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今こそ振り返りたい、メイショウサムソン
※このノートは「misskey.io競馬部アドカレ Advent Calender2024」の12/24の記事です。また、サムネはの黒井澪(KuroiRay)さん(@kuro_kuro_kuroi@misskey.io)作成のものを使わせてもらってます。ありがとうございます。
ちわ!からくれです。
先日、私を競馬に引き込んだ名馬であるメイショウサムソン号が息を引き取りました……。その際、私はこんなノートを書きました。
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そんな中、競馬部アドカレという素敵な機会をいただいたので、私自身の振り返りも兼ねてまとめてみようと思います。
1.メイショウサムソンのあれこれ
2003年3月7日生まれ。
父オペラハウス、母マイヴィヴィアン。
生産は浦河の林孝輝牧場。
馬主は松本好雄氏。
調教師は瀬戸口勉氏から、定年のため高橋成忠氏へ転厩。
父オペラハウスはイギリスの生まれ。1993年のコロネーションC、エクリプスS、キングジョージの勝ち馬。
翌年から日本で種牡馬入りし、サドラー系に多く見られる勝負根性に長けた馬を多く輩出しました。また、パワー・スタミナにも長けており、ダートや障害重賞に名を残す産駒が多いです。
ただ、スピードが求められる日本の芝にはなかなか合わなかったようで、芝G1を勝った産駒は2頭しかいません。産駒に1頭バグみたいな成績残してる馬がいますね……。
母マイヴィヴィアンは現役時代10戦0勝。父(サムソン視点だと母父)ダンシングブレーヴ、牝系は辿っていくと小岩井の基礎輸入牝馬フロリースカツプや有馬記念勝ちもあるガーネツトなど錚々たる名前が並ぶ血統。ちなみに2020年にバゴの仔が産まれており(メイショウオオゾラ)、サムソンから見ると17歳下の弟という事になります。
松本オーナーは基本的に日高の中小牧場生まれの馬を多く揃える馬主で、日高には「松本オーナーを囲う会」なるものが存在するという話もあるほど関係者から慕われるオーナー・馬主です。
最初に管理する瀬戸口調教師は中央転入後のオグリキャップやネオユニヴァース、ラインクラフトなども管理した名伯楽でしたが定年を間近に迎えていました。
そんな中で、「メイショウさんの馬がいないのは寂しい」という事で選ばれたのがメイショウサムソンでした。なんと700万での取引だったそうで、そんな馬が後にフサイチやアドマイヤなどの1億円以上で取引された馬と鎬を削るわけです。
2.見てほしいレース
全部見ろ
となると時間足りないと思いますので、私が好きなレースを3つ挙げておきます。皐月賞とダービーはよく取り上げられるので(当社比)それ以外で。
①2006年3月19日フジTVスプリングステークス
前年の朝日杯FSを勝ったフサイチリシャールや、後にクラシック戦線を共に戦うことになるドリームパスポートが出走。サムソンは14.5倍の4番人気。
大外からスタートを決め先団でレースを進め、直線では後方から内を突いて上がって来たドリームパスポートと外側から迫るフサイチリシャールの猛追を振り切りクビ差勝ち。特にドリームパスポートについては一瞬抜かれるもそこから盛り返しての勝利でした。「サムソンといえば勝負根性」と言われますが、このレースが究極形になると思います。
この後皐月賞本番に向かうわけですが、サムソンは6番人気、ドリームパスポートに至っては10番人気で結果この2頭のワンツー決着でした。競馬なにもわからない。
②2007年4月29日天皇賞(春)
前年の菊花賞を4着に敗れてその後のジャパンカップや有馬記念でディープインパクトにあっという間に置き去りにされるなどで3歳シーズンを終えたサムソン。翌春は当時まだG2だった産経大阪杯から始動(1着)し、春天へ。
前年のメルボルンCを制し「イワタヤスナリは最高のジョッキーだよ」と言わしめたデルタブルースや「ファストタテヤマで家をタテヤマ」と言われたファストタテヤマ、当時まだ5歳のトウカイトリック、武士沢チャレンジでお馴染み武士沢騎手が主戦のトウショウナイト、中山巧者の片鱗をみせるもまだ完全覚醒前のマツリダゴッホという、なかなか味わい深いメンバーが出走。
