投票に行かない人達へ
今週末はいよいよ衆議院選挙ですね!
貴方はどの政党や候補に投票をしますか?
え、投票には行かない?
あー、そうですかー
いや、今更何も言うつもりはありませんよ
ネットで色々な人たちが「投票に行け」って言ってて、その理由を懇切丁寧に説明しているのですから、それを見てもなお「投票は無意味」とか「めんどくさい」と考えているなら、もう私ごときから言えることは何もございません。
あ、ただ、これだけは言わせてください。
今後
あなたがどんな不利益を被ったとしても
絶対に政治のせいにはしないでくださいね
と、少し強めに言ってしまいました
まぁここで会ったのも何かの縁
折角なので私が考える投票の意義についてつらつらぶら下げるので、投票に行く行かないの判断はその後にしてみませんか?
選挙とは、有権者にとっての"言い訳"である
子供の頃から政治への関心が高かった私は、初めて選挙権を得てから10年余り、投票権のある選挙には全て投票してきました。
...と言いたいところなのですが、実は一度だけ投票を棄権した事があります。
忘れもしない、2016年の東京都知事選挙です。
あの選挙は投票前から小池さんが当選することが分かり切った、消化試合のような選挙でした。
なので私は面倒で投票に行かなかったのですが、それでいざ始まった小池都政がどんなもんだったかは皆様もご存じの通り。
当然、一都民として安くない住民税を払う立場だった私は大いに落胆し憤りも覚えたのですが、ここである事に気づきます。
もしあの選挙で小池さんに投票していたら、「俺の期待を裏切りやがって!全部口だけじゃねぇか!!」と怒る権利があるでしょう。
もしあの選挙で小池さん以外に投票していたら、「ほーら見ろやっぱり駄目じゃないか!!投票した奴ざまぁwww」と幾分か溜飲を下げる事が出来たでしょう。
しかし、投票に行かなかった私には、どちらの権利もありませんでした。
投票に行くという行為の意義は、その職務に相応しい「正しい候補」を選ぶことではなく「投票すること」自体にあると、その時気付いたのです。
酷いダブスタっぷりですが、投票なんてその程度の意識で全然いいんです。
普段皆さんが政治に感じている鬱屈とした気持ちを晴らす絶好の機会が、あと何日もしないうちにやってくるのです。
どうです?
少しは投票に行く気になりましたか?
え、そんなんじゃ投票に行く気にならない?
仕方ないなぁ
じゃあ他の理由も挙げていきましょうか
政治家にとって、投票に行かない人間は”存在しない人間”と同義である
よく「政治家は自分たちに投票してくれそうな人に色よい政策を掲げる」という話は聞くと思います。
そんなの当然じゃんと思われるかも知れませんが、それは候補者を支持する人が「得票数」という分かりやすい数字で可視化されているからこそ成立することです。
重要なのは、可視化されるのは候補者自身の得票数だけでなく、競い合うライバルの得票数も、と言う事です。
これは候補者にとっては我々が思う以上にプレッシャーになります。
例えばAとBの二人の候補者がいた選挙区があるとします。
前回の選挙ではあなたを含む1万人がAに投票し、対するBは5000票を得ました。結果は5000票差でAの勝利ですね。
そして今回、前回と全く同じ人数の有権者が、前回と全く同じ候補者に投票しました。あなた一人を除いて。
勝ったのはAで変わりありませんが、Aの得票数は9999票、対するBの得票数は5001票となります。差は4998票。あなた一人が投票先を変えただけで票差が2つ縮みました。
もしあなたを含め10人の有権者が離反していれば、差は4980票になります。
100人なら4800票差、1000人なら3000票差です。
結果はAの勝利に変わりませんが、前回より接戦になったとなれば、当然Aは焦ります。このままでは、次回の選挙では更に票差が縮み、何れはBに逆転されてしまうかもしれないですからね。当然、失った票を取り戻すにはどうするかを必死に考えます。
5000票の差を縮めるのに5000票は必要ありません。半分の2500票以上を奪えば逆転できるのですから、票数の差というのは存外簡単に埋まるのです。「誰かが1票を得る」というのは、同時に「その人以外の候補者が1票を失う」という事を意味します。
このように、投票に行けば、選挙の結果自体は変わらなかったとしても、数字を使って政治家にプレッシャーをかけられるのです。これこそが所謂「一票の重さ」の正体であり、選挙という場であなたが示した「存在感」なのです。
対して、投票に行かなかった場合、あなたの存在を候補者が感じる機会は、ゼロです。なぜならあなたはAにもBにも投票しておらず、どちらの得票数にもカウントされていないからです。あなたは「ある候補者に1票を与える権利」だけでなく、「他の候補者から1票を奪う」権利まで放棄しているのです。
勿論、現実はここまで単純ではありません(候補者が3人以上の場合が多いですし、2位以下で票を奪い合う事もあります)が、基本原理はそんなに変わりません。
そして、この数字のトリックを使ったプレッシャーは、そっくりそのまま国会の議席数にも当てはまります。
例えば次回の選挙で与党が10議席を減らした場合、減った10議席は消失するのではなく、当然野党の議席となります。つまり与野党の議席数の差は20議席も縮むのです。
選挙は与党と野党を入れ替えるためのものではなく、与党への圧力をかけるためのものである
よく投票に行かない人の常套句として「投票に行っても何も変わらない」というのがありますが、これは前の項で述べた数字の仕組みを理解していない、上辺だけの結果だけに囚われた考えと言わざるを得ません。
そもそも、この手の「何も変わらない政治に失望している人達」というのは、往々にして選挙というイベントに夢を見過ぎているのです。
選挙によって政治にもたらされる「変化」とは「与野党の議席が逆転した!政権交代だ!!」などという分かりやすいものではありません。本当に重要な事は注意深く、ゆったりと進行するものなのです。
ハッキリ言いますが、今の日本に"最低限の政権運営能力"を持った政党なんて自民党くらいしかいません。「とりあえず自民以外で」の精神で政権担当能力ゼロの政党に国を任せた結果を、私たちはつい10年ほど前に経験しているはずです。
「結局自民以外に選択肢がないなら、投票しなくても変わらないじゃないか!!」と思われたそこのあなたは、これまでの文章をもう一度読み直しましょう。
私がいつ「政権交代を実現しよう!」なんて言いましたか?
重要なのは「どの政党が勝ったか」ではありません。「公示前と選挙後で各党の議席配分がどう変わったか」、もっと言えば「各政党にどれくらいの票が入ったか」です。
今回の選挙の目的は「どの政党に国を任せるかを選ぶ」ことではありません。
「与党(主に自民党)に圧力をかける」ことです。
少なくとも、私はそう考えています。
したがって今回の選挙の最も理想的なシナリオは「与党は辛うじて過半数を確保したものの、議席を大幅に減らし、野党の意向を完全に無視することは出来なくなった」というものです。
あくまでも与野党は逆転させず、しかし与党に「このままだと次回の選挙は負けるかも...」という危機感を持たせる。これが今回の選挙の一番の目標です。
以上が、私の今回の選挙に対する考え方です。
あくまで素人考えですので、政治のスペシャリストからすればガバガバ理論かもしれませんし、そんなに上手く事が運ぶとも思っていません。
それでも、自分の一票が無駄だとは思いたくない。
その一心でこの記事を書きました。
あとは皆様のご判断に任せます。
ただ、後で後悔することだけは無いように、よく考えてみてください。