引っ込み思案を魔法少女にした結果

Case.01:ボクが間違いでしたっ!


*登場人物*


✧ノヴィ

→魔法界から魔法少女をスカウトしに来た白ネコ(実は人間)。

引っ込み思案の氷姫をスカウトするが...?

本名は『ノヴィグラド・ラ・ミルフィー』らしい。

✧五澄 氷姫(いすみ ひこ)

→引っ込み思案の高校一年生(ファン多数)。天然。

ノヴィに魔法少女になってほしいと頼まれる。五澄神社の巫女。

心の中と身内、心を許した人にはおしゃべり。時々お茶目になる。

✧夏樹 七姫(なつき ななひ)

→氷姫の頼れる幼馴染(ファン多数)。

なぜかノヴィが見える。氷姫よりもヒロイン。

氷姫がおしゃべりになれる人。夏樹神社の巫女。

✧五澄 波姫(いすみ なこ)

→氷姫の妹の中学二年生。アイドル。(ファン多し)

お姉ちゃん大好き。



1.ボクと契約して...(既視感)


 ―――何故にこうなった...?

ボク、ノヴィはそう思った。

――なぜまっっっっっったく喋らないんだ!?―――

さっきの話を聞いていなさそうなのでとりあえずもう一度、

「――ねぇ、ボクの話聞いてる?君には魔法少女になっt」

「ま、まほっ!??!??!」

.........めっっちゃ驚かれた。

「えっ、ちょっとまってなんでこんなに驚いてるの」

「あ、すみません...」

「と、とりあえず、お名前は...(知ってるけど)」

「...五澄、氷姫、です...」

「そ、そうなんだ、ボクはノヴィ。よろしく、ね」

「よろしく、です...」

「.........」チラッ

「.........」チラッ

「「......!」」目が合う

「「...///」」目を逸らす

......いや合コンかよ!

このままでは埒が明かないのでここに来た理由をもう一度話すことにした。

「この世界には平和に見えて悪が沢山はびこっているんだ」

「あく...」

「それを倒すためには魔法少女がいないといけない。だからボクは素質のある人をスカウトしに、魔法界から来たんだ」

「......要は私は素質があるからプ○キュアになれと」

「ま、まあ、そんな感じ、かな」

「独りで?」

「なんか漢字変換が悲しいけど実質一人かな」

「実質?」

「うん。一『人』ではあるけどボクがいるから」

「独り...」

「そこだけピックアップしないで!?」

「独り......」

「『一人』のほうだからね!?」

もう某アニメのお決まりのセリフを言うことにした。

「ねぇ、ボクと契約して、まh――」

「お...」

「お?」

「お、お断りしますっ!」


――お断りされた。




2.悪者は善人以上に空気を読む


 お断りされてしまったボクは氷姫に交渉を持ちかける。

「そう言うと思って、君の友達に事情を説明して、伝言を預かってきたんだ」

「どなたですか...?」

「君も知っているはずだよ、名前は――『夏樹 七姫』」

「な、七姫!?」

「うん。七姫は『あたしも助けられることがあれば助けに行くから、この世界を守ってあげて』と言っていたよ」

「七姫...」

「どう、かな?」

氷姫は少し考え、

「七姫が言うなら...いいかな」

承諾した。すごいぞ七姫パワー。

うまい具合に話が進んだのでボクは指を鳴らして表紙にルビーが埋め込まれた本と鍵をとりだし、氷姫に渡した。

「そう?じゃあこの本と鍵はいつも持っておいて。変身道具だと思っていればそれでいいよ」

「あ、はい」

「変身の時は本を開いて中にある鍵穴に鍵を入れるでけでいいよ」

「変身の呪文、とか無いんですね」

「ああ、言いたいなら自分で作ってね。歴代の人たちは自分で作ってたよ」

「え...じゃああのプ○キュアも?」

「よく分かんないけど、そうなんじゃない?」

「ええ......」

氷姫の中のプ○キュアがイタい人みたいな事になってしまったがそこはおいておくことにした。

「ま、そういうことで......さあ、来たよ」

ボクの言葉と同時にどこかでケタケタという嗤い声がした。

「!??!?!?」

氷姫が驚いてボクに聞く。

「...こ、これがまさか、例の.....」

「うん、世界を壊す『悪者』だよ」

「そんな...」

「まぁ、大丈夫じゃない?強そうな感じじゃないし」

そんな会話をしていると、ピエロのような服装の『ナニカ』がボールのようなものをジャグリングしながら歩いてきた。

ボクらの姿を見つけ、ニヤリと嗤い、口を開く。


「これはこれはお話は終わったようで良かったですねぇ、クフフフフ」


……くっそ可愛い声じゃねぇか


「......ん」(ボク)

「......え」(氷姫)

「....あ、出す声間違った」

「「えぇぇ......」」

「......コホン、ぁ、ああ、あー、あ〜〜〜」

『ナニカ』は喉をならしてできるだけ怖い声を作っている、らしい。

「「............」」

「こ、これはこれはお話は終わったようで良かったですねぇ、クフフ」

氷姫がおもむろに口を開く。

「いや...今更、怖くは...ない、です...」

「ぐはっ」HP:60

やられたらしい『ナニカ』。

「...と、いうか...逆に、かわいいような気が...」

「うぐっ」HP:34

「......本当に『悪者』かすら......」

「すみませんもうこんなことしませんからせめてかっこよく倒してくださいお願いしますぅぅ...」HP:9
土下座をする『ナニカ』。
え、曲がりなりにも悪者じゃないの?
反撃しないの????
精神攻撃?????

