しゃがみ込む日々−ソウルフラワーユニオンを巡る雑感(0):気がつけば30年
2019年も終わりに近づいています。
東京オリンピック・パラリンピックを来年に控え、アメリカと中国の嫌がらせの応酬も喧しい昨今。
そういえば、と気づく。
「1989年から30年経過したな」と。
1989年。不詳からふねが大学生の頃でした。
それまで洋楽一辺倒だった私が、日本にも素晴らしいアーティストがたくさんいることを知った年でした。
プリンセス・プリンセスには「ガールズロックバンド」という常識を破壊する勢いに熱狂させられました。
佐野元春には音楽と自らの生き様に向き合った誠実さこそが清廉なロックを奏でることを教えられました。
大学からの帰り道、駅の商店街の一角にある貸しレコード屋に入りました。高校の時からよく覗いていた店でした。
それまで見向きもしなかった日本のアーティストの欄も見るようになっていた折も折、私は1枚のアルバムをそこで探していました。
よく読んでいた音楽雑誌「ロッキング・オン」の後ろの方に、洋邦問わず新譜を紹介するコーナーがあります。普段辛辣なレビューが目立つそのコーナーにおいて、そのアルバムは絶賛されていました。
その頃の私はその音楽雑誌の言うことやることを無条件に信頼して影響されていましたが、絶賛ぶりがあまりに凄かったので、「そこまで言うなら」と一度聴いてみたくなったのです。
それがこのアルバム、「ソウル・サバイバー」。
演奏していたのは「ザ・ニューエスト・モデル」というバンドでした。
「最も新しいモデル」という名前に偽りはありませんでした。演奏は荒削りですが、パンクロックをベースに、リズム&ブルース、ファンク、カリプソ等の様々な音楽を融合させた、唯一無二の音になっていました。
そしてバンドのリーダーでありフロントマンでもある中川敬(なかがわ・たかし)の、ドスの利いた魅惑的な歌声。
この「ソウル・サバイバー」というアルバムを、その後何百回、何千回聴いたか分かりません。ダビングしたカセットテープは伸び切って3本に至り、その後CDでも、MDでも、そしてiPod、iPhone……もう数え切れないぐらい聴いていて、今も勿論聴いています。
あれから30年。
ニューエスト・モデル、メスカリン・ドライブ、そしてソウル・フラワー・ユニオン……アルバムは全て購入して来ました。その後社会人になったので足繁く通えなくなったがライブにもできるだけ赴いて来ました。
中川敬の思想に全て首肯できるわけではありませんし、決して熱心なファンではないですが、ソウル・フラワー・ユニオンとは付かず離れずの付き合いを続けてきたと自負しています。
……と、ここまでが、今年2019年の1月に拙ブログで連載開始を表明した「しゃがみ込む日々」の冒頭文でした。
ところが本業で忙しくなり、この連載のことをすっかり忘れておりました。情けない。
そこでこのnoteに場所を移して、ソウルフラワーにまつわる思い出を不定期連載で書いていくことにいたしました。
改めてではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。