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中手骨骨幹部斜(螺旋)骨折について考える

こんにちは、やまだです。

つい3ヶ月位前に、中手骨骨幹部斜骨折の長年の疑問がやっと1つ解決したので解説していきます。でもまだまだ課題はたくさんあり勉強の毎日です。

✔ 中手骨骨幹部斜骨折の治療プログラム

今回題材にする外傷は「第5中手骨骨幹部斜骨折」についてです。

10年間の臨床の中で、なぜきれいに整復できないのか、なぜ整復位を保持できないのか、転位してしまうという現実にどう向き合えばいいのか、解説していきます。

資格を取得しこれから外傷を診ていく初学者の先生方には参考になる内容だと思います。

※ 注意点
このコンテンツを読んだからといって、整復・固定がうまくできるようになるわけではありません。また個人の考え、経験に基づいた内容になります。予めご理解をお願いいたします。

この記事の内容が全てだと思わず、この記事を踏み台により外傷について深めていっていただけたらと思います。

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それでは、はじめます。

第5中手骨骨幹部斜骨折とは

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中手骨の骨幹部が斜めに折れた外傷です。

受賞機転
直達外力と介達外力の2つがあります。

直達外力 → 横骨折
介達外力 → 斜骨折、螺旋骨折

上記です。

直達外力は固いものの間に挟まれるとかチョップでものを殴るなど、介達外力は転倒して手をついたとかグーで人を殴るとか、といった感じです。

グーで人を殴った場合は中手骨頚部骨折になる可能性もあります。

横骨折と斜骨折の整復の考え方。

横骨折 → 牽引しすぎない
斜骨折 → 多めに牽引

こうする理由は以下です。

◆ 横骨折 → 骨折面が狭いので骨癒合がしにくい。牽引しすぎて骨折面が離れてしまうと骨癒合が起こりにくいので偽関節になりやすい。
◆ 斜骨折 → 骨折面が広いので骨癒合しやすい。骨折部の安定性が保たれにくく短縮しやすいので、あえて少し余計に牽引しておく

こういう考え方もありです。

✅ 症状
第5中手骨骨幹部斜骨折にみられる症状は以下です。

・手背の腫脹
・限局性圧痛
・骨折部の変形
・ナックルパート消失
・オーバーラッピングフィンガー

などです。

中手骨頚部骨折のときにもはなしましたが、オーバーラッピングフィンガーは見逃してはいけません。

オーバーラッピングフィンガー

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✅ 治療
手術療法と保存療法があります。
選択するときのポイントは

・整復位を保持できるか
・経過を説明した時、患者さんがどちらを選択するか

上記の2つになります。

僕の場合は、まだまだ整復位の保持をすることが 100% 完璧にできると断言できないため、ズレる可能性と、ズレてきてしまった場合どういった方法があるのかなどをしっかり説明し患者さん自身に選んでもらえるようにしています。

抑えておきたいポイント
抑えておきたいポイントは2つです。

・再転位しやすい
・回旋転位・短縮転位を生じる

ここを1づつ解説していきます。

★ 短縮転位をしやすい
中手骨骨幹部骨折にはOTA分類というものがあります。

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この中でも、横骨折以外は再転位しいやすい特徴があります。

骨折部が不安定なため、、、

軸圧がかかると骨折部はすべり台のようになっているため、末梢骨片が中枢方向に滑っていくことにより、短縮方向に再転位をしやすいと考えられます。

ちなみに、横骨折は噛み込んでしまうので短縮転位は起こりにくいですが、代わりに屈曲転位に注意が必要です。

こういった骨折部の形状から中手骨骨幹部斜骨折は再転位しやすく回旋転位と短縮転位とくに “短縮転位” を残しやすい骨折と言えます。

★ 回旋転位・短縮転位を生じる
手部の構造的に回旋転位を特に生じやすいです。

手部にはこんな特徴があり

第3,4中手骨 → 転位軽度
第2,5中手骨 → 転位強い

これは深横中手靭帯の影響が大きいく

第3,4中手骨→深横中手靭帯の支持は両側から
第2,5中手骨→深横中手靭帯の支持は一側のみ


となっているから。そして要注意なのは、

短縮転位→2〜3mmであれば機能面で大きな問題にはならない
回旋転位→軽度であってもオーバーラッピングフィンガーを形成=障害大


という事。


何回もいうようですが、オーバーラッピング・フィンガーになってしまうとものがしっかり握れないという機能障害が起きてしまうので、徒手整復前と後にしっかりと確認しておく必要があります。

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