「西園寺さんは家事をしない」の構成力とおもしれー女ぶりにハマっている話
tiktokで流れてきた動画に映っている子役の子が可愛い〜♡というだけでおっかけ観始めた
ドラマ「西園寺さんは家事をしない」
まんまとハマりました。
どうすんのよ、私この夏はラストマイルで忙しいのに!
と思いながら、気がつけばドラマ見始めから2日で原作漫画まで一気読みしている始末。
お分かりですね?
そうです、ハマりすぎて正気ではないです。
(オタクにたまによくある事象)
そんなわけで「西園寺さん〜」の好きなところをここにしたため、少々正気を取り戻したいと思います。
なお、これを書いている時点では6話放送前のため、5話までを視聴しての感想です。
最終回まで完走してないのにもかかわらずこれを書くあたりにも、正気じゃなさを感じていただければと思います。
展開に関するネタバレは含まないように注意を払いながら書きましたが、絶対に何も事前情報を入れたくない方は回れ右でお願いします。
意味のある改変とエッセンス抽出力
原作と比べると、結構色々違います。
瑠衣さんの亡くなった理由も違えば、楠見さんの理系男子感もほぼ出ていないし、ルカちゃんは原作だとおよそ4歳とは思えないしたたか女子っぷりです。
原作と異なる、と聞くとどうしても件の事件を思い出し肝が冷えるのですが、
「西園寺さんは家事をしない」の原作者、ひうらさとる先生は、
まじで誰よりも楽しんでいます。
目線がオタク過ぎる
ドラマを観ていると、ここまで原作者が楽しめる理由がなんとなく分かるなあと思うのです。
何故なら、一つ一つの改変に意味を感じるから。
例えば第1話は「自分でやるのか人に頼るのか」というテーマにかなりフォーカスを当てていて、
そこを視聴者に1時間で分かってもらうために、原作で後ろの方に出てきた西園寺さんのお母さんのエピソードを前に持ってきたり、そのテーマを伝えるのには必ずしも必要ではない理系男子描写は削げ落としたりしていました。
全体的に心理描写にかなり重きを置いており、漫画では触れていなかった機微もかなり補足されていて、そのために必要な改変も加えている印象です。
1クールのドラマとして、1話1話として何をどう伝えたいのかが明確に見える構成だなと毎話思います。
原作で「ここが違ったらもうこの話じゃないじゃん!!?!?」となるような台詞やシーン、メッセージは変えていないのですよね。
(※私の場合はドラマ→原作の順で触れているので、もしかすると原作ファンの方は違う感想をお持ちかもしれませんが)
作品への愛情やリスペクトが制作陣全員にあるのだと思いますし、同時に作品への読解力、ひいてはエッセンスを抽出する力も素晴らしいのだと思います。
そしてこれをバランスよく脚本に反映する脚本家の御二方。
凄い、これがプロですね。
感情の複雑さとそこに居るキャラクター
ラブコメに求めるものは人それぞれで、ぶっちゃけイケメンとヒロインがイチャコラしていれば何だってOK⭐︎という視聴者もいるでしょう。
ただ、今回はルカちゃんの存在があり、亡くなった瑠衣さんの存在があります。
安易に恋愛へ走りすぎると「ええ……それはどうなの……」と反発を受けかねません。
ゆえに視聴者に納得してもらうために、この作品ではかなり慎重に、丁寧に心理描写をしているように思います。
描写の中でも特筆すべきは西園寺さんの「恋愛感情」と「偽家族を大事に思う感情」を分けて、そして混ぜているところです。
それぞれの感情があることを描いた上で、優先順位をつけている様だったり、ない混ぜになっている様だったりという感情の移ろいがよく分かる展開になっています。
記号的な「好き♡」ではなく、この時にカオスになる感情を時間をかけて描き出していることで、キャラクターの奥行きが生まれているように思います。
なんていうか、多分、西園寺さんうちの会社に居ると思うんですよね。
フィクションなんだけど、なんか西園寺さんとたまにランチしてる気がしてきて。
感情移入できるのとはまた違う、リアルさを味合わせてくれています。
そして、何より「2人が大事だ」という感情に最も比重が乗っているのも良いです。
恋愛だとか信頼だとかラベリングはたくさんあるけれども、それを剥がしたシンプルな感情を押し出してくれることに、展開的にも西園寺さんというキャラクター的にも何だか安心感があります。
そうだよね、西園寺さんってそういう人。
