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8/14(水)放送 水曜日のダウンタウンで感じた違和感の言語化

今までこんなテーマでnoteを書いたことも無いのですが、たまたまテレビで見かけた一幕が(その時飲んでいたお酒の力もあってか)、凄い引っ掛かりを感じて言語化したくなったので書くことにしました。
完全に自己満足でしかありませんがご了承いただければと存じます。

※番組見逃し視聴リンク(期間限定)

番組の経緯

世の中の様々な疑問を説として提起し、実際に検証していく番組として人気の水曜日のダウンタウンにて、ピン芸人であるお見送り芸人しんいち(以下:しんいち)にドッキリを敢行。
テーマは「昔不義理をした人に謝りに行く系のロケ、少し売れたことで先方も大目に見てくれると思ったら間違い説」。

しんいちに「昔お世話になったけど不義理を働いてしまった人に謝りに行くテレビ番組」という設定で出演オファーをし、誰に謝りたいかを確認。
そしてしんいちに実際に謝りに行かせるも、謝られた先方が敢えて感動的な空気には持って行かずに当時の不義理を働かれた温度感で普通に怒るというドッキリ。

しんいちが謝りたい人として選んだのはとある先輩芸人。その人は収納王子としてテレビ番組にも度々出演するコジマジックこと小島弘章(以下:コジマジック)。

一緒に食事をしたり、家族ぐるみで良くしてもらったりという関係性だった2人。
ある日、コジマジックが仕事の一環として自身のキャラクターである片づけ・収納に関する音楽を作って発売したいということに。
芸風的にも作曲が出来るしんいちにこれを依頼し、しんいちは快諾。曲を作成し、コジマジックに提供。
しかしコジマジックはしんいちに今回のプロジェクト自体が低予算なのでそんなにギャラを出せないことを謝罪し、3万円でどうかと頭を下げながら相談。
しんいちはその金額に割に合わないものを感じ、それ以降コジマジックとの連絡を疎かにしてしまった。
しんいちが3万円で曲を提供するかどうかの連絡をしないことでプロジェクトに関わる様々な人を待たせてしまい、コジマジックは色んな大人に迷惑を掛けているとしんいちに激怒。
そこから絶縁状態が8年間続き、今回のドッキリが実現。

本当はもうしんいちのことを許しているどころか売れていることに対して涙が出るくらい嬉しいと感じているコジマジックだが、(グダグタになりつつも)怒っている風のドッキリは遂行。
そのやり取りの最中でしんいちが誰にも明かしていない本音を聞き出すくだりになり、しんいちが思いを吐露。
当時曲を提供した際、コジマジックから作詞名義をコジマジックにして欲しいと頼まれた。(実際にサビのフレーズはコジマジックが考えたものだった。)
音楽において作詞に対する印税の割合は非常に大きいため、そんなことを平気で提案してくるコジマジックに対して怖くなってしまったとのこと。
(実際、コジマジックサイドとしてはサビのフレーズを考えているのが自分のため、作詞名義をしんいちとコジマジック共同にして欲しいという意味で相談した話だったが、しんいちは名義そのものを100%コジマジックにして欲しいと言われたものだと勘違いしていた。)
ここに来てしんいちのお金にがめついクズな部分が出たとコジマジックはショックを受け、ドッキリなのか実際の感情発散なのか分からない絶妙な怒り方をし、結果的に形としてはドッキリ成立。

しんいちは一度車に戻り、こんな感じならもう謝りたくないと動揺しながら吐き出す。
スタッフが何とかもう一度しんいちをコジマジックのところに戻し、成立中のドッキリを再開。
ここでコジマジックは限界を迎えたのか、スタッフに断りを入れてしんいちにドッキリだと告げる。
動揺するしんいち。
ここでスタッフが気を遣い、カメラは残しつつも2人だけをその場に残してお互い話をさせることに。

作詞印税問題の件には触れず、また仲良く交流する関係に戻りたいとお互いの本音を吐露する2人。そしてわだかまりが解け、仲直り実現。最後はコジマジックの家族含めて2人が仲良く写真に写っている模様が放送され、(一応)ハッピーエンドという形で企画を終えた。

感じたこと

はじめに断っておきますが、番組を見るに既にお二人の関係は修復しています。
そのため、どちらが一方的に悪いと責めるつもりは毛頭ありません。
ただ、この件に対して思うことの言語化をするだけですのでよろしくお願いします。

まず一点目として、これはXでも同じことを言っている人がたくさんいますが、作曲した後に金額提示をしたらこういったわだかまりが生まれるのも仕方ないのかなと。

自分はクリエイターでも何でもないので、曲提供に対する3万円という金額の大小は分かりません。(とは言え、作曲にかかる時間とその後に生み出される利益を考えたら普通に割に合わなさそうだなくらいの想像はつきます。)

それはコジマジックも(多分)同様のはずで、その辺りの価値観が分からない部分についてはプロジェクトを立ち上げた段階でしんいちにまず金額の感覚をざっくりでも確認し、そこからプロジェクトを進めるにあたって予算を構築し、都度相談していく…という形が望ましかったんだろうなと。

自分も(詳しくは言えないですが)、直接自分自身の手でクリエイティブしてくれる方に作ることを依頼するのを仕事の一環としているため、この辺りの話はシビアに感じます。
本来の理想的な仕事の流れとしては
プロジェクトが立ち上がる→予算を組む→作り手の方に「今回この予算ですけど依頼受けてくれますか…?」と交渉→成立したら開始
という感じですからね。
あらかじめ作り手の方とコミュニケーションを取っておき、それを加味して予算構築出来たらもっと綺麗ではありますが、現実問題作り手の方がこれだけ欲しいと言ったところで予算自体を増やしてもらえる訳ではないパターンも結構あるでしょう。そのため、この辺りは綺麗に行かなくても仕方ないところではありますが。

