスを取っていた。

苦悩しない訳じゃない。こんな事の積み重ねが本当に正しい訳じゃないと彼自身も分かっている。
それでも、譲れない正義を貫く為にやらなければならない覚悟があると、劇場に足を運んだ人の多くが知っている。
「僕の恋人は、この国さ」と命がけの場面でてらいなく言い放てる、安室透という『ゼロの執行人』。
タイトル通り、まさしく彼にしか背負えないお話でした。

少し、不満点を挙げるなら最後の安室とのやり取りでコナン=工藤新一は安室に対して明確に怒って良かったとも思う。
毛利小五郎とその家族に降り掛かった理不尽は「コナンを壇上に引き出す」という理由で片付けて良いものではない。
そんな真似をせずとも、素直に協力を求められれば済む話だ。
……そういう『正しさ』を選択できず、「被害者」の糾弾を聞いてなお言い訳1つ表にはしない。
それもまた安室透という男の一面であり、今更怒りをぶつけても意味はない。
そんな葛藤を飲み込んで、コナンの呆れたような「買い被りだよ」という言葉は放たれたのかな、と勝手に解釈してます。

そんな本作を締めくくるエンディング曲。
はい、恥ずかしながら公開時は完全スルーしてたんで直に聞くまで知らなかったんです。
────福山雅治マジで!!!!!!?????????マジでか!!!!!!!!???????
ガリレオの湯川を演じた男がコナンのエンディングってどんなコラボだよ!!!!!???????
その歌い出しが「真実はいつもひとつ」でコナンを代表するキャッチフレーズに始まり、
「でも正義は そう涙の数だけ」というこの作品をド直球で表す言葉を続けるとかストレートど真ん中じゃねえか!!
しかも歌詞全体は安室メインだけどコナンにもかかる内容で、最後の締めくくりが「だから探すよ 零の可能性を」とか1億点満点かな?????
────福山雅治ありがとう。貴方の愛とリスペクトで編み上げられたこの曲でこの映画は完成しました。本当にありがとう。

最後に。
安室さんはさぁ!!歴代のRX-7に感謝しろよ!!!!!!!
いつも貴方の廃車確定になるご奉公に毎回文句1つ言わず付き合ってるんだからな!!
あまりにも躊躇いなく無茶させてるせいでアクションシーンじゃ「あ、RX-7ぁーーーー!!!」って思うようになっちまったわ!!
ホントに感謝しろよマジで!!!!!!!!!

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