冷却スイッチと12時に魔法が解けても踊るシンデレラと義体アイドルの話


この前、声優がおじさんであることに気づいてしまった人が熱冷めたっていうのを反芻していた。
そして、そのコンテンツが好きな理由がなくなるとか、あるいは「もうないことに気づく」のが、コンテンツ熱の冷却スイッチなのかもしれないと思った。

例えばアイドルコンテンツもので、好きな理由が
「生身の声優によるライブ再現の完成度」
だとしたら、声優の本来のスキルではない部分を好きになっているので、冷却スイッチ押される確率は7割以上になると思う。

また、生身のアイドルには引退(現代語で卒業)というものがある。
その魔法のシステムは、元アイドルのその後は、アイドルであった頃のその人には影響を与えない(実際は与えるけど)というもので、そこまでが商品としてパッケージされた偶像になるものだと思う。

山口百恵とかまゆゆとかももちとかは、まさにそんな感じ。
完全にアイドルの自分を偶像としてパッケージ化して、あとの自分はその時の自分と今の自分は他人みたいに消えた。アレは本当にアイドルだなぁと思う。FGOのアルターエゴのリアル版みたい。

ただ、芸能人で残ってる人たちとか役者さんになってる人も別に悪いのではない。
とりあえずアイドルとしての彼女らはパッケージされているのだ。
「自分はこれしかできない」というのがあって残ってる人も多分いる。
星野源だかも言ってたんだよ「これしかできない」って。
これを仕事にしないと生きられない。そういう人もいるよな。その良し悪しはともかく。

しかし、それが二次元のキャラである場合、「永続的に」理想の女性あるいは男性であり続ける。引退というものが存在しない。本当に永遠に綺麗なまんまの偶像だから。
ファンにとってそれは多分素晴らしいことなのだと思うけど、同時に声を演る人が肉体もそちらに合わせてなんやかんややっていくスタイルのコンテンツにおいては、それはものすごく残酷なシステムなのではないかと思った。

12時になって魔法が解けても踊り続けるシンデレラになってしまう。
ボロボロの服だけどまだ踊らなきゃって。
キツい。しんどい。私なら精神障害発症してる。
でもガラスの靴(まだ魔法がかかってる部分)は本物だったりするんですよね〜キツさがマシマシ。

このあたりはVtuberとかだと、まだ長く続けられたりするのかもしれない。
ただ、秘匿性が高すぎて、誰か関係者に1人でもバ……性根のよろしくない人がいると大変なことになるので、また別の理由で寿命が短いという可能性はある。

あとキングアンドプリズムとか。ああいうのは息が長いのではないかと思う。

攻殻機動隊の世界になったら、アイドルも義体で、マジでほぼ永遠にアイドルとかもあるかもしれないですね。平均年齢60歳のアイドルグループ。カンレキガールズとか(アホか)
ただ義体の値段がコンテンツでペイできるぐらい売れないと大変だけどね。バカみたいな長期投資だから。

てか永遠のアイドルなら、そもそもガイノイド(アンドロイド、AI)でいいのかも。
人間性を排除した人の形をした何かがアイドルなら人間である必要はないよな……?
人間を人形にすることの歪みに比べたら人形を人形として扱う方がまだ歪みは少なく思えてしまうな。
そういえばデトロイトでもなんかアンドロイドとのセックスの方がどうとか書いてあるシーンあった。

ゴーストがなければ(攻殻用語をぶち込むな)恋愛もしなさそうだし、ほんとの最高のアイドルって、ガイノイドとかアンドロイドとかAIとかかもね。