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Moon Danceの夜―横を向いて歌う君―

2020.8.9NU_JOURNAL vol.004[MINHYUN BD 2020]の再掲  https://oli95kan.booth.pm/items/2281793

もう4年経ってしまったんですね…ずっと、自分のところにまとめておきたいなと思いつつ、そのままになっていてふと思い立って自分のnoteに持ってきました。今見ると、正直恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない文章なんですが、NU'ESTあるあるの音と歌詞がリンクしている!ということにかなりの衝撃を受けて、大興奮してしまったという自分にとって素敵な経験を文章にまとめたものだったので、自分の近くに持って来てみました!NU_JOURNALという素敵な空間を作ってくれたOliさんにも感謝です!

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Moon Danceの夜―横を向いて歌う君―

ミニョンの夜

The Nocturneの1曲⽬、Moon Danceはご存じの通りミニョンがメインで作詞した曲です。Moon Danceについての⾔及はいくつかありますが、中でもベッコちゃんとボムジュさんのvlive(*1)が詳細でうれしいです。それによると、ミニョンは、曲のコンセプトを全部作って録⾳室に持ってきて、切⽻詰まった感じで説明したそうで、Moon Dance にミニョンが主体的に関わっていることがわかります。

こんなに積極的に説明するミニョンを⾒たのは初めてかも、かわいかったとボムジュさんは⾔っています。でも、かわいいだけじゃないんです。ボムジュさん、コンセプトについて⾯⽩くて温かいながらも何かすごくムードが良かったとほめています。ベッコちゃんも、歌詞がきれいで情景が⽬の前に浮かぶようだとほめていて、コンセプトについても、絶対にそれで⾏こう!となったと話してます。この話を聞いて、ミニョンの思う夜が⾊濃く描かれているこの曲について、知りたいという気持ちがムクムク出てきました。

La La Landの夜

ミニョン⾃⾝の説明としては、アルバム発売翌⽇に出演したラジオで、Moon Danceのガイドを初めて聞いたときLa La Landの天⽂台の前で踊るシーンを思い出して、歌詞を書いたと話しています(*2)。

La La Landってミュージカル映画ですよね!この⽉明りの下で歌いながら踊るシーンは恋が始まるロマンチックな場⾯ですが、ここでエマ・ストーンとライアン・ゴズリングが歌うA Lovely Nightという曲では、タップダンスっぽいステップを合わせたり、掛け合いを楽しむコミカルな動きも⾒られて、ミュージカル映画特有の歌って踊る楽しさが感じられるシーンです。MoonDanceにはきれいでロマンチックなだけでなく楽しい雰囲気も込められているのかな等と楽しい想像が膨らみます。

Moon Danceの夜に繰り出そう

今回は、ミニョンが熱⼼に語ったコンセプトがどんな⾵に⾳に現れているのか知りたくて、歌詞を照らしつつ、⾳を中⼼に曲を聴いてみました。と⾔っても、⾳楽の専⾨的な知識は全くないので、表現が拙く、⾳を⾔葉で表すということができているのか⼼配です。でも、歌詞の構成を参照しつつ⾳に浸って聴くという聴き⽅がとても楽しかったので、よろしければ、お⼿元に⾳源と歌詞をご⽤意の上、⼀緒にミニョンの描く夜の世界に繰り出せたらうれしいです。

夜の⾳・⽉明かりの⾳

冒頭、「ファンファンファンファファンファーンファファ」と⾳が鳴った瞬間、夜の世界が作られますよね。ヘッドフォンで聴くと、⾳が右から始まって左右左と移動して、闇がぶわっと広がり⼀瞬にして夜の世界に連れて⾏かれます。まさしく夜の⾳です。

そして「손을 잡아(⼿を繋いで)With me dance with me」(*3)(0:04)と歌が始まるんですが(以下、손을 잡아パート)、ここに柔らかいキーボードの電⼦⾳が全⾳符(四拍分)で、ポーン、ポーン、ポーン、ポーンと⼊ってきます。この⾳は和⾳なんですが、和⾳を弾くタイミングをずらしてポロロンと鳴らしています。これにより柔らかい⾳がさらに柔らかくなり、⽉明かりの⾳に聴こえませんか。さらに「꺼내 입고서(取り出して着てから)」(0:13)でこの⽉明かりの⾳がきらり〜んと光るんです。聴くたびに、この上品なかわいらしさ、⼀体どうすれば!という気持ちになります。

