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悪質な不動産会社や瑕疵のある賃貸物件に起因した賃貸借トラブルとの闘いかたを考えてみる。2/闘い方の方法論

前回は、近年の賃貸借不動産トラブルの現状と実際に不動産会社や賃貸人と有利に闘うために、必要となる事前準備に関するお話をさせて頂きました。


■資金力別に考えるシンプルな闘い方のパターン

事実認証に関する事前準備へのご理解はいただけたでしょうか?事前準備が整ったことを前提に、次のステップに行きたいと思います。次は、闘いにおける方法論・ツール/手段の選択です。

■低賃金/非課税世帯・生活保護世帯等で資金力が全くない方

1;相談できるところ;過度な期待は禁物!

・全国各地に存在する法テラスに相談だけでも行きましょう。実質30分くらいですが訴求要件の整理にはなります。
予め目的や事実証拠をまとめていき、今後の方向性を決めるには、良いと思えます。ただ、はっきり言って、法テラスで相談できる弁護士は、満足な専門知識を持っている先生は少ない印象です。法務研修を終えたばかりの弁護士資格取り立ての新人か、専門性が低くかつ法廷訴訟経験が少なく、つまり結果として目に見える実績に乏しいため、名指しでの依頼が少なく、自分から仕事の取れない弁護士もかなりいます。従って、人選的に当たり外れが激しい(特にはずれが多い)というのが利用した私の感想です。
一般論ですが、法廷経験が豊富で、勝率が高く、実力のある弁護士や業界でも著名な弁護士事務所は、年中案件に事欠かないため、新人研修か、余程のことでないと法テラスに仕事を貰いに来ることはありません。そこそこの勝率の弁護士や親身になって案件をこなしてくれる、人格者の弁護士もいないことはないでしょうが、比較的少ないように思えます。加えて、専門性も不明かつ能力も個々により偏りがある為、余程の決め打ちで相談できないと満足のいく解決は望めません。従って、結果に期待はできない代わりに、訴訟案件情報に関する頭の整理にはよいと考えるのです。
意図せず否定的な話になりましたが、ここの有難さは、私のような底辺の弱者の味方なので、資金力が全くなくとも訴訟案件を請け負ってもらえることです。基本的に、初期費用(弁護士着任時の)が抑えられること、一定額以下の所得の場合、訴訟費用全額の減免制度があること(減額の場合でも、何度かに分けて払うことができます)法テラスに訴訟案件を頼む際の注意として、案件に対する咀嚼力が弱く、法廷経験の少ない弁護士は、依頼者側がしっかりしてないと、先方と交渉ごとに論点の軸がズレて、着地点が定まらないだけでなく、最低限の目的も達成できず、一体、何のために争ったのかが分からなくなる事も多々あるので、こちら側も依頼した弁護士の交渉内容や手順の咀嚼をし、進捗の都度、十分に相互確認しながら行う必要があります。

・一般社団法人不動産トラブル解決協会/NPO法人不動産トラブル解決センター(内閣府;非営利)前者は業界団体、後者は政府に近いのですが、業者への法的対処を含め、アドバイスを頂くのであれば、後者がいいかもしれません。専門のアドバイザーがおり、法廷闘争に長けた弁護士もいるとのことです。・国民生活センター;ここは、相談とアドバイスだけでなく、専門研究員のいる研究施設も持っており、例えば住宅に発生したカビ等のトラブルでの検査サンプル持ち込みによる、科学的根拠醸成にも対応できるとのことです。

2;訴求手順

・法テラスやトラブル解決センター、国民生活センターに相談に行き、具体的なアドバイスを受け、論点ごとに内容を切り分けて整理する。・法テラスに依頼するか、本人で交渉するかを決める。

・訴訟/相手先への通知書類作成;法テラスの場合は、論点がブレないためにも、事実を示す証拠の提出と書いてほしい内容・論点の明確化が必須です。返答期限を決め、後日配達証明で、相手先に発送します。

・期限内に具体的な返答が来た場合は、それを受けて交渉内容をまとめる、弁護士がいる場合は、着地点を踏まえた内容を伝え、次の交渉目標を決める。

・相手から回答が来ない場合は、回答期限後に調停か法廷闘争にするかを決め、裁判所に書類を提出する。

・調停/裁判が実施され、最終的に判決が出る。


■少なくともキャッシュで200万円以上の資金力がある方


1;相談できるところ

・一般社団法人不動産トラブル解決協会/NPO法人不動産トラブル解決センター(内閣府;非営利)前者は業界団体、後者は政府に近いのですが、業者への法的対処を含め、アドバイスを頂くのであれば、後者がいいかもしれません。専門のアドバイザーがおり、法廷闘争に長けた弁護士もいるとのことです。

