本気でクソデッキ調整録〜主人公はインフレする運命〜
好きなキャラクターはいますか?
私はいる。
(MTGアリーナBO3スタンで、お前がこのデッキの主人公だ!!と入れたカードを、泣きながらサイドアウトするのが趣味の)筆者は、主人公が好きだ。
初めは運命に翻弄されるばかりだったケラン君が、最後は幻想の父親像と決別し、自ら道を切り拓く。素晴らしい。
今回の調整録は《ケラン・ザ・キッド》をデッキの主人公に据え、インフレを実現すべく奔走した調整録である。
1.
主人公と対比となる黒幕は誰が相応しいか?
答え︰《再覚醒したジェイス》
…このペアリング、最強か!?
一応ライバルキャラとしては《オーコ》《アクル》も存在した。
突然だが、名探偵コナンの話をはじめる。
劇場版コナンで《コナン》《怪盗キッド》《服部平次》がオールスターで味方して、《その映画の悪役》キャラと対決する…
‥いや無理だろwww
ぽっと出の悪役キャラで、味方のオールスターとまともにやり合える訳ないだろ。というか《怪盗キッド》を映画版ラスボスにしてくれ。《その映画の悪役》がかわいそうだよ。
そんな悲しい運命を享受した《アクル》には憐憫の情が尽きない。
閑話休題。
やはり、主人公の対比としてはネームバリューが必須。《再覚醒したジェイス》こそが相応しい。
《ケラン・ザ・キッド》と《再覚醒したジェイス》から導き出されるのは『3マナ以下計画』でちょっといかさまする動き。黒幕(ジェイス)の命令で主人公(ケラン)が初めてのお使いに出たら、わけわからんモンスターが2体仲間になった。というストーリー性が見えてクソデッキポイントが高い。
『3マナ以下計画』の互換パーツは《ケランの加入》も存在し、再現性もある。さて、クソデッキの時間だ。
いきなり5色なの、フルスロットル過ぎないか!?
まぁ回らない。
並べるだけで5色である。
連動して、中軸となりそうな『出来事』カードを各色から取り寄せて完成。したのだが、
…いくらなんでも、スタンでマナサポート無しの5色は無理があった。
黒はほぼ《執念の徳目》のみの為、1色カットの方針とした。《執念の徳目》自体はスタン最強の『出来事』カードではあるが『3マナ以下計画』ではなくノンシナジーと結論付けた。
2.
メインコンボは白青緑のバントカラー。相性の良い出来事パーツの為に、赤を加えるのが正道に見える。
『3マナ以下計画』を実施すると、より高いマナ域で出来事面がプレイできるのは下記3種。
意外だったのは《ベルーナ・グランドスコール》の強さだ。
かつてのスタンでは、ティムールアドベンチャー(青赤緑出来事)が禁止カードを排出した事がある。《創造の座、オムナス》や《幸運のクローバー》といった、脇を固める強すぎたカードも存在した。
しかし、ティムールアドベンチャーを真に難攻不落としていたのは、3マナ域のクリーチャー達だと考えている。
《ベルーナ・グランドスコール》は、これらに近いカードパワーがある(かも知れない)。出来事面が本体より重く、しかも出来事カードのデッキ採用総枚数に強さが左右される。それ故、スタンでばりばり活躍する、とは言えない。しかし、キーカードが出来事なこのクソデッキにおいては、コンボパーツ兼サーチとして活躍した。
もうひとつ意外だったのは《イモデーンの徴募兵》のイマイチさだ。スタンで最も活躍している出来事カード、なのだが。攻め手の薄いデッキでは真価が発揮できなかった。『3マナ以下計画』の上で出来事面をプレイする。というコンボムーブが狙いで採用しているが、同一ターンに本体をプレイする浮きマナが無く、全力を発揮し切れなかった。
全体速攻、という殺傷力の高さは学ぶものがあった。さて、別軸で殺傷力を高める構築は出来ないだろうか。
3.
殺傷力の高いフィニッシャー。お誂え向きにスタンで活躍中の組み合わせがあるではないか。
勝手にこの組み合わせを『カラミティエンド』と表記する。
主に赤緑で《密輸人の驚き》から繰り出される神の手刀であり、双竜紋の竜闘気でも防ぎきれない殺傷力を誇る。
フィニッシャーの複数展開は、本調整録クソデッキのメインコンセプトだ。ケラン君のインフレも待ったなしか!?
揃わねぇよ!!
3t目《ケランの加入》。《木苺の使い魔》を『3マナ以下計画』
4t目《ケラン・ザ・キッド》。《初めてのお使い》をプレイし、手札から7マナ以下のパーマネント呪文を唱える。《初めてのお使い》解決より先に手札から唱える為《カラミティ》《峰の恐怖》の両方が手札にあると「ざわ‥ざわざわ…」という効果音が流れる。
そもそも《初めてのお使い》の7枚めくりの時点でガチャにも関わらず、さらにギャンブル要素を加えては設定6の日でないと勝てない。
非伝説の赤ダブルシンボルは厳しかった。
《カラミティ》は非伝説クリーチャーを要求し《英雄の公有地》と《ケランの加入》は伝説クリーチャーを要求する。
残念ながらこのデッキは『真 大魔王バーン』とはなりえなかった。
学びは次に活かせばいい。伝説に寄せると、どんなクソが顕現するだろうか?