この部分で⼀か所だけ引っかかっていたのが손을 잡아パートの最後の「커튼을 치고 우리(カーテンを閉めて僕たち)」という歌詞です。歌は「Dancing in the moon - light Yeh」と続くのに、なぜカーテン閉めるのかずっと疑問だったんですが、この⽂章を書きながらはっと気が付きました。「カーテンを閉めて」は夜の訪れの例えで、それを⾳で表したのが冒頭の「夜の⾳」ですね!!ヘッドフォンの⾳が左右に動くことでカーテンを閉める様⼦を表現しているのだろうと⼀⼈で確信し、興奮しています。

それにしても、夜というカーテンを閉めて、⽉明かりの中で踊るというミニョンの発想が、本当に素敵です…。そしてそのコンセプトをにゅいらしい⾳で⾒事に具現化するNU’EST、恐ろしいグループです。少し余談になってしまいますが、JR君の夜の概念コスプレのマントも、もしやこのカーテンからの発想ではと考えが及び、ちょっと楽しくなりました(*4)。

さて、この손을 잡아パートは全部で4回(0:04、0:57、2:02、3:05)出てきますが、それぞれ⾳が違っていて⾯⽩いです。2回⽬は後ろで「んぱっぱっぱっぱっ」というコーラスが⼊って軽快さが出てきます。2回⽬と3回⽬は似ているんですが、3回⽬になるとさらにドラムが四分⾳符で1拍ずつ刻み始めます。この손을 잡아パートは、好きな⼈をダンスに誘うところなので、徐々に⾼まる気持ちを⾳で表現しているのかななどと思いながら聴くと、この微妙な違いがすごく楽しくなってきます。

Moon Danceが始まるよ

「Dancing in the moon - light Yeh」の部分(以下、Dancingパート、0:25-0:36)に⼊ります。ここは踊っている場⾯ですが、「Dancing in the」に合わせたドラムをきっかけに静かな感じから⼀転し、⾳が動き出します。低⾳や重いドラムの⾳が下で鳴って厚みをつけ、シンバルで刻む軽やかなリズムは⽉の光が踊っている⼆⼈に降り注いでキラキラと⾶び跳ねてるようにも聴こえます。さらに「Dancing in the moon - light Yeh」と「夜の⾳」が掛け合いのように交互に流れるところが、La La LandのA Lovely Nightの掛け合いを思い起こさせます(これはこじつけすぎかもしれませんが…)。⾳が重なりあい、動き出して、ダンスを踊っている様⼦を上⼿く表現しているなと思いました。

軽やかなミニョンともそもそJR

Dancingパートが終わるとJR君のラップパートに移ります(0:37-0:57)。先ほどの「⽉明かりの⾳」が柔らかくメロディーを奏でて、ギターの⾳でリズムを取っています。前半は「달빛이 쏟아 내려(⽉の光が降り注ぐ)」「너와 날 서로 비추며(君と僕を互いに照らして)」と歌詞と⾳がぴったり合っています。

ここで気になるのが後半です。JR君のラップ部分、段々声が⼩さくなって最後には、ぼそぼそと独り⾔のようになっていますよね。毎回「んん?今、何て⾔った?」と気になっていたんです。今回確認してみたら、歌い⽅と歌詞がJR君のオタクキャラにぴったりで思わず笑ってしまいました。

발이 점점 가는 곳은 너야(⾜がどんどん向かうところは君だ)
우리 손은 가까워져(僕たちの⼿は近くなる)
지금 분위기에 취한 채(今、雰囲気に酔ったまま)
어색해도 몸을 맡긴 채(ぎこちなくても体を預けたまま)

Moon Dance Lyrics by MINHYUN, JR, BUMZU

思いは強いのに(너야ノ!ヤ!と強調がすごいです笑)上⼿く振る舞えないぎこちない様⼦をもそもそ歌うJR君がかわいすぎます。さらにいいのは、その独り⾔に⾼⾳で被せてくるミニョンの「Come on by my side」です。もじもじしているJR君の気持ちを「つまり僕のそばにおいでってこと!」とミニョンがストレートに代弁してあげながら、軽やかにふわりと⾶び越えていくようで、この対⽐が楽しすぎて、この部分を聴くたびににこにこしてしまいます。

眠れない夜には

3回⽬のDancingパートが終わるとクライマックスとも⾔うべきミニョンのパートが来ます(2:45-3:06)。素朴なアコースティックギターの⾳で静かにリズムを取る中、「다른 낯선 밤들이 찾아와」の前後でウィーインイーーン(2:45-)、トレウィウィーン(2:51-)ってエレキギターの⾳が霞のようにたなびきます。そしてこの部分はエコーがかかっていて、冒頭の손을 잡아パート(0:04-0:24)の⼿拍⼦とこの部分の⼿拍⼦を⽐較するとずいぶんと柔らかく感じられると思います。素朴なギターの⾳と⽢いエレキの⾳、柔らかく響くエコーによって、どこか懐かしい雰囲気が出ていますよね。