サムソンは菊花賞の結果から長距離適正を疑われて2番人気。前年のステイヤーズSと前哨戦の阪神大賞典を制していたアイポッパーが1番人気でした。
中団で脚を溜めたサムソンは2週目の3コーナー手前からジワジワとスパートをかけて4コーナーでは外側から先頭に出て、最後は遅れて上がってきたエリモエクスパイアの猛追をハナ差制しての勝利でした。
だいたいこの時期の春天、というか古馬G1ってディープインパクトのレースが語られがちですが、この春天のサムソンもライバルを競り落としながらの強い走りをしていたと思います。どちらもそれぞれの良さが有りますが。
③2007年6月24日宝塚記念
サムソンは残念ながら2着に敗れたレースですが、「世代として」見て欲しかったので。
この年の宝塚の最注目馬といえばやはり同年の日本ダービーを牝馬で制し、勢いのままグランプリへ殴り込みをかけてきたウオッカですよね。サムソンはウオッカに次いでの2番人気でした。正直その年の大阪杯→春天覇者の扱いではない。サムソンは中団でウオッカを見る形でレースを進め、春天と同様にロングスパートで大外から勝負をかけます。直線ウオッカはウチに入れて行きますがなんだか苦しそう。これは勝ったかと思いきや道中サムソンをしっかりマークして競ってきた馬がいます。
この年のドバイDFの覇者、「世界が見上げた月」アドマイヤムーンです。アドマイヤムーンについてもおいおい語りたいとは思いますが、残り200からは3歳牝馬なんのその、サムソンと一騎打ち。最後競り合いを半馬身制して勝ったのはムーンの方でした。「イワタヤスナリは最高のジョッキーだよ」。ちなみにムーンの取引価格は1600万ちょいでした。この2頭が06世代の2大巨頭になるわけです。競馬なんもわからん。
3.継承者たち
サムソンは競走馬引退後種牡馬になりました。ここではサムソンの血を残す産駒たちの話を……。
まず、サムソン産駒の重賞勝利馬は現状5頭。
・デンコウアンジュ(19福島牝S 20愛知杯 牝)
・フロンテアクイーン(19中山牝S 牝)
・ルミナスウォリアー(17函館記念 牡 地方抹消)
・キンショーユキヒメ(18福島牝S 牝)
・アスターサムソン(18京都HJ セ)
お気づきだろうか。そう、後継種牡馬がいないのである!!
しかし安心してほしい。まだサムソン産駒はラストクロップが今年デビューしたばかり!まだまだ期待したい産駒も沢山いますので、紹介したいと思います。
タイセイサムソン
来年7歳になる美浦・奥村厩舎所属のダートのオープン馬です。23年のアハルテケSの勝利があり、現状サムソンの後継種牡馬にほぼ唯一なれる可能性がある馬と言って過言ではないと思います。11月の霜月Sでほぼ1年ぶりの実戦。歳が歳だけになんとかG3以上勝って欲しいが……。
メイショウウネビ
個人的に一番思い入れのあるサムソン産駒です。初めて現地に行った日の未勝利戦で人気薄から3着に入り込んできて
「こいつサムソン産駒やのに買ってねぇええええええ!!」
とめちゃくちゃ後悔してから以降注目してます。
現在3勝クラス。芝の長めの距離で結果を残しています。
メイショウハント メイショウボナンザ
メイショウクメハチ、メイショウハント、メイショウフソウ、メイショウボナンザ。
この4頭が24年末に中央に登録があるラストクロップです。4頭だけなので全部追えるのですが、その中でも特に石橋厩舎所属の2頭をピックアップ。さらにボナンザは生産牧場もサムソンと一緒です。これからどのような未来を描いてくれるのか……。
また、母父としても先のデンコウアンジュやキンショーユキヒメには24年産駒が確認されていますし、サムソン自身の産駒は牝馬の活躍馬が多いので期待ですね。セブンマジシャンくんは早く3勝クラス勝ってOP入りしてください。
4.おわりに
正直なところ血統とか同期の話とかまだまだ語りたいこと山程あるのですが、これ以上とっ散らかったらえらい事になりそうなのでこの辺に留めておきます。タイセイサムソンが重賞勝つかセブンマジシャンがOP入りしたら書こうかな。
メイショウサムソンはその生涯を終えましたが、レース結果や血統表に名前がある限り思い出してもらえることができるというのは、競馬の良いところだなぁとつくづく感じます。
皆様も良き推し馬ライフを。
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