本気でクソデッキ調整録〜ライヴァズとの1年間の歩み〜
好きなカードはありますか?
(MTGアリーナBO3スタンで、泣きながら好きなカードをサイドアウトするのが趣味の)筆者は、墓地活用が好きだ。
派手な動きが好きな筆者は、ドラゴンも好きだ。
つまり、ライヴァズは性癖ど真ん中である。
今回の調整録は「環境に合っている(キリッ」となんだかんだと理由を後付けして、ライヴァズを擦った約1年間の記録である。
団結のドミナリア期
ローテーションを迎え、ガラリと様変わりした当時のスタン。それまでに愛したクソデッキに別れを告げ、新たなカードプールとの出会いを楽しんだ。
(あと禁止カードのないスタンも久々だった)
ライヴァズとの出会いは、かつての旧友と再会したような、どこか懐かしい感覚だった。昔愛したクソカード。火の血脈、サルカンに酷似していたのだ。
3マナかつ伝説。ドラゴンへの2マナ加速。それぞれの方向での墓地活用。決して強いカードとは言えなかったが、サルカンをかつて使い倒した身としてはライヴァズも擦り切れるまで使う予感があった。
さて、団結のドミナリア期スタンに話を戻そう。
当時のスタンは真っ黒だった。黒単ミッドレンジに端を発し、放浪皇を加えた白黒ミッドレンジ。ラフィーンを加えたエスパーミッドレンジ。鏡割りの寓話へ舵を切った赤黒ミッドレンジなどなど…とにもかくにも黒かった。
今ではすっかり見かけなくなったが、このなかでもしつこい負け犬の強さは際立っていた。当時は除去が弱く、マナフラを受ける手段も限られていた。加えて環境全体のカードパワーもまだ低く、3/2のサイズはゲーム決着まで活躍し続けていた。
それに連動するかの如く、放浪皇も強かった。しつこい負け犬が強さを発揮すればするほど、追放除去プラスアルファである最強PWは輝きを増した。
さて、クソデッキを愛する者としては、環境定義カードへの対抗コンセプトを見出さねばならない。今回は「警戒と3/4以上のサイズ」だった。
3/2のサイズを受け止めつつ、警戒で放浪皇も苦にしない。猗旺に至っては、シェオルをすり抜けて攻撃し、受けては相打ちし更に爪痕を残す。
(墓所のうろつくものは趣味じゃなかった)
では、猗旺をいかに活用すべきか。筆者の答えはライヴァズだった。
目指したのは、グリクシスミッドレンジにライヴァズ+ドラゴンでスケールを加えたデッキだ。マナベースがイカれているように見えるが、実際イカれている(笑)ライヴァズも宝物もない時の猗旺の奥ゆかしさといったら。永遠に手札で引きこもる勢いだった。
一方、3t目ライヴァズor鏡割り→4t目猗旺の動きは、黒いデッキを粉砕するだけのスケールがあった。しかし、冷静に分析すると功罪ともに見えてきた。
良かった点
・ミッドレンジとして振る舞いつつ、ちょっとだけ相手よりスケールが大きい動きもできた。
・英雄の公有地の強さにいち早く気付けた。
・サイドから打ち消し呪文を積めた。なお、今回の記載しているデッキリストにはサイドがないが、ちゃんと存在する。メンドクサかった。ごめんなさい。
悪かった点
・弱いカードが入ってる。
後手でこんなクソ雑魚ナメクジを展開することが許されるほど、現代スタンは甘くなかった。
・英雄の公有地と非伝説クリーチャーの噛み合いが悪すぎる。
鏡割りの寓話とのシナジーを重視し採用した定番2種だが、シンボルに遊びがないゆえ英雄の公有地と相性が悪かった。当たり前である。それを解消する為上記ヴォハーの採用に繋がるなど、デフレがスパイラルしていた。
とまあ、弱点はあれど。クソデッキとしてはちゃんと楽しめるレベルに達してはおり、細々と擦っていた。
そして、環境は食肉鉤虐殺事件の禁止、グリクシスミッドレンジによるエスパーミッドレンジの駆逐を挟み、兄弟戦争へと移り変わる…
兄弟戦争期
「同じ役割のカードが8枚あれば、コンセプトが成り立つ」マジック界でまことしやかに囁かれる金言である。そして、兄弟かと見まごうほどの出会いが、ライヴァズにも訪れた。
お分かり頂けただろうか。
そう、筆者は頭がオカシイのである。
同一コンセプトが8枚(キリッ とか言ってたくせに、7枚しか入ってねーじゃねぇか!!
