乃木坂46 5期生楽曲『考えないようにする』 考察
今回は、乃木坂46 33枚目シングル『おひとりさま天国』に収録されている5期生楽曲『考えないようにする』があまりにも素敵な曲で、聞き込んでいるうちに様々な考察が生まれたので、書き出してみることにしました。
こんにちは。さくです。
皆様はもう『考えないようにする』をお聴きになられたでしょうか?
もしまだ聴いていない方がいらっしゃいましたらぜひ聴いてみてください。
歌詞、メロディ、雰囲気、ダンス、MV、歌声。どれを取っても素晴らしいの一言。
もう何年乃木オタやってるかわかりませんが、今までの乃木坂の楽曲の中でも一番好きかもしれない。
センターを務めるのは千葉県出身16歳の冨里奈央(とみさと なお)ちゃん。
小動物のような愛くるしいルックス、笑うと目がなくなる圧倒的破壊力のスマイルが人気のメンバーです。
33枚目シングル『おひとりさま天国』ではアンダーメンバーとしての参加となりましたが、ミーグリ売上等の指標を見ても選抜メンバーと全く遜色ないので、いつ選抜入りしてもおかしくないと思っています。
(冨里奈央ちゃんと小川彩ちゃんはいつ選抜入りしてもおかしくない人気だけど、この2人も選抜にすると選抜の割合(特に5期生の)が増えすぎちゃうから、年少メンバーのこの2人に今のところアンダーで経験を積ませているのかな?と感じています)
なおなおといえば明るく天真爛漫で、いつもスマイルなイメージですが、この楽曲では好きな人に思いを伝えることに葛藤している儚い女の子を表現しています。
奈央ちゃん自身も、ブログで「夏らしい明るい元気な曲なのかなと思っていたら、実際は繊細で儚い片思いの楽曲で、初めはビックリした」と語っています。
ですが、蓋を開けてみたら、奈央ちゃんの純真無垢なルックスとそして優しく透き通った歌声によって、この楽曲の儚さ、繊細さが何倍にも増している。何よりも奈央ちゃん自身の表現力がえげつない。こんな一面もあることを見出したプロデューサーは流石の一言です。
では本編となるMV、歌詞の考察に入ります。
MV&歌詞 考察
(プロローグ)
同調は美しく、同調は苦しい。
周りに合わせるのは心地いいって、個性的なのはかっこいいって、
かわいいって言われるのは嬉しい、目立つのは嫌。
同調とバラバラ。
シンクロだとか、運命だとか、偶然だとか、あの子とか(バラバラ)、
私とか(バラバラ)、同調と、バラバラ、同調とバラバラ、同調とバラバラ・・・
→思春期の恋に悩む女の子の心情。様々な思いが蠢いていて、でも結論はでず、とにかく頭の中がごちゃごちゃになっている。
同調とバラバラとは一体なんのことなのでしょうか。(後ほど自分なりの考察を解説します)
(プロローグ)
あっ、まただ・・・。考えてしまう。
→ハッと我に帰り、考えすぎて自分を見失っていたことに気づく。
葉っぱ一枚太陽に透かして
その入り組んだような葉脈が美しい
植物だって話したり聞いてると
そんな仮説を立てた本を読んだ気がする
→何かを葉っぱに例えている。
このMVは基本的にずっと画面になんらかの植物が写っており、衣装も葉っぱ色。「葉っぱ」がキーワードになりそう。
付き合ってるって知らなかった
親友の彼と私たちと
一緒にいるその時間だけでも
充分幸せだから
→ここで物語の本題。
好きな人が親友の彼氏だということを初めて知ってしまった。
ただ、自分は好きな人の彼女になれなくても、思いを伝えられなくても、一緒に過ごすことができればそれだけで十分幸せだと自分に"言い聞かせている"。
好きにはなっちゃいけない人
あの時自分で決めたのに
あなたのことばかり
いつも考えてしまう
感情なんて制御できない
人は頭ではなく心で
生きているものでしょう
考えないようにするって
苦しい苦しい苦しい
→自分が彼を好きになって思いを伝えてしまったら、親友含めた今の人間関係、そして今の幸せな時間まで全て壊れてしまうかもしれない。
だから好きにならないようにする、考えないようにするって頭では決めているのに、心は制御できない。そんな葛藤が主人公の中を駆け巡っています。
歌い出しが「葉っぱ一枚太陽に透かして その入り組んだような葉脈が美しい」とメタファーを使用し文学的で上品なのに対し、サビ終わりは「苦しい 苦しい 苦しい」とこれ以上ないほどに直接的で、比喩なんて使う余裕はなく、歌の中でも主人公の気持ちがどんどん整理できずに感情が込み上げてきているのを感じます。
風に舞うその一枚の葉っぱは
舖道の地面どこに着地するのでしょうか?
