リミットゲーム KQ64ゲームから学ぶベット判断
今回はKQ64ゲームというトイゲームを用いてリミットゲームのリバーにおけるベット判断について考察していきます。
KQ64ゲーム
既にご存知の方は読み飛ばしていただいて構いません。
KQ64ゲームとは、なかのうえ氏によって考案された、
「ボードがAAA23で2色以内の時のリバーにおいて、oopipともに、レンジ中にK~4までのペアでない2枚(KQ~64)を全て持ち、両者のハンドが全てスーテッドである。」
という条件のトイゲームです。
かいつまんで説明すると、
「AKQゲームを拡張した、ハイカードで勝敗が決まるゲーム」
です。
こちらの動画で詳しく解説されている為、一度ご覧になることを強くお勧めします。
今回はこのKQ64ゲームを元に、リミットゲームのリバーのアクションに似せた設定で計算結果を読み解いていき、実践の参考にしようと思います。
設定
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89180941/picture_pc_3ac008690afb919463e4a9248caeb6f6.png?width=1200)
今回使うモデルは
KQ65blocker vs KQ65blocker
コンボ数を揃えた方がよりわかりやすくなると考え、4が含まれるハンドを削除したレンジを用いています。
ポットサイズはBTN vs BB srp フロップ、ターンのアクションがxbcだった場合のリバーを想定して1050にしています。
ベットサイズは200c(cを用いることでベットサイズを固定することができます)。
画像には映っていませんが5betキャップ、accuracyは0.0003%で計算しています。
通常の計算結果
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89181515/picture_pc_2a1d5e34c6f00317576e9154bae5551f.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89181685/picture_pc_a36656c738db59798ffef6d3c0c501be.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89245444/picture_pc_ad67c2a72772a93bf87f5eb6f2587b29.png?width=1200)
画像1と2はそれぞれoopのベットアクション、oopがチェックした場合のipのベットアクションです。
比較すると、oopがブロッカーを意識してベットレンジを構築しているのに対して、ipはEQに沿ってベットするハンドを選定しているのが見て取れます。
polarized
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89244853/picture_pc_7b855dbf68230a219734db0916fd30f6.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89245160/picture_pc_14c202236ae2f80b071c3fe6876719cb.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89246014/picture_pc_fe944016629dfead0402c6614d26e832.png?width=1200)
画像4はoop側のベット頻度とバリューとブラフの比率ををそのまま、ベットするレンジをポラライズさせた状態でノードロックをかけたものです。画像5,6はそれに対するip側のアクションです。
元の計算結果と比較すると、
・ipはoopのチェックに対してベット頻度を上げることができる。
・ipはoopのベットに対してブラフをブロックしているものを大量にフォールドする。
といったことが読み取れます。
EVを比較すると、
node lock前
oop 509.2
ip 706.6 339.7
node lock後
oop 506.6
ip 763.6 237.4
となり、oop側がEQに沿ってベットすることが一見悪くないようにも思われます。
ここでipのベットに対するoop側のアクションを比較してみます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89246537/picture_pc_edafcd10e9f87375f81854163a2a5975.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89246878/picture_pc_b78ed2f945293bedb14ec5d40e7d93e2.png?width=1200)
画像7,8はそれぞれノードロック前と後の、x/bに対するoopのアクションです。
ノードロック前はレイズするハンドがレンジ内に残っているのに対し、ノードロック後はレンジがよりマージナルなものとなり、一部をコール、一部をフォールドする戦略を取らざるを得なくなっていることが見て取れます。EVにも大きく差があることから、oop側はブロッカーを意識してベットするレンジを構築する必要があると言えそうです。
100% check
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89251930/picture_pc_9eac7594370aad733897d41e2c7af4f8.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89251932/picture_pc_a52f48375f30716ae4f1a4dffbf6b339.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89251931/picture_pc_0b199b829458ac47b6cb9db701411b94.png?width=1200)
次にoop側が100%チェックした場合の戦略を見ていきます。
画像10を見ると、全レンジでチェックしてくる相手に対してはチェック頻度を高くするのが有効だということが言えそうです。
Value only
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89255656/picture_pc_071600f3d5856b3f2607d25152c4df15.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89255659/picture_pc_2b72fae442e05cb5d7924fcb631249cc.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89255660/picture_pc_9e28667f50ffa374094a614003fb7b99.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89255657/picture_pc_2088bae85ac204e8c2714fb5db555c98.png?width=1200)
最後にoopのベット頻度が低く、ベットするレンジがバリューに寄っている場合を見ていきます。
画像13を見るとoopのベットに対して、ip側はレンジに含まれる大半のハンドをフォールドしていることがわかります。ベットがバリューに寄る相手に対しては、いかにベットサイズが小さいといえどオーバーフォールドしても問題が無さそうです。
また、画像2と14を比較してみると、oopのベット頻度やレンジが変化してもip側の戦略はさほど変わっていないことから、oopのチェックに対して極端にベットする頻度やレンジを変える必要がないということも言えそうです。
JOPTなどの大会や低レートのライブキャッシュでは適切なブラフレンジを構築できず、バリュー一辺倒になってしまっているプレイヤーが散見されます。こういったプレイヤーに対しては、とにかくオーバーフォールド、バリューベットは通常通り打つ、といった戦略で簡単に利益を出すことができます。
今回はpiosolverのnode lock機能を使って、KQ65ゲームのベット頻度とその内訳を変えた際の戦略の変化について見ていきました。
ベット額が固定されているリミットゲームはトイゲームとの相性が良く、実戦で役に立つエッセンスを学びやすいと私は考えています。
次回以降の記事では、oopとipのレンジが異なる場合の戦略の変化について見ていき、より理解を深めていこうと思います。
内容は以上となりますが、有料部分で今回使用しなかった計算結果(3bet以上)について載せておきます。piosolverやGTO+をお持ちの方は自身で計算してみることをおすすめします。
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