許してくれ。。ちゃんと調整した結果、3マナがダブつく事故を看過できなかったんだ…
グウェナは、当時当たり前にメインボードから採用されていた、切り崩し耐性が無いのが痛かった。ただし、生き残ったリターンは大きい。猗旺をプレイできれば、アンタップからさらなる展開へ繋がり、巻き返されないほどのテンポ差を生むことも稀によくある。
生き残る。という点において、嬉しい誤算だったのがハジャールの強さだ。当たり前だが、2マナ3/3はそもそも強かった。それでいて伝説キーカード2種への破壊不能付与は、キーカードが生き残るかがポイントのクソデッキにおいて、かなり頼れる能力だった。キーカードの水増し及び保護で、ドラゴンを出せる確率が増えた。それに伴いドラゴン自体も増えており、クソデッキ的満足度も増えてホクホクである。
良かった点
・キーカードが2種に増えた。
・ハジャールの発見。タフな2マナ圏であり、しかも伝説。スケールデッキの足元を固める、良い採用だった。
・鏡割りの寓話のコピー先に適したドラゴンが登場し、デッキのくっつきが良くなった。
悪かった点
・もっさり度が増した。ハジャール→ライヴァズ→ドラゴンと動けばクソムーブだ。しかし、ハジャール→除去、ライヴァズ→除去。となって、3マナ以上のカードが手札で溢れている時は、もっさりしすぎて貧乏ゆすりが止まらない。
・青を抜いているため、サイドに打ち消しがとれない。青赤パワーストーンランプが出てきており、明確にこちらより大きいスケールデッキ。刺すならば打ち消しこそ、スケールデッキへの銀の杭。
・神河ドラゴンのストロングポイントは死亡誘発。これまでは環境に追放除去がほぼ無く、十全に強みを発揮していた。しかし、白に軍備放棄が与えられ、白単ミッドレンジという苦手の集合体が現れた。
環境はグリクシスミッドレンジがトップをひた走り、赤単や青白兵士が速さで、白単ミッドレンジや赤青パワーストーンランプが遅さでそれぞれグリクシスを攻略しようとしていた。
ライヴァズはちょっとだけグリクシスより遅いデッキとして(筆者の中では)存在価値を示していた。
ファイレクシア 完全なる統一期
そんなこんなで突入したファイレクシア 完全なる統一期。みんな好きだが、筆者も3マナPWが大好きだ。
ハジャールを墓地から呼び戻し、ライヴァズとグウェナに速攻もどきとアンタップを与える。これは時代が来たんじゃないか??
だから3マナ圏は飽和してんだって!!