今後、楠見さんの感情ももっと掘り下げられるのでしょうか。
「親」さを醸し出す関係性
ドラマの役者陣は皆さん演技派かつハマり役だなと思うのですが、中でも子を持つ親としては松村北斗さんの親っぷりが素晴らしいと思っています。
ルカちゃんへの楠見さんの声の掛け方やトーン、その時の動きが、なんかもうまんま3歳の息子に対する私の言動なんですよ。
え?私、観察されてた?という感じです。
なんで子どもいないはずなのにこんなにリアルなんでしょう。
咳が出ちゃったルカちゃんへ大丈夫?とさらりと声掛けする楠見さん、おお?と思ったらやっぱりアドリブで驚きました。
常に意識の中に子がいて、すかさず声をかける感じ。あれはもう親。
松本若菜さんもとい西園寺さんの振る舞いも家族感溢れるのですが、親というよりはお姉ちゃん感、あるいは保育士さん感がある気がします。
これはこれで西園寺さんっぽさがあり、役柄にぴったりです。
いずれにせよ倉田瑛茉ちゃんとの関係性がしっかり築かれているからこそ、細かな振る舞いがリアルなのだと思います。
メイキングが時々SNSで流れてくるのですが、どれもこれも尊くて本当に最高です。
もっとくれ。
声質のバランスの妙
マニアックな視点かもしれないのですが、このドラマの役者陣は異様に声のバランスが作風に合っていると感じます。
ベテラン声優として名を馳せている津田健次郎さんのお声が良いのは言わずもがなですが、松村北斗さんのお声も大変素敵です。
お二人とも落ち着いている声ではあるのですが、でも声質としては違ったタイプなのも、キャラクターの違いを際立たせるようでまた良いなと思います。
松本若菜さんの高すぎずでもはっきりとした声も、このコメディータッチな作風の中にあって聴きやすく、安心して物語に入っていけます。
倉田瑛茉ちゃんのお声も大変可愛らしいですが、あまりキンキンとしていないのでイヤイヤしている演技でもストレスを感じないのが素晴らしいです。
特にテンポの良いコメディドラマの場合、個人的にストレスになりやすいのは、
「声が重なって区別がつかなくなること」
「テンションの高い演技故に声が耳に刺さること」
「早口で何を言っているか聞き取れないこと」
なのですが、これが全くないんですよね。
家事をしながら視聴することも多いので、本当にありがたいなと思います。
「やりたいことをやる」衣装や内装
このドラマ、服やセットも大変素敵です。
西園寺さんはしごでき(仕事のできる女)かつ固定概念に囚われないキャラクターだと思っているのですが、それがよくわかる色や形や組み合わせのセンスが光ります。
そして着ているのがMARNIだったり、お高めブランドがさらりと入ってきているのがまた良いですよね。こんな服の選び方する人、たしかに賃貸付一軒家買いそう。
家もわんこの家が備え付けられていたり、フラットな作りになっていたり、細かなディテールに「やりたいことをやる」感が滲み出ています。
単なるズボラではなく、好きなことには時間も手間もお金も惜しまないという性格が伝わってくる感じがするんですよね。
時間は限られ台詞に使える時間も決して多くない中で、画面に反映される全てで情報を伝えようとしている印象があって、スタイリストさんや美術さんの気概を感じました。
結局、キャラクターが最高
何やかんやと書き連ねましたが、結局のところ何がいちばん魅力的かと言えば、西園寺さんをはじめとしたキャラクター達が皆素敵であることに尽きます。
西園寺さん。
本当おもしれー女すぎて推すしかない。そしてあれだけやりたいことをやりながら、あれだけ周りの人望を集めているのは凄いことです。
楠見さん。
あれだけ有能なのにでも不器用、でも誠実というのが良いですよね。そりゃ瑠衣さんも惚れる。ダメな親と言っていたけれど、そう振り返れるのは良いお父さんです。
ルカちゃん。
天使。大袈裟でなく世界平和はあなたの笑顔にかかっています。
ルカちゃんが泣いたら私も号泣率100%。
陽毬ちゃんは一家に一台必要な存在ですし、洋介は……まあ家には微妙ですが飲んだら楽しそう。
横井さんもギャップ萌えの嵐だし、レスQメンバーも一緒に仕事したい方々ばかりです。
(ごめんなさい、一人一人書きたいけどさすがにキリがない)
このキャラクターたちに、そしてこの作品に出会えて良かったと思います。
放送中に出会えたことを幸運と思って、この夏は毎週火曜日を楽しみに過ごしたいと思います。
みんなもみましょう!!!
おわり