・国民生活センター;ここは、相談とアドバイスだけでなく、専門研究員のいる研究施設も持っており、例えば住宅に発生したカビ等のトラブルでの検査サンプル持ち込みによる、科学的根拠醸成にも対応できるとのことです。

・カビなどのトラブル、住宅の欠陥等の場合、科学的根拠の検証が必要となる。カビの場合、専門機関による出張型の検査サービスが個人向けにあるが、平均価格が出張検査、レポート提出までで、個人レベルで最低でも20万円以上、法人だと40万円近くかかる場合もある。弁護費用の一部とはいえインパクトがある重い出費なので、業者選定は慎重にしたほうが良い

2;訴求手順

・国民生活センター、NPO法人不動産トラブル解決センター(内閣府;非営利)等に相談して訴訟案件の最終的な目的に関して、現実的な着地点や論点の方向性を定める。結果的に法的効力がありそうなものか、法的効力として認められにくく、難しいものかに分類するための情報収集にも良いと思える。

・必要に応じて、民間の専門機関等に法的根拠の重要な要素となる瑕疵の、科学的分析を依頼し、詳細な分析レポートを入手する。特に物的な瑕疵要素、人体への健康被害等がある場合、原因となる要素の詳細な分析、同定などが、専門的にできればできるほど、論証能力が高くなる。

・専門性の高い弁護士を選定する。
HP等でも不動産トラブル分野で実績のある弁護士は検索できます。
ここで気を付けなくてはいけないのは、主目的の契約が単なる不動産賃貸借トラブルに関する損害賠償なのか?立ち退き問題への法的対抗手段なのか?等の主目的/主機能を鑑みた場合、弁護士の必要なカテゴリにおける高度な専門知識や同様の訴訟案件を数多く扱い、勝訴に導いてきた経験・実績が重要な要素となるためである。弁護士の訴訟実績の確認として、どの視点に立てる弁護士なのかを見極めることが重要。一例として賃貸人依頼での大家視点でのトラブル解決実績が多いのか、賃借人依頼での消費者側トラブル解決実績が多いのかによって、交渉戦術~果ては勝率がかなり違うので、慎重に選び分けが重要です。中には立ち退きに特化した弁護士事務所もあり、その場合賃貸人が交渉後、賃借人の立ち退きを諦めると契約外となり、契約自体が目的・機能ごとの個別契約の為、交渉のベクトルが目的から外れると、信じられないことに弁護士事務所がすぐに手を引くため、高額な弁護士費用のみが残存し、結果原告が弁護士費用を支払う結果となり、私も厳しい生活を強いられたことがあります。
従って、できる限り機能的にある程度広義な(立ち退きだけでなく、不動産トラブルの主体的解決案件として)目的で契約ができる、専門性の高い弁護士事務所が良いかと思われます。最近は、不動産/金融系に特化した弁護士事務所等機能を専門特化した弁護士事務所が増えてますが、この商材特化系弁護士事務所は、専門特化していながらも残念ながら、交渉結果に満足できる腕の良い弁護士は少ないという印象
実際の進め方としては、連名型弁護団を結成し、分業型で業務をこなしているため、情報共有が不十分で、交渉経緯がブラックボックス化し、交渉報告も遅れ遅れになったり、大切な交渉情報が依頼主に伝達されていないなど、全般的に仕事が驚くほど雑であることも多く、結果的にお勧めできない。従って、一度選考もかねて情報収集も含め、弁護士事務所に相談をしに行き、訴訟内容の主題に合う専門性に関する実績を質問のなかで聞き出し、専門性レベルを推し量るしかないということです。

実際、予算のある無しに関わらず、交渉に関しては、ほとんどが最初から訴訟とはならず、まず論拠となる基本資料と相手への主要な要求内容を書面化し、内容証明送達をベースとした示談から始まるのが通例です。期限内に相手からの返答を得る中で、相手側の当該案件に対する基本姿勢を確認し、交渉戦略を練り直し、論点や着地点の修正を細かく行っていきます。結果的に何度かの書面のやり取りで双方が折り合わない場合、訴訟への移行となります。
気になる弁護士へのお金のかかり方としては、何段階かあって、一般的な考え方では、着任時に着手金が20万円~、書類作成が作成の都度平均3-5万円前後、訴訟になった場合は、更に法廷闘争開始前に着手金が20万円前後上積みされるケースが多く、勝訴の場合成功報酬は個々の弁護士との契約内容によります。従って当然ながら、示談や訴訟が長引けば長引くほど、訴訟にかかる資金力が必要となってくるのです。

次回は、近年悪質な不動産管理会社や貸主に対して実効性のある、法的な対抗手段が出てきましたので、その方法について考えていきたいと思います。

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