変身する前に決着が付きそうだったので慌てて氷姫に言う。

「ほ、ほら、こう言ってるんだから、さ」

「...変身、するんですか」

「するんです」

「......なるほど」

氷姫が本を開くと、中から鍵穴のようなものが出てくる。

それにためらいながらも鍵を差し込み、水色の光に包まれたあと、氷姫が変身を終えた。

が、なにやらもじもじとしている。

「どうしたの?」

「.........は......」

「は?(あ、これ前もあったな)」

「恥ずかしいです!」


恥ずかしがられた。


 どうしていきなり恥ずかしがったのか...

氷姫に渡した本は、持ち主の特徴を誇張する性質があり、『明るい』性格の人ならば『何があろうとも明るく』いられ、『穏やかな』性格の人ならば『とても温厚で優しい』人になる、ということなのだ。

 では、『引っ込み思案』だとどうなるのか?

もちろん、ほとんど喋らなくなるに違いない。

と、いうことは―――

(やべこれ引っ込み思案どうすんだ!?)

ボクが対処のしようのない問題に慌てている間、ピエロはというと...


――静かに正座をして待っていた。ええ...



3.倒すのならば一気に仕留めましょう


「.........ところで...」

「?」

「この、ピエロ..?....さん......本名って」

「ああ、えーっとまあ、聞いてみたら?」

「え、いやですはずかしい」

「まぁ、そう言わずにさ...」

氷姫がピエロ(?)の方に向き直る。相変わらずピエロは正座のままこちらを見ている。

「あの...」

「?」

「本名...」

「俺...あ、いや、僕の本名は『愚者』と言います」

「『愚者』?」

「あ、はい。タロットカードの小アルカナの一番目のカードです」

「...『愚者』イコール『莫迦』...」

「あ、そんな感じです...お恥ずかしながら」

「...なる」

「あ...『ほど』言わなくなった」

「...○す......」

「すみませんゆるしてください...」

ボクは何を見せられているんだろう?

おどおどしている魔法少女の目の前で正座をしてぺこぺこしている『悪者』――もとい『愚者』――絵面がエグいことになってきてしまった。

「もう倒してあげようよ」

「...わかり、ました...」

「呪文は『氷の世界に迷い散れ!フローズンフェンス!』だよ〜」

「...とても恥ずかしいじゃないですか...」

「魔法少女だからね〜」

「うぅ〜〜...」

氷姫は氷をモチーフにした鎌を愚者に差し向け――


「...こっ、氷の世界に迷い散れ!フローズンフェンス!」

「え、なんて」


――声ちっさ!

こんなので技発動するのか――

ドオオオオオオオオオオオン...(氷の壁で愚者をぐsy)

「ぐあぁぁぁぁ...」

「まって技が思ってたよりもグロい!?」

予想以上の威力とグロさに驚くボクの横に、変身を解いた氷姫が降り立つ。


「...怖かったぁ」

「新喜劇かよ」


――氷姫が一番怖かった。



4.引っ込み思案には気をつけろ


 氷姫が愚者をとんでもない方法で浄化(?)した後――

ボクたちは愚者の残骸の処理方法について考えていた。

「これどうしよ」

「...モザイクかけときます?」

「まずそうしようか」

モザイクは無事にかかったようだ。

「...これ、私の力で凍らせられますかね」

「いけるんじゃないかな?」

「いけるんですか」

「もともと五澄家って氷の神様の血が流れてるらしいからね」

「なるほど」

「その五澄家の『氷の姫』だよ?使えるっしょ」

「軽い!?」

「念を込めてできないなら血でも垂らせば?」

「...うわぁ放任主義」

「ナイフ無いけどね」

「じゃあ『氷華』出します」

「なにそれ刀?」

「あ、そうです。」

「これボクが勧誘しなくても魔法使えた系かー」

「魔法、というか術、ですけどね」

「何この引っ込み思案怖い」

「神社の巫女です」

「あぁーなるほど、厨二病か」

「◯しますよ」

氷姫は小さく「氷華」と呟いた。周りの空気が凍り、一振りの刀が現れる。

「小さくします」

「んん?」

小さく?と思っていると突然刀が光り、小刀になった。

氷姫は小さくなった氷華で自身の手首を軽く切り(リスカか?)、血を愚者の残骸に垂らした。手で何か印を切ると残骸が青く光って凍りつく。

凍った残骸を拾い上げてゴミ箱に捨てる。

「ふぅ」

「五澄家すげえ」

「ちなみに術ならうちの妹も使えますよ」

「え」

「ノヴィさんの言うとおりなら『波姫』なので水かと」

「姉妹揃って異能力者だった」

「私は『氷華』ですけど妹は『水無月』です」

「ちなみにそれは?」


「弓です」

「遠距離武器」


――魔法少女いらないんじゃね?




*あとがき*


「なんなんだこれは!?」

たぶん、これを読んでくださった皆さまがそう思うと思います。

書いているボク自身でさえも、これは何なんだ?と首を傾げながら書きました。やばい。

 はじめまして、架羅と申します。以後お見知り置きを。
普段は歌ってみたを中心に活動してますが物書きをガジガジしてみようと思いあげてみました。

我ながらやばいものを作ってしまったと、後悔しかけております。

もう魔法少女にしなくてもいいほどの能力を持つ氷姫たちに振り回されるノヴィグラドが可愛そうです。(他人事)

 次、があれば、、またかくかな

...知らんけど(責任放棄の極み)

もっと書きたいことがありますが言葉に変換しきれないので(語彙力)

終わっておきます。

ではでは。

                     

           深夜テンションの5月9日

                    架羅


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