ここで、少し⾳量をあげるとぷつぷつというノイズが聴こえるでしょうか(「우리 함께했던 날」の後、3:03-3:04辺りがよく聴こえます)。このノイズ、ここに限らず、冒頭の손을 잡아パート、JRのラップなど静かな部分では聴こえます。このノイズでレコードのような感じが出て、⽉明かりの下で、レコードをかけて踊るようなノスタルジックな情景が浮かびます。

この部分の歌詞で⾯⽩いのは、「우리 함께했던 날(僕たちが共にした⽇を)」と現在を過去と捉えて描いているところです。⼀旦、「別の⾒知らぬ夜」という将来に時点を移して、そこから現在を振り返っています。そういう歌詞に合わせて、どこか懐かしさを呼び起こす⾳にしているのかなと思いました。

다른 낯선 밤들이 찾아와(別の⾒知らぬ(いくつかの)夜が訪れて)
그대를 잠 못 들게 한다면(君を眠れなくするなら)
다시금 떠올려요(もう⼀度思い浮かべます)
우리 함께했던 날(僕たちが共にした⽇を)

Moon Dance Lyrics by MINHYUN, JR, BUMZU

素敵な夜は続きます

ベッコちゃんによる4回⽬の손을 잡아パート(3:05-3:13)が静かに流れて、ここで終ってもよさそうなんですが、最後にもう⼀度Dancingパート(3:14-3:34)が来ることで、楽しいひと時が続くことが⽰されます。そして最後のお気に⼊りの部分は、「夜の⾳」(3:34-)が「フォンファ、ファンファファン」と上がって終わった後の余韻です。「夜の⾳」で夜を感じていたはずなのに、その後の余韻で夜の静けさをより深く感じられます。その対⽐から無⾳の現実の夜に戻っても、⼼の中では「Dancing in the moon - light Yeh」が鳴り響いている、そんな気持ちにすらなります。

横を向いて歌う君

私が感じたことを⻑々と書いてしまいました。ミニョンの歌について考える時、いつも横を向いて歌っている姿が浮かびます。昔のvliveなどで隣にいる⼈を捕まえて、真横を向いて熱唱するあれです(*5)。この姿を⾒るたびに、声を合わせる楽しさを共感したいという気持ちが伝わってきて、⼤好きなんです。

今回、Moon Danceの歌詞を⾒ながら、⾳に浸っている時間が本当に楽しくて、ミニョンの描く夜の世界に少しだけ⾜を踏み⼊れ、ほんの少し共感することができたような気がしています。この共感は⼀つではなく、ラブの数だけあるのではないかと思います。

この⽂章を書いている途中に、Esquireのサイトにミニョンのインタビューが公開されました(*6)。その中でミニョンは、「多くの⼈々が⾳楽を聴きながら、多様な感情を感じるようになります。これを⼀緒に共有する過程で⾃然に考えが繋がって共感を得ることになります。私の場合には、誰かの声と言える全体的な歌詞の流れやリズムを噛みしめるのが好きです。そうすれば⾃然と創作者とリスナーが繋がる感じを受けるでしょう。」と話しています。これを読んだとき、私⾃⾝がしようとしていたことはこれだったのかとミニョンから⼩さな⼩さなキラキラ光る宝物をもらったような気がしました。

お誕⽣⽇おめでとう。

*1:20200527vlive [NU'EST] 좋은밤^^ (40:58) (https://weverse.io/nuest/live/3-107178151
*2:[FULL]러브사랑 뀨디사랑 보여주고 가신 뉴이스트 와 함께 굿모닝(1:40:14)(https://youtu.be/zTAkuIfaNuM?t=6014)
*3:以下、歌詞の引用は全てMoon Dance(作詞MINHYUN, JR, BUMZU)からのものです。引⽤部分の括弧内は歌詞の⽇本語訳でkaranariによるものです。引⽤は、著作権法及び⽂化庁の⽰す引⽤の要件に従っています。
*4:JR君の夜の概念コスプレはこちらで⾒られます。
[Choreography Video] NU'EST - I'm in Trouble (Winning #1) : Thank you for L.O.Λ.E
https://www.youtube.com/watch?v=44PRriJVNoU)
*5:NU'EST V time : 2017 NU'EST의 LUCKY CARD만들기(6:30)
https://weverse.io/nuest/live/2-107949102?begin=389)
*6:임건 (2020) “뉴이스트 황민현을 만나 ‘목소리’에 대해 물었다” Esquire Korea(https://www.esquirekorea.co.kr/article/47707

見出し画像:Instagram optimushwang_20211119(https://www.instagram.com/p/8YYg64E762/


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