この世界に生まれて来た理由なんて
思い浮かべはしないけどきっと導かれてる
→また葉っぱのメタファー。
葉っぱが地面に着地するのと同様、人生も全て運命に導かれていると自分に言い聞かせて「考えないように」している。
彼と彼女目が合う度
さりげなく微笑んでたこと
もちろんずっと気づいていたけれど
私まで幸せだった
→歌詞そのまま。
とにかく「今のままで十分幸せなんだ」と自分に言い聞かせている。
出会いがもしも早かったら
逆の立場だったのでしょうか?
そんな妄想して
余計に辛くなってしまう
似合いのカップルだよねって
友を祝ってあげられたらいい
醜くはなりたくない
考えないようにしてるけど
好きで好きで好きで
→でもやっぱり「考えないようにする」ことなんてできない。
余計な妄想もしちゃうし、素直に祝福したいけど、やっぱり好きだっていう感情を抑えられない。でも醜くはなりたくない。
どうしていいのかわからない。
ダンスも、1番サビはみんな揃ったダンスをしていたのに対し、2番は全員が思い思いの「バラバラ」のダンスになっていて、整理がつかない主人公の感情を表しています。
ずっと喋り続けたり突然黙り込んだり
どこか不自然になってる私に
絶対気づかないでそれでもそばにいさせて
何も考えないでいるから
→主人公の想いがついに固まります。
「私に絶対気づかないで それでもそばにいさせて」
これ以上切ない片想いがあるでしょうか。
そしてここで遂に冒頭から出てきた「葉っぱ」とは何かが明かされます。
葉っぱ=植物はこのMVにもずっと登場するように、景色として、何も邪魔することなく日常にどこにでも存在するもの。小説にあるように「話したり聴いたり」している(1番Aメロ)けど、何にも介入はしないし、「何も考えない」。
つまり「葉っぱ」とは主人公そのもの、または主人公の「こうなりたい」と望む理想の姿なのです。
彼のことが好きで好きで堪らない。思いも伝えたい。少しでも自分のことを見て欲しい。
しかし、そんな欲望は2人の関係、そして今の幸せな日常を破壊しかねない。
だから、そんな醜くはなりたくない(2番サビ)。不自然になっている私にも気付かないで、何もしないから、それでも傍には居させてほしい。
1番Aメロと照らし合わせると、美しい葉脈を持ち(醜くない)、誰にも気にされない、何にも干渉しない、何も「考えない」、葉っぱのようになりたい。
それが主人公の出した結論。
プロローグの「同調は美しく、同調は苦しい」。
というのも、同調=「何も考えないで傍にいること」、つまり「葉っぱ」でいること。
葉っぱでいれば関係を壊さずに美しく在れるけど、好きだという込み上げてくる思いのやり場がないのはどうしようもなく苦しい。葉っぱでいること=同調は、美しいけど、苦しい。と繋がります。
好きにはなっちゃいけない人
あの時自分で決めたのに
あなたのことばかり
いつも考えてしまう
感情なんて制御できない
人は頭ではなく心で
生きているものでしょう
考えないようにするって
苦しい苦しい苦しい
→主人公はこれでもかという葛藤の末、葉っぱになることを決意します。
でも、それでも「好き」という気持ちに変わりはありません。
「苦しい。苦しい。苦しい。」
これがこの物語の残酷な結末です。
(エピローグ)
考えてしまう。あの子のこと。私のこと。
揃えること。合わせること。出会うこと。
それらは全部、「誰か」がいるから、起きることなんだ。
同調だとか、バラバラだとか。
まだ見ぬ仲間たちと、きっと起きることなんだ。
ワクワクする。
(葉っぱ一枚を太陽に透かす)
あっ。また、考えちゃった。
→自分の中で「葉っぱ」になるという結論を下した主人公。
読んでいる本も『シンクロの森』という本で、葉っぱになってシンクロ(=同調)することを決意したことへのメタファーにも見えます。
エピローグでは、プロローグの整理がついていないごちゃごちゃした感情とは異なり、どこか吹っ切れて、自分を客観視できています。口調もプロローグとは対照的に穏やかで明るく、気持ちの整理がついたように見えます。
この恋は諦めて「葉っぱ」になることを決めたけど、「誰か」がいる限り、この先もずっと同調やバラバラは発生する。そんな未来に希望を抱いています。
でも。自分である「葉っぱ」を太陽にかざすと、やっぱりあの人のことを「考えちゃう」。
結局、「葉っぱになりきる」ことも、「考えないようにする」ことも、できないんだ。
エピローグの最後「あっ。また、考えちゃった。」は、