一応、伝説を散らすという点においては有効だった。手札でダブついたグウェナほど悲しくなるものはない。しかし、2マナクリーチャーと相性が良い≒2マナクリーチャーが墓地にいなければクソ雑魚ナメクジ。硬化した屑鉄喰らいという相性の良い新カードも得たが、タイヴァー自体は残念ながら1枚の採用に留まった。
最大の問題はそこではなかった。デッキコンセプトを根本から否定する「アイツ」こそが、向き合うべき最大の問題だった。
悪かった点
・アトラクサに勝てない
そもそもライヴァズは「黒系ミッドレンジに対し、ドラゴンでちょっとだけスケールを大きくして勝つ」がコンセプトであった。それがどうだ。アトラクサは着地するだけで圧倒的なスケールを発揮する。ドラゴンはすべて存在感を失い、ただのモブと化す。ドラゴンは速度があるわけではなく、青もないので打ち消しも備えていない。どうしてもアトラクサが間に合ってしまう。しかも、それをグリクシスがかましてきやがる。どうしろと。
ちなみに筆者はアトラクサも好きである。アトラクサを出される側ではなく、出す側に回るべき。クソデッキ使いとしては、別の道を模索すべきタイミングだった。
良かった点
・ファストランドを手に入れた。
一応良かった点も挙げる。このクソデッキの構造上の欠陥は、絆魂もちドラゴンが存在しないことである。対赤単で、ボードは掌握したものの火力を顔面で畳まれたゲームは数知れない。その点、重要な序盤を支えてライフルーズのないファストランドは福音であった。後半引いてドラゴンが出せない事ももちろんあるが、強化と言って差し支えない。
・墓地対策と置物対策を手に入れた
アトラクサを墓地経由で着地させることは許さぬ屑鉄喰らい。タイヴァー及び鏡割りと手を組んで、白単ミッドレンジの置物を割りまくる腐れ花(サイドだけど)
まとめると、総合力は上がった。しかし越えられない壁が立ち塞がるライヴァズ。デッキコンセプトの崩壊を実感していた。
次なる、そして最大の進化。それは新セット発売とともに訪れる。
機械兵団の進軍期
新カードタイプ、バトル。
個人的には、新しい試みには壊れが伴うと考えている。
それぞれ、機体・両面PWという新機軸で当時のスタンを席巻した。
もちろん新しい試みすべてにぶっ壊れが含まれるわけではない。リミテレベルに収まるものの方が圧倒的に多い。今回はどうだろう。
世の中の愛すべきカードジャンキーたち同様、筆者もワクワクしながら新カードタイプを迎えた。
もうわかるだろう?
2マナという軽さ。まさかの除去。しかも、最近規制が厳しかったAnyTarget火力。
ひとまず2枚で調整を始めたが、すぐに4枚になった。
現代スタンは、攻めている側が強い、押し付けが強いと評される。プロアクティブ、スノーボールエフェクト。先手有利と叫ばれる根底にあるものだ。
ちなみに筆者は歓迎している。守る側が強いゲーム、要は除去や打ち消しが強い環境は面白いか?そうは思わない。20年以上過去に遡ると、青いパーミッションデッキが環境の大部分を占めていた。土地セットゴーが基本。対抗呪文を構え合い、相手エンドにドロースペルを撃つ。もちろんコントロールミラーに面白さがあるのも分かるが、それがゲームの基本だよ。と言われると首を傾げてしまう。
お互い展開し、ダイナミックに戦場が移り変わる。その中で各々のデッキが、自分の強みを最大限発揮する。そんなスタンが筆者は楽しい。
話を戻そう。
クリーチャー主体で、戦場の主導権を握るのが現代スタンの狙い。とはいえ後手は半分の確率で訪れる。その後手で強い除去であり、かつ攻撃することで真価を発揮するタルキールへの侵攻は、現代スタンに合致している(キリッ
良かった点
・強いカードを強く使えた
タルキールへの侵攻の裏面、果敢な雷口は典型的なスノーボールエフェクトである。そもそも裏返すのに攻撃、ひいてはクリーチャーの展開を要求する。そしてひとたび裏返ったなら、展開したであろうドラゴンに攻撃ボーナスを与える。何が良いって、その裏面も表面も相手の鏡割りの寓話に対して有効なのだ。
それでいて、自身の寓話とも超絶シナジーを発揮する。ゴブリントークンでバトルに攻撃し、キキジキの鏡像で裏面をコピーする。果敢な雷口が2体いるだけで、2点火力が4回飛ばせる。なんとアトラクサすら攻撃誘発だけで堕ちるのだ。土建組もびっくりだ。
