三雲修と若村麓郎は何が違うのか?
ーーーーー【注意】ーーーーー
以降ワールドトリガーに関するネタバレがあります。
最新話の内容を知らない方はブラウザバックしてください。
こんにちは。カラガラです。
皆さんはワールドトリガー245話をご覧になりましたでしょうか?
245話では、麓郎がヒュースに修との違いを尋ねるところから話が進んでいきます。犬飼の思いも絡んでくる中々に湿度のある話です。
そんな素晴らしい本編の内容はさておき、皆さんは修と麓郎の違いはなんだと思いますか?
メガネが違うとか髪の色が違うとかお母さんが近距離攻撃手だとか色々あるとは思います。
私はこの話を読んでから考えに考え抜き、両者の違いは知的謙遜なのではないかという考えに至りました。
知的謙遜とは何か?
知的謙遜とは、自分の知識や理解が限られていることを認識し、他社の意見や新しい情報に対して開かれた態度を持つことを指します。
ソクラテスが言うところの「無知の知」や「知らないということを知っている」状態というと分かりやすい人いるかもしれません。
例えばGoogleの採用でも知的謙遜は重視されています。
なぜ麓郎に知的謙遜が重要なのか
忍耐力、好奇心、中立性が高い
自分と意見が異なる相手でも、簡単に断罪をしない
エビデンスを精査するのがうまい
政治的な態度が急変しない
迅は修のことをこのように評価しています。
一方で、犬飼は麓郎をこのように評しています。
客観的に見て、どちらの人材の方がチームに勝ちをもたらすことができそうでしょうか?
私は修の方がチームに勝ちを呼び込めると思います。
例えば対戦相手の対策をするとしても、麓郎は一つの正解となる作戦を考えるでしょう。麓郎の想定通りに相手チームが動けば強いかもしれませんが、神様でもない限りはだいたい予想外の出来事に見舞われるものです。
また、答えを求める姿勢は柔軟な判断の阻害になります。197話のB級中位最終戦で、何回もMAPを確認していたことを皆さんも覚えていると思います。
「この状況で適切な答えはなんだ……?」といちいち試合中に考えているようでは、相手に主導権を握られたままです。
一方で、修は自分という駒の限界を理解しています。大筋の作戦はもちろん考えるでしょうが、自分の考えが間違っていた時のことも考え、代替え案やオプションを用意します。
この2人の差だけではないと思いますが、最終的な玉狛第二と香取隊の順位差の一因とはなっているでしょう。
どうすれば麓郎は知的謙遜を育てられるか
若村隊の隊長として、麓郎が成長していくにはどうすればいいでしょうか?
私が師匠なら、麓郎に以下のようなことに取り組んでほしいです。
指導する側になる
バイアスについて学ぶ
小説を読む
1.指導する側になる
一つ目は、指導する側になるということです。
麓郎は犬飼に「助言を受け止めるための器がない」と評されています。
では、助言を受け止めるにはどうすればいいのでしょうか?
それは、助言する側に回ることです。
ワシントン大学の実験では、「他の学生に教えなければいけない」と思いながら勉強したほうが内容を正確に思い出せる確率が高く、特に重要な情報ほど記憶に残っていたそうです。
私事で考えても、プレゼンをしなければいけない、会議で自分が発言しなければいけない物事は、普段よりも必死に覚えようとしたりしますね。
また、人に説明することによって、自分が何を理解して何を理解していないかが分かります。アインシュタインが言うところの「6歳の子供に説明できなければ、理解したとは言えない。」ですね。
麓郎はガンナー界隈では結構可愛がられているようです。であれば、ガンナー勉強会などを主催して皆とディスカッションする機会を増やすと、自分が何を理解していないかを理解でき、他社の意見を受け止める"器"もできていくのではないでしょうか。
2.バイアスについて学ぶ
二つ目にオススメしたいのは、バイアスについて学ぶことです。
バイアスとは、物事の判断が、直感やこれまでの経験にもとづく先入観によって非合理的になる心理現象のことです。
転職した方が労働条件が良くなる可能性が高いが、人間関係が悪くなったら嫌なので転職しない
自分だけは他の人に比べて交通事故に合いにくいと思う
今と比べて、中学生の頃は幸せだったと思う
などの現象に心当たりがある人は、もしかしたらバイアスに囚われているかもしれません。私も、このnoteはもっと早く投稿できると思っていました(計画錯誤バイアス)。
こういったバイアスに囚われていては、自分の知識の限界も分からないため、知的謙遜は鍛えることができません。
例えば、麓郎の正解を求めてしまう傾向は
といったバイアスが関係しているかもしれません。
すべての状況で完璧にやれる人間なんていませんが、そんな不確実な状況下で合理的な判断を下すためにも、自分の考え方の癖について麓郎には学んでほしいです。
3.小説を読む
三つ目にオススメしたいのは、小説を読むことです。
「この流れでどうして小説?」と思った人もいるかもしれません。たしかに一見すると、知的謙遜と小説は関係ないように見えますよね。
ですが、小説は麓郎の正解を求めてしまう性格に効く処方箋なのです。
トロント大学の実験によると、小説を読んだ参加者は、規則や秩序へのこだわりが薄れ、さらには曖昧な状況にも耐えやすくなり、そのおかげで手軽な答えを求める気持ちが鎮まったそうです。
特にフィクションの小説は、設定が現実とは違うものが多いです。妖怪が出てきたり、宇宙人が出てきたり。でも、そういった設定を「この本の中ではこれが当たり前なんだな」と受け止めなければ読み進めることができません。
それに、推理小説で探偵が犯人に追い詰められるような状況では、背後がきになる恐怖を自分も感じますが、それに耐えれなければ小説を読み進めることはできないものです。
そういった曖昧さや不快な感情に耐える力を小説を読むと鍛えることができます。正解を求めがちで責任に押しつぶされそうなジャクソンにはまさにうってつけだと思いませんか?
ぜひとも麓郎にはボーダー小説愛好会を立ち上げてほしいです。メンバーは諏訪さん、堤さん、おサノ、早紀ちゃんでどうでしょうか。
まとめ
麓郎と修の違いは自分の限界を理解しているかどうか
麓郎が成長するためには、自分も教える側に回り、自分の考え方の癖を知り、小説同好会を立ち上げよう
というお話でした。
おそらく246話ではヒュースが麓郎のなんやかんやをポッキリ折るのだと思われますが、ちゃんと挫折することも大事だと思いますので、ぜひとも彼には強く生きてほしいと思います。
それではさようなら。