テリファー感想
あらすじ
白塗りピエロがハロウィンの夜に殺人無双する話。
一行にまとまってしまった…でもこれに尽きる。
とんでもスプラッタ映画だ。
血糊の気前が良すぎる
ぶっしゃぶっしゃととにかく血糊がばんばか飛び出す。
スプラッタシーンが定期的に挟まるので見ていて退屈することがない。
序盤からなんかもうずっと不穏
ホラーって落差を出すために前半は楽しいパーティーシーンから始まったりするけど、この映画にはそんな前振りはない。ハロウィンパーティーの帰りの女性二人のシーンから本編スタート。最初からずっと「怖いこと、おきま〜〜〜〜す!!!!」という不穏さが漂い続ける。
細かな伏線よりも「はい!!!!!怖いピエロが殺しに来ます!!!!!!!!!」という勢いの良さがある。最高。
西洋人のピエロ恐怖症が少し理解できた気がする
日本人にとって怪異というと黒髪を顔面に垂らして白い服でゆっくり近寄ってくる女性の霊がかなり定番化しているように思う。
それが西洋人にとってはピエロなのではないかとこの映画を見ていると感じる。
ピエロ、マジで一言も喋らん。
刺されてもボコされても警察に囲まれてもひっとことも喋らない!演技は全てボディランゲージのみ。
映像には確かにピエロの化粧をする様も映されていて、身体能力も人間の域を出ているわけではない。
でも「喋らない」の一点でピエロが本当に人間なのかどんどんわからなくなっていき、不気味さが増していく。
一見人間に見えるのに人間の挙動からズレている、の方が恐怖を感じるのかもしれない。
主人公は「ピエロ」
ホラー映画における主人公は基本的に「脅威から逃げ惑う被害者」だ。
しかし今作の主人公は「ピエロ」。
物語は被害者視点で進むが、彼らはどんどん殺されて入れ替わる。
映画の中盤、MPで少女が拘束を逃れて角材でピエロを殴り始めた瞬間から反撃が始まるのかと思いきや、被害者が浮浪者の女性とネズミ駆除業者男性、迎えに来た姉に変わる。なんだかんだいっても主人公は死なないだろうという観客の安堵を蹴散らしていく。
視点となる人物と主人公が違う、稀有な構成だ。
番組に出ていた女性、お前だったんか〜〜〜い!!!!
差し込まれていた謎の映像が実は違う時系列のものだった、という手法は結構定番だろうが、ラストシーンで明かされる真実と、中盤からの被害者入れ替わりにより一層衝撃が強い。
また、冒頭からグロテスクな顔面の被害者を写すことで映像的にも観客は退屈しない。とても巧みな観客の引っ張り方だと思う。