4.
伝説クリーチャーに絞れば、ガチャは《初めてのお使い》以外にも存在する。
《ケラン・ザ・キッド》のインフレは手札の超展開。手札1枚以下の制限とも好相性。さて、クソデッキの時間だ。
手札にゴミが溜まって仕方ないんだが!!
《ケラン・ザ・キッド》が戦場にあり《デジェルとハゾレト》や《初めてのお使い》でガチャをすれば手札のゴミも場に出せる。理論上は。
しかし《デジェルとハゾレト》が速攻でガチャをするためには、手札のゴミが邪魔でしょうがない。しかし、デッキ採用ゴミの割合を増やさなければ、ガチャの当たり率が上がらない。ループ構造だ。卵が先か鶏が先か。
負のループを越えた先のブン回り、主人公のインフレぶりはここまでで最高ではあった。ガチャは健康に良い。
ずいぶんと楽しませてもらった。
さて、色々と模索したが、ゴミ可能性の獣が手札に溜まるのは間違い無さそうだ。そこを解決する方法はあるだろうか?
5.
手札の滞留を解消するには、ルーターが最良。すでに《再覚醒したジェイス》はあるが、コンボで忙しい。
ルーターと相性が良く、メインコンセプトと添うサブプランは『リアニメイト』戦術。すでに『3マナ以下計画』と『リアニメイト』は取り組んだ知見がある。
前回クソデッキとの差別化ポイントは2点。
前回は黒入り、今回は黒なし。
前回は全除去を撃つコントロール志向、今回はクリーチャーを並べるミッドレンジ志向。
2.のおかげで《ローナ》《インティ》が採用できる。
さて、1.の課題をどう解消するか。
黒が入らないので《もがく出現》は使えない。『3マナ以下計画』とシナジーできるパーツはあるのだろうか…?
そして出会ったのだ。インフレを実現する最後のピースと。
『3マナ以下計画』『リアニメイト』
すべてを兼ね備えた、最後のピースを手に入れた。やはり主人公ケランをインフレさせるのはヒロイン役アニー。そういえばルビーと再会する時どうなるのかな。
なお『放題』を計画すると追加コストは支払う必要がある。追加②を支払いリアニだ。乗騎とか機体とか装備品とか、あとなんか書いてあったがフレイバーテキストである。
いままではふわふわした枚数の採用だったが、コンセプトが尖って4枚採用できた。
『3マナ以下計画』のコンボパーツが増え、《木苺の使い魔》以外はすべて伝説クリーチャーに統一された。『3マナ以下計画』が本筋だが、伝説誘発での全体強化はフレイバーテキストではない。
インフレの最大速度には必須カードで、弱い時には処分するルーターが増えた。
以下に4t目ドブンを記載する。
3t目《ケランの加入》。《木苺の使い魔》を計画。
4t目《ケラン・ザ・キッド》。《初めてのお使い》プレイ。ケラン誘発で手札から《アトラクサ》。アトラクサ誘発。《初めてのお使い》解決で《エターリ》。エターリ誘発。エターリ誘発次第で、アトラクサ誘発で増えた手札から何か…
インフレ!!
《ケランの加入》で《ケラン・ザ・キッド》は6/6飛行絆魂になっている。横に2体デカそうなのがいるが、もう相手は爆発しているからサイズとか関係無いな。
上記のような釘が甘い日以外でも《再覚醒したジェイス》《最後の仕事》という後詰めが存在し、デッキは安定した出力を出せるようになった。とても楽しめた。
6.
今のスタンは面白い。
上手く理由が言語化できていなかったが、今回ぴったりくる表現が分かった。スタンはアンフェアが存在できるようになった。
フェア/アンフェアは下環境向きの概念だと思っていた。スタンはアンフェアと呼べるほどコンボに寄せるには、パーツが足りない。仮に成立したら禁止。ここまでがよくある流れだった。
3年ローテーションの恩恵で、アンフェアに採用しうるパーツが増えた。おかげでアンフェアも成立するが、早さと安定性を兼ね備えたレベルにはならない。メタゲームの中で盛衰する。
強すぎないけど、弱くはないアンフェアが組める。これが今のスタンだ。
今回のクソデッキを見返すと、除去を採用していない。単体除去が不要な相手が多いのだ。約1年前の《喉首狙い》が標準装備だった頃からは考えられない。今は単体除去はサイドからで充分。メインはアンフェアの押し付けで戦える。調整結果でそう判断できるようなスタン環境なのだ。
もちろんこれは筆者の考えで、アンフェア志向のバイアスがかかっている。
上記カード達は、スタンを席巻したわけではない。ほとんどのカードが今は下火だ。しかし、確かに注目された瞬間があった。そして今でも使える。アンフェアとして素晴らしいバランスだ。
以上で今回の調整録は終了である。
お読み頂いた貴方も、ぜひスタンでアンフェアを楽しんでみてください。そしてその時は、貴方だけの主人公がインフレするのを祈っています。