
築80年の思い出
こんばんは。
私が産まれてから10歳まで過ごした家は、当時築80年。
土壁。
煉炭のコタツ。
ボットン便所。
お風呂は薪で炊くタイプ。
シャワーなし。
ゴキブリの代わりに、ねずみが駆け回る。
今では信じられないくらい、古い家でした。
そんな家で10年間過ごした頃と比べると、今の生活は清潔で便利すぎます。急に50年くらいタイムスリップしたかのような感覚です。
いま、振り返ってみると面白いことがたくさんあったなぁと思うので、今日は当時の暮らしの思い出をご紹介しようと思います!
薪風呂、怖すぎ〜
薪で炊くお風呂、入ったことありますか?
まだ直焚きのお風呂を制作している「大和重工さんの商品説明ページ」をぜひご覧ください。
我が家もこのようなシステムのお風呂でした。浴槽自体を下から温めるので、お風呂の底面はめっちゃめちゃ熱いです。
そのため底板を敷いて入るのですが(我が家は木のすのこでした)、おろしたての底板は水に浮きます。
お風呂に入る際、水に浮いている底板を沈める時に、ぐわーっと水流が起こるんですよね。小さい頃それがめちゃめちゃ怖くて。
あの水流に巻き込まれて死ぬのではないかと、お風呂に入るたびに泣いていたような記憶がありますw
1人で入れるようになってからも、あの底板を沈めるのが苦手で。手前に足をかけて沈めようとすると、奥が浮き上がってきてひっくり返るんですよ。
ひっくり返ったものは重くて直せないから、ひっくり返ったままもう一度沈めたり。
あと、炊いたばかりの浴槽の内側に触るとめっちゃ熱いです。小さい頃の私にとっては、スリル満点のお風呂でした。
壁に海苔入ってない?
実家は土壁だったのですが、壁紙にいろんな種類があるように、土壁にも色んな色があったりします。
そんな中でもずっと気になっていた2階の土壁。明らかにふりかけの海苔みたいな、細かい海苔が壁に入っているように見えます。
よく調べてみると、あの壁はどうやら、
「繊維壁」(←実際の繊維壁の材料です。リンクになってます)というものだったようです。
その海苔みたいなものを取り出したくて、ガリガリ壁を削っていました。もちろん怒られるのですが、親が忘れた頃に、懲りずに再度ガリガリ。20枚海苔を貯めたところでやめました。集めてどうするつもりだったのでしょうか。
ネズミの鳴き声
夜になると、ネズミの足音がそこらじゅうに響き渡ります。ゴキブリが出ない代わりに、ネズミに占領された家でした。
毎晩のようにネズミホイホイを設置し、朝確認すると1〜2匹そこに捕まっていました。
不思議と動いている時はあまり鳴かなくて、捕まると鳴くんですよね。
ネズミが好きだった私は、その鳴き声が辛くて辛くて…。
病原菌の温床だったり、家も齧られちゃうので駆除しなければと分かっているけど辛かったですね。
古ーいオルガン
家というより家具ですが、我が家には古いオルガンがありました。親戚の家にはもっと古い足踏み式のオルガンがありましたが、我が家のそれは、押せば音が出るタイプのものでした。
しかし、やはりそれなりに年季が入っており、「レ」と「シ」の音だけ、妙〜なバグった音が出ます。
白い鍵盤をドから順番に叩けば、
ドーレルルルレルルミーファーソーラービビビビビドー‼️
になります。
レとシのバグ音だけ音量もバカになっていて、
レルルルルレルルレルル‼️
ビビビビビビビビビビビ‼️
と、まるでサイレンのような仕上がりでした。
子どもにはそれが面白すぎて、弟とレとシのサイレン音を鳴らし続けましたが、ものすごい騒音だったと思います。同居の家族が病まなくて良かったです。
もしかしたら、オルガンなりに自分の限界を伝えていたのかもしれませんね。ビビビビビビビビビビビ(もう引退させてください)
じいちゃんの技術力
子供と相性が悪い設備第1位は、汲み取り式のトイレ、通称ボットン便所です。(主観)
今では知らない方もいるんでしょうか。説明すると生々しいので、わからない方は検索してください。
小さい頃は落ちるんじゃないかと怖くてたまらなかったし、実際に3回、トイレ用のスリッパを落としました。
そんな時にはじいちゃんに相談します。「じいちゃん、スリッパ落とした。」
するとじいちゃんは、おう、と短く返事をし、その数分後には落としたはずのスリッパを洗っているのです。
じいちゃんは、どんなに見えないくらいの深場に落ちても、落ちた先が地獄絵図だったとしても、必ずスリッパを救出します。
そして、そのスリッパは絶対に捨てずに洗います。
我が家のじいちゃんは、トイレのファンタジスタであり、スリッパの守り神だったです。
そして、何度落ちてもよみがえるスリッパが、どんなに茶色くなっても捨てようとしないことに、守り神としての並々ならぬ執念を感じた次第であります。私なら100%捨てます。
家とのお別れ
そんな家も建て替えることとなり、10歳の頃にお別れしました。
家具を出し、すっかりがらんとした我が家を目にすると、感傷的になります。最後に台所のガスコンロの取り出しを手伝いました。
そっとガスコンロを浮かせると、そこには、
見たことない虫が…1匹どころではなく…うわーーーーーーー!!!!!
家よ、申し訳ない。もう取り壊したほうがいいな。うん。
未練を断ち切ってくれた出来事でしたw
以上、昔の家での思い出を綴りました。今でも懐かしいなぁとは思いますが、戻りたいとはこれっぽっちも思いませんw
すっかり便利で清潔な生活に慣れ切ってしまいましたね…。便利になることもいいんだか、悪いんだか。