繰り返しますが別にどっちがどう悪いとか肩入れするつもりはありません。
そもそも和解済みなのにそんな再度火種を作るような嫌らしい行為はもってのほかですし。
ただ、「お世話になっている先輩後輩同士の人情」という気持ち的なものをシビアにお金が絡むビジネスに半端に組み込んでしまったのが運の尽きだったんだろうなと。
実際、コジマジック側としても当時今ほど売れていなかったしんいちに曲を作らせて世に発表することで少しでも彼が売れる手助けになれば…という考えがあったとのことなので、本当に彼が後輩想いであることに間違いは無さそうです。
しんいちも「少しでもお世話になっている先輩の力になりたいので頑張ろう」という真っ直ぐな目をして突っ走ったみたいなので、本当に良い関係性だったことが窺えます。
ただ、それはそれとしてあくまでお金の話はちゃんと白黒はっきり決着つけて契約してからようやく事を進めるべきだったの一点に尽きますね。

普段尽くしてやっている後輩相手だし、名前を売るきっかけを与えてやるんだから無料でやってもらおうという愚かな発想には至らず、予算が少ない中でもちゃんとしんいちに対する配分は作ろうと努力したコジマジックの行為は(当たり前と言われたらそれまでですが)賞賛されて然るべきだと思います。
一方で一つの作品を時間をかけて作り上げたしんいちに対して真っ当な対価が払われるのも当然であるため、彼がお金を欲しがる行為は何ら間違っていません。正当な主張です。

ただ、コジマジックはサビのフレーズのみを提供して作詞を共同名義にしようとした部分だったり、曲が完成した後に初めてお金の話を持ち出したりと無知故に至らない部分があったのは仕方ないかなと。
一方でしんいちも先輩への義理人情の気持ちが先行して確認を疎かにして突っ走ってしまい、自分がやったことに対する正当な対価という部分で後出しされる形になってしまったのが不運だったんだろうなと。

お互いの義理人情がしっかりしている上にお金が絡むビジネス話を乗せてしまったために歪みが少しずつ発生してしまい、崩壊を招いてしまった事故なんだなと感じました。

幾らプライベートで親交が深く、心を許していると思い込んでいる相手だったとしてもビジネスに絡んでくる話は軽率に対応せず、きちんと段階を踏んでお互いが納得の行くところまで譲らずに対等に話し合う必要があるんだろうなと。
そして必要に応じて第三者を挟んで終始公平性のあるテーブルの状態を保つことがこのような事故を招くケースを減らせるのかなとも生意気ながら思いました。

二点目ですが、そもそも番組がしんいちをまるで「お金にがめつい悪い奴」みたいに無理やり演出したがるところがヒシヒシと伝わり、少しモヤっとしました。

大前提、水曜日のダウンタウンがそういう番組なのは重々承知です。
今回はたまたまテレビをつけたらやっていたから見たとは言いましたが、自分はたまにU-NEXTで過去の放送回を見るくらいには番組を楽しませてもらっています。
そのため、いつも特定の芸人がピエロにされてそれを我々視聴者が笑うという形には慣れています。
しんいちについても同様で、彼が裏ではかなり性格が悪い事を露呈してしまうドッキリの回とか、ハニートラップに性懲りも無くかかりまくってしまうスケベさを露呈してしまうドッキリの回とか、色々と例外無く楽しませてもらいました。

その上で今回はちょっと強引すぎたのかなと。
番組の流れ的にそうした方が都合が良いのは分かるのですが、しんいちを何とかして悪者っぽくしたい流れが節々に見えてそれが腑に落ちませんでした。

さっきから常々言っていますが、クリエイターが時間をかけて作ったものに対して対価を支払うべきなのは当たり前のことです。
今回のしんいちに関してはお金にがめついなどと言われる筋合いは1mmも無いと思います。

ただ、番組としては「しんいちはこれくらいのことでやたらお金を請求してくるがめつい奴だ」と演出し、それで場を落として笑いに変えざるを得ないという無理やりな感じが見受けられました。
スタジオにいるパネラーの芸人たちが口々にしんいちががめついとツッコミを入れ、笑いに変えようとしていました。

別にしんいちのファンでも何でも無いので正直しんいち可哀想などとは全く思いませんが、世の中にはこのコジマジックの件のしんいちと同様に音楽を作って提供することを生業にしている方が多くいらっしゃいます。
今回のしんいちを「悪」として演出してしまうようなら、世の中にたくさんいる作曲出来る方々を軽んじ、その方々が仕事をしづらい空気を作ってしまう危険性があるなと感じました。

今回の件に限らず、テレビ番組側が一度ピエロとして定めた芸人を何とかして笑いものにしたいがために、その人がたまに間違っていない言動をしていたとしてもそれを無理やり否定する方向に持っていき、結果的に同じような条件を抱えている世間の人々を生きづらくしてしまいかねないなと思ったりします。

とは言え、救いようがあったなとも思っていまして。
今回の件にモヤモヤを感じてXで番組の実況ポストをしている方々の感想を幾つかチラ見したら、同じようなモヤモヤを抱いている人たちが結構な数見受けられたのでホッとしました。
クリエイターに対して正当な段階を踏んで然るべき対価を払うべき、という感性をちゃんと持っている方々が結構いるので勝手に救われた気分になりました。

まあ、番組に操られるかのごとく脳死でしんいちを叩いているアカウントもいた訳で。
とりあえずそういう世論に操作されて自分の意見を見失っているバカを置き去りにして歩いていける人生だと良いなと思ったりもしています。

言語化以上となります。
終わりです。

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