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しゃがみ込む日々−ソウルフラワーユニオンを巡る雑感(2):こたつ内紛争

からふねです。
これから何回かはザ・ニューエスト・モデル(以下ニューエスト)にまつわる文章が続きます。
細かい時系列はぐちゃぐちゃですが、気にしない方向でひとつよろしく。

ニューエストが結成されてから34年経ちましたが、現在のソウルフラワーユニオンに至るまで、ライブの度に演奏され続ける曲があります。
それが今回紹介する「こたつ内紛争」
前回ご紹介した「エンプティ・ノーション」のc/w曲であり、メジャーデビューアルバム「ソウルサバイバー」の事実上の1曲目。
結成以来パンキッシュなサウンドを基本にして来た彼らが次のステップに踏み出した、記念碑ともいうべき楽曲です。

そんな曲なのにYouTubeで映像があまり転がってない…
これは多分1991年か1992年ぐらいのライブ映像。ニューエストとしてはだいぶ後期ですけど。

「ソウルサバイバー」所収のオリジナルバージョンは、ホンキートンクにハネるピアノと、絶妙に絡むDr.KYONのアコーディオンが印象的。すごく楽しげな音です。
ライブだと(上の映像にもある通り)イントロのフレーズのあたりでいつもテンポがスローになり、Aメロからサビまでのテンポアップが更に印象的になります。踊りださずにはいられません。

で、歌詞です。秀逸なので全部書いちゃいます。

君にしがらみ こびりついてる
上下左右 振り回されて
居場所を誰が決めるのか

君のくすぶり発火しないよ
遠い国へ夢はデカイよ
始まることがない不思議(なにもしないね)

OH! こたつ内紛争
出られないまま 時が過ぎてゆくよ
あきらめゆく箱の中で

今が春でも すぐに夏だよ
今が秋でも すぐに冬だよ
おもちゃは ちらかり放題さ(ちらかり放題)

OH! こたつ内紛争
出られないまま 時が過ぎてゆくよ
あきらめゆく箱の中で

君はいつでも教え説いてる
太っ腹なありがたい人
まちがい 認めない不思議

君のくすぶり発火しないよ
遠い国へ夢はデカイよ
始まることがない不思議(なにもしないね)

OH! こたつ内紛争
出られないまま 時が過ぎてゆくよ(わかってるって!)
わかってないよ!! 箱の中で

今、SNSでよく繰り広げられているじゃないですか、「左」と「右」の何ら建設的な方向も見出だせない果てしなき罵倒合戦が。
そんでよくいるじゃないですか、自分の間違いを絶対に認めない人が。認めたら自分が死んでしまうとでもいうように、頑なに認めない人が。
もしかしたら、この日本という国全体が巨大な「こたつ」なのかも知れません。のうのうと過ごしているとみんな「出られないまま 時が過ぎてゆく」んですよね……変えるには、こたつから出るか、こたつ自体を取っ払うか、どちらかです。
30年前に中川敬は既に言い当てていたわけです。

で、30年も演奏し続けていると、こんなコラボレーションもあります。
これは2013年の「ボロフェスタ」という京都のライブイベントでの映像ですけど、ソウルフラワーユニオンと、ノイズミュージックバンド:非常階段と、アイドルグループ:BiS(第1期)との共演です。
観客も含めて、まあみんな楽しそうなんだわ。ご覧あれ。

多分この曲はソウルフラワーが続く限り「オリジン」の1つとして一生奏で続けられるのでしょう。
中川敬は「分かってないよ! 箱の中で!」と叫び続けるのでしょうね。

さて次回は、これまたソウルフラワーの根幹をなす曲である「雑種天国」を紹介します。
それではまた。

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