二次創作「寝坊の理由」

夢を見るんだ。

なんだかよくわからないけれど、なんとなく幸せそうな夢を。


僕と、ドムと、クリスと、三人でバンドをしてる夢。

世界中のあちこちを回って

大きな会場でびっくりするようなライブをする。

誰も思いつかないような

とてつもないライブをする、そんな自分を見る夢。


いつも僕は観客の側で

楽しそうに曲を演奏する、大きくなった自分を見てる。

見る。ただそれだけ。


それだけなのに身体がうずうずして

それだけだから早くそっちに行きたくて

そのステージの上から見た世界ってどんななんだろう

どれだけ楽しいんだろう


ああ、見てるだけだなんて、そんなの嫌だ。

僕もそのステージの上に行きたい。

そう思っていると、大人の自分と目が合って

笑顔で手を伸ばされる。

「お前もこっちに来いよ」って

やった!僕もあっちに行ける!って

その手を取ろうとすると、目が覚めるんだ。



目が覚めるとそこはいつもの自分の部屋で

時計が長い一日の始まりを告げている。

そのあまりの長さに、うんざりする。


どうして?

どうして僕の現実は

こんなにも退屈でつまらない?

夢の中の自分はどこにだって行けるのに

現実の自分はどこにも行けやしなくて


もう少しだけ長くあの夢の中にいたら

僕、あの手を取ってステージに立てるかもしれない。

そう思ってまた目を閉じる。

一度だって取れたことないんだけど

今度こそはって思いながら夢の中に戻っていく。


いつかあの手を取ってステージの上に立てる日が来るんだろうか。

ああ、でもそれならば

いつか覚める夢なんかじゃなくて

たしかに掴める現実がいい。


きっとこの幸せな夢を正夢にしよう。

そう思いながらまた、眠りに落ちていく。



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