プロローグの最後「あっ、まただ・・・。考えてしまう。」の対比となっています。
同じことを言っていますが、表現がまるで違う。
エピローグでは葉っぱになると決意した主人公の「考えてしまう」ことをポジティブに捉えている様子が、この表現の差によって描かれています。
まとめ
以上が考察になります。
思春期の儚い恋心、葛藤をこれでもかというほどに描いたストーリー。
5期生の表現力も相まって、7分弱のMVを見ただけで映画1本見たような満足感に包まれます。
人によってハッピーエンドともバッドエンドとも捉えられるようなストーリー。主人公が無理矢理自分の思いを封印して生きることを決めるという結末は、儚すぎて残酷とも言えます。
最後の冨里奈央ちゃんの笑顔は何回見ても涙が溢れてしまいます。
「葉っぱ」になることを決めて、最後は笑ってはいるけど、どこか自分を殺して無理に笑っているようにも見える。
16歳でこの表現できるの本当にすごい、、。
奈央ちゃんセンター本当におめでとう。
最後に(雑感)
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事を通して、少しでも多くの人にこの曲の良さが伝われば冥利に尽きます。
ここまで真面目に書いてきたのでここからはただのオタクになって雑感を書き散らしたいと思います。ここから先はよほど暇じゃない限り読まなくて大丈夫です。
というわけで。
やっぱり5期生えぐすぎません??
ただでさえみんなビジュアルも良くて歌も上手くてパフォーマンス力もあるのに、ここまで表現力が身についたらもう無敵すぎます。。
しかもみんなそれぞれ個性が強烈なのに、その個性がぶつかり合うことなくむしろそれぞれの良さを引き出しあっている。
『絶望の1秒前』で鮮烈なデビューを飾って圧倒的なビジュアルを見せつけた井上和ちゃん、
『バンドエイド剥がすような別れ方』で甘酸っぱい青春の1ページを存分に表現した菅原咲月ちゃん、
『17分間』でtheアイドルな片思いを具現化した川﨑桜ちゃん、
『心にもないこと』でアーティスティックでオシャレな世界観と完璧にマッチしたもはや芸術作品とも言える一曲を体現した池田瑛紗ちゃん、
そして『考えないようにする』で残酷で儚いストーリーを見事に演じきった冨里奈央ちゃん。
それぞれの楽曲が唯一無二で完成度がハンパなくて、各センターも完全に曲とマッチしていて、、こんなアイドル見たことない。
しかもまだ世界一キュートな笑顔の天使一ノ瀬美空ちゃん(推しです、本当に世界一可愛い)、優しくて穏やかな雰囲気が抜群の五百城茉央ちゃん、可愛すぎる最年少小川彩ちゃん、バレエで培った表現力が魅力の岡本姫奈ちゃん、天性の歌声と優しい雰囲気の奥田いろはちゃんが控えています。
中西アルノちゃんも『Actually…』で全体センターは経験したけど、きっとこの先5期曲センターも務めることがあると思うので本当に楽しみ。
アルノちゃんは加入当初いろいろゴタゴタがあったのに、圧倒的な努力と歌唱力、そして独特だけど誰からも愛される素敵な性格がどんどん認められて、今や乃木坂に絶対欠かせない存在になっているのが、素直に尊敬できます。『考えないようにする』のソロパートも本当に歌声が綺麗で好き。
ソロパートと言えば。一ノ瀬美空ちゃんも今回1番で、4番目のソロパートを任せてもらえているんですよね。歌には自信ないって言っているのにどんどん上達してどんどん大事な部分を任せてもらえるようになってきてるの、ほんと泣けちゃいます。応援してる。
ていうかこの『考えないようにする』、歌声もみんなえげつないですよね。
冒頭の「葉っぱ一枚太陽に透かして」のなおなおの可愛くて幼さのある声からの和ちゃんの透き通った声。
からのてれぱんの唯一無二の歌声がアクセントになって、みーきゅんの世界一可愛い歌声が聞けたと思ったらアルノの上手すぎて奥行きのある声。
みんな歌うますぎるし、声質はみんなバラバラなのに合わさると完璧にマッチして極上の完成度になる。
個人的にはCメロの「あの時 自分で決めたのに」の「あの時」の裏声が最高に好きです。
オタク特有の早口が止まらなくなりそうなのでこのくらいにしておきます。
以上、『考えないようにする』の考察&感想でした。
全国ツアーで初披露聴けたの本当に幸せでした。
次は桜ちゃんと姫奈ちゃんもいる完全体でのパフォーマンスを楽しみにしています。
皆さんももし感想などあればお聞かせください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!