本気でクイックドラフト研究録〜ダスクモーン:戦慄の館〜
好きなアーキタイプはありますか?
筆者はやや遅いアーキタイプが好きだ。【ダスクモーン:戦慄の館】のリミテッドならば『戦慄予示』が好きだ。
MTGアリーナ無課金勢、スタンでクソデッキを組むのが趣味の筆者は、クイックドラフトが好きだ。
『必死に貯めたおこづかいで、子どもがおもちゃを買いに来た』感を味わえて素晴らしい。今日も今日とて筆者は、なけなしの5,000Gを握りしめ、MTGアリーナBO1クイックドラフトに臨むのだ…
1.プレミアドラフトから読み解く前提
インターネットの集合知により、プレミアドラフトはかなり研究が進んでいる。記事を執筆してくださるすべての方へ。いつもありがとうございます。
高速環境
最近のリミテッドはおしなべてそうだが【ダスクモーン:戦慄の館】も高速環境寄り。
色強弱
【サンダー・ジャンクションの無法者】環境は緑が板。みたいな概念の話だ。
【ダスクモーン:戦慄の館】においては強い色、弱い色の格付けが難しい。強い色を挙げるなら白なのだが、強アーキタイプの白青・白赤を持つものの、弱いアーキタイプの白緑・白黒も含む。
ん!?黒が弱いのは揺るがないって?
…筆者は黒緑、好きだよ。
アーキタイプ環境
色強弱は格付けが難しいが、アーキタイプの強弱はつけやすい。但し、最近のドラフトは弱いアーキタイプでも、空いていれば参入見返りがあるデザインと認識している。ドラフトってもともとそういうゲーム?それはそう。なので、勝率データは参考に留めつつ、主観をゴリゴリに盛り込んだバイアスでアーキタイプ格付けをおこなった。
やりたい:白青違和感、青緑戦慄予示
嫌いじゃない:赤緑昂揚、黒緑昂揚、白赤パワー2以下
みんながやらないなら:白黒リアニ、青黒違和感、青赤部屋、白緑生存、赤黒生贄
ポイントは、軽いシステムクリーチャー。本環境はアーキタイプの起点となるアンコモンが、軽いのに爆発力が強い。
3ターン目にして顔面が爆発。
テンポもアドも圧倒的なのですが、どうやって戦えばいいですか?
といった塩梅で、軽量かつマウント力が高い。
『やりたい』は2マナシステムに互換性がある。
『嫌いじゃない』は2マナシステムに互換性がない。
『みんながやらないなら』はオンリーワン過ぎたり、単に重かったり弱かったり。
さて、前提を整理した上で、クイックドラフト環境を研究していこう。
2.クイックドラフトのメタゲーム
bot様の顔色を伺ううちに、段々と傾向が見えてきた。
bot様のピック基準はかなり精密
上記軽量システムクリーチャー達は、ピック手順が早くあるべきだが、その基準が精密。プレミアドラフトであれば4手目程度まで流れてくる『紛れ』があるが、クイックドラフトにおいては期待できない。何より恐ろしいのは、席取りが定まった3パック目であろうとも、まったくブレない鋼の意思。『《知りたがりの光霊》が3-7で流れて来た。ラッキー。』なんて事は一切無い。まるで機械を相手にしているようだ他、優良除去もきっちり点数が高い。
軽量システムクリーチャーより点数付けは低いものの、これらはしっかり高い。人間よりもbot様にピックされる可能性が高い=カードは虚空に消えてゆき、メタゲームから優良除去が減少していく。
以上2点をまとめて、メタゲームの仮説と対抗策を考える。
軽量システムクリーチャーが減少し、完成度の高いアーキタイプも総体的に減少する。
優良除去も絶対数が減少する。
仮説:ゲームスピードが遅くなる。
雪だるま式にゲームを加速させるシステムの減少により、ゲームが遅くなる。言い換えるとデッキが弱くなる。
対抗策:クリーチャーサイズの優位性
デッキが弱くなり、優良除去が減少する事により、中堅サイズ以上のクリーチャーが有効と仮定した。重さ故の登場ターンの遅さにより、あまりプレミアドラフトでは活躍できなかった。しかし、多少遅くても間に合いつつ、優良除去の減少により着地狩りの頻度が減れば強みが出せるのではないか?
3.戦績
さらっといこう。
白黒t緑:6-3
白黒:6-3
緑黒:6-3
緑黒:6-3
緑黒t白青:7-2
勝率69%
…調子良すぎないか!?
黒緑、好きだからね。
因果律操作の揺り戻しで、明日車に轢かれたりしないか心配な出来だ。
4.安いけど評価UPカード
しかし『マナを伸ばす』『サイズのあるクリーチャーを展開する』がパッケージになると、遅い環境では強い。今回あまり話題に挙げていないが、レアをタッチするのにも役割がある。クイックドラフトではレアが遅くまで流れて来る事は無い。初手〜2手目しかチャンスが無いレアピック時、色の合わないレアを遠慮なくピックできる動機になる。
白黒リアニのアーキタイプ評価が上がった。デカブツと墓地からリアニするスペルは恵まれど、墓地に落とす手段がイマイチだった。構造的欠陥を抱え、評価は低いアーキタイプだったが視点が変わった。単純にデカブツを唱えて、墓地からリアニする重量級連打というもっさりムーブが間に合うようになった。さすがに7マナは工夫無しでは出ないので、1回目はなんとかリアニしたいのは変わらないが。
もともと好きなカードだったが、bot様の点数付けが低く流れて来やすい。2マナ域があまりにも少ないデッキが出来上がると「さすがにヤバいな…」と真顔になるが、なんとなく《光霊灯》のおかげで2マナクリーチャーが足りたような気分になる。
レア土地の扱いだが、初手でピックしていく。レアを集める為にクイックドラフトやってるからな。初手を捨てても充分にデッキは構築できる。その上で、色が噛み合えば土地枠が強化されるのはリターンとして有り難い。
5.まとめ
お楽しみいただけただろうか。
プレミアドラフトとクイックドラフトの差分から、クリーチャーサイズに着目した研究成果とした。本論中ではあまり言及しなかったが、ピック序盤は当然『強いシステムクリーチャー』を優先してピックしている。中盤〜終盤の『弱いカード群』から何を選ぶべきかという着眼点だ。
高速環境の謳い文句に釣られて《アラベラ》のいない白赤アグロを組んだ対戦相手をサイズで粉砕して差し上げよう。
お読みいただけた貴方も、牧歌的な速度のドラフト環境を楽しんでください。