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毛玉を取ろう 衣替えをしよう もうすぐで春だから 君はいつもしかめっつらだね 冬に取り残されている化粧水 スマートフォンの持ちすぎでいびつにへこんだ小指 突き指で節が太くなった手 あなたを傷つけないために白い部分がない爪 夜更けに布団をかぶって冒険したゲーム 何、よこしまな感情がないわけではない そりゃあ、人間だもの 春は浮かれる季節だよ 酒を飲もう お弁当を作ろう マトリョーシカだったから 引きこもりで白くなった肌 生理前でやたらにはりつめているおっぱい 消毒で剥けた皮
お湯の飛沫が皮膚に触れる 針の刺さったような鋭い痛みがじわりと滲んでくる おんもはこわいからでちゃいけないってばあばが言っていた 日焼け止めを塗りわすれた首筋は家に帰ってからけだるさに包まれる 献血をして世界を救ったような気になっている 夢枕の残り香もすでに塗り替えられて ラーメンの汁がこぼれ落ちたドラマティック ワイシャツのボタンを外して 繕うのは上手なの 意外と似合っていたボーダー 僕より長くて黒い髪の毛 絡みつく指先 梅が咲いたことも知らないで春はあけぼの 雀だけが
ふっくらしてきた気がする 生活にいらないものが増えてきた ぼくの中に注がれたものたちよ お母さんの愛情に埋もれていた3歳の夏 クリームソーダのさくらんぼだけをこっそり食べた罪悪 ゴムをつけてくれなかったじゃないか あれだけ匂わせておいて何もくれないのかい 内臓の下処理を怠った生肉が腐っていく 楽園に行きたいだけなのにどうして 常に67点の生き方をしているからに決まっているだろう はげたお化粧にさようなら ぼくを嫌っているあの子にも生活があって呼吸をしている 実感を伴った言葉は