悪かった点
・ドラゴンの強さを見極められなかった
ひでつぐとかいり、ズルゴとオジュタイという新カードを得たが、何が強いのかいまひとつ決め切れなかった。ひでつぐとかいりはETBによる渦巻く知識で白の追放除去に強い。パワー5なのでグウェナのアンタップ条件も満たす。青ダブルシンボルがクソ重い。ズルゴとオジュタイは呪禁で赤黒系の除去に強く、継続的なアド源としても唯一無二。ただしシンボルがきつく、相手と殴り合っていると弱さが際立つ。神河ドラゴン達は死亡誘発で黒除去に強く、白の追放除去に弱い。などなど…
赤黒系がトップメタな限り猗旺の環境的強さは揺るがないのでそこは良いのだが、それ以外の細部が甘かった。
トータルで見れば良い手応えで調整は一段落し、プロツアーでの赤黒系による支配を横目で眺めつつ、決戦の後にを迎えるのだった。
決戦の後に期
「マジか」
そのカードを見た第一声はこれだった。さっき、懐かしい旧友との再会、とかほざいてた。テレビでモノマネ芸人がネタを披露しているときに本人が降臨する感覚、それが体で理解できた。
そもそも筆者は、今環境での2/4に対する評価が高い。切り崩し・削剥という環境トップ2・3の除去に強く、ゴブリントークンのフリーアタックを許さない。キキジキが反転すればまとめて兄弟仲の終焉で流す。(まぁドラゴンデッキは兄弟仲の終焉入らないけど。サイドにしても巨竜戦争が楽しすぎる。)
いっしょにつかってね。とカードに書いてあるズルゴとオジュタイは、サルカンからプレイするとストーリー的にもエモい。ライバルキャラとヒロインの師匠ポジが、主人公の為に駆けつける…ジャンプ好きとしては燃える展開だ。
ならば実現するしかないだろう!!
だから、コンセプト(キリッ とか言うやつ、4枚採用してねぇじゃねぇか!!
正直すまんかった…やっぱり3マナ圏過多には勝てんかった。。
悪かった点
・サルカンあんまり強くなかった
身も蓋もない。生き残ってズルゴとオジュタイか猗旺に繋がれば強い。つまり、喉首狙いが蔓延る環境で無事生きてターンを迎え、猗旺かズルゴとオジュタイを引いた上でクソみたいなマナベースからそいつらを捻り出さねば強くないのだ。ちょっと前提条件多くない?色的に、あんなに頼りがいのあるハジャールが入れられないのも痛かった。
・税血やっぱり出づらい
団結のドミナリア期よりは、ファストランドの獲得により多少マシにはなった。しかし英雄の公有地からプレイできないのは変わらなかった。
良かった点
・コントロールに強い形が理解できた
ズルゴとオジュタイのおかげで遅いデッキに元々強く、青のおかげでサイドから打ち消しを積めた。遅いデッキに相対した時は、マジックかんたん♪となった。問題は、そもそも遅いデッキが環境に存在しないところだ。
まとめ
アリーナチャンピオンシップ3で「ジェスカイドラゴン」の表記を見た時は、サルカンやれんのか⁉と驚愕した。もちろんそんなわけなかった。ズルゴとオジュタイだけだった。
そして禁止改定により、このデッキも屋台骨を失った。宝物によるマナ安定と、ルーターにより不要牌
を変換しつつライヴァズで活用し、裏返っては果敢な雷口をコピーするあの化け物とはもう会えないのだ…
アタックした瞬間に9回スタックが誘発するあの快感は、もう味わえない。心から残念だ。
しかし、3マナ圏が渋滞し続けたのもまた事実。これからは、多彩な選択肢から自由に選び取れる未来が待っている。
ちなみにコラガンの戦争屋は「はいはい赤いパワー3にちょいメリットの、いつもの3マナアンコモンね」とか思っていたが、結構すごいこと書いてある。1回でもドラゴンを手札に加えられたらもうオバケだ。
筆者はこれからも、クソカードたちと歩んでいくのだろう。スタンのローテーションが1年延長し、神河ドラゴンたちとももう1年。ライヴァズに関してはあと2年も擦れることとなった。素直に嬉しい。
楽しみながらゲームに取り組む姿が、少しでもあなたに伝わったならこれ以上ない喜びだ。ぜひあなたもクソデッキを組んで、新たな世界へ向かうスタンを楽しんでください。