美術ってもはや映画や小説と同じなのではと思った話。
少し前のことですが、マーベル作品をほとんど見たことがない私が、なぜか「アベンジャーズ/エンドゲーム」を見に行きました。
なぜ見に行ったのかというと、世の中の盛り上がりや映画情報アプリでの口コミの高さから、これは劇場に見に行かないときっと人生いつか後悔する作品かもと思った、という極めてシンプルで軽い理由です。
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」さえも事前に見ずに行ったため、マーベルシリーズが好きな友人や同僚からは、前提知識もなく大丈夫?楽しめた?(笑)と言われたものですが、結果として私はこの作品を本当に楽しむことができて、最後は結末に感動し泣いていました。(感受性強めなタイプです)
この経験からふと私が思ったのが、この「美術ってもはや映画や小説と同じなのでは」という感覚です。
なんで突然美術?
なんで急に美術の話をしだしたかというと、単純に私が美術が好きだからです。大学は美術史を専攻してました。
大学に入ったときの夢は学芸員や大学教員という、いわゆる自分の好きなものを学び続けたいタイプの人間です。
だから、よく自己紹介では私の趣味は美術館に行くことです、といいますが、そう話すとなんともいえない空気になることが本当に多いです。
映画が好きと言えばそこから話がいくらでも広がり、読書が趣味といっても割と広がるのに、美術鑑賞が趣味となると、とたんに話が広がらない。
そして次に待ってるのは、その話を広げられなくてバツが悪そうな相手の顔と、それを振ってしまって申し訳ない気分になる自分、というまさになんともいえない雰囲気。
私は、今まで何度もこの状況に陥り、その度に美術の良さを語ってみたり、逆にすぐ別の話題に振ったり、、と試行錯誤を繰り返してきました。
試行錯誤の末に気づいたことは、これだけ美術や美術館が大衆化されてきてもなお、美術には純粋な好奇心だけでは近き難い、独特の世界があると思われているんだな、という月並みな感覚でした。
美術ってそんなに独特な世界だっけ?
美術には独特な世界があると思われている気がします。
それは、私が美術好きと伝えたときに今度美術について教えてよ!とか美術の見方が分からない、と言われたときに強く感じます。
仮にこれを映画や小説に置き換えたときに、おすすめ教えて!と言われることはあっても、映画や小説というジャンルそのものについて教えて!と言われることはないですよね?
すでにこの一言から、美術は事前情報がないとちゃんと見ることも楽しむこともできないものみたいに捉えられてるんだなと思います。(ちなみに語りたがりなので見方やジャンル自体のこと教えて!と聞かれることは満更ではないです、むしろ嬉しくて語ります)
ただ、正直気持ちは分かります。
美術のイメージってオークションやら、ギャラリーやら、コレクターやら、、なんかまさに美術の価値や見方がわかっている人同士で作品のやりとりが行われて、コミュニティが形成されているイメージじゃないですか。
私自身、忙しくてあまりアートに触れられていないと、ふと自分最近のトレンドについていけてない、どうしよう、となぜか焦りや引目を感じる瞬間もあります。
そのイメージは別に間違っていないとは思いますが、ただそれが全てではないというのが実態かなと思います。
美術史を学んでいたからこそ思うのは、作品の見方に絶対はなく、あっても有力な解釈があるだけだと思いますし、感覚的になんとなく作品が好きでも、背景や作者の考え含めて好きでも、「好き」という感情に優劣はないので、いろんな人がいろんな理由や感情で作品とふれあうことは、美術に関わる全ての人がハッピーな状況なんじゃないかと思います。
だから、個人的には映画とか小説と同じだなと思っていて、アベンジャーズで例えるなら、過去作品全部見てて背景や周辺情報にめちゃめちゃ詳しいコアファン層もいれば、私みたいにちょっとした興味から見に行くようなライト層もいて、どちらも制作側からしたら大切なお客さんですよね。
(コア層は本当に愛と知識が深いと思うので、その方々と同列だと思っている訳ではないです!)
でも美術にはここのでいうところのライト層が少なくて、ライト層になりうる人たちが、美術は独特な世界だからと心理的な障壁を感じてしまっているのではないかと思っています。
そしてその状況は美術好きの一人としてはとても悲しいことだし、変えていきたいなと思ってます。
背景知らなくてもアベンジャーズも美術も楽しめる、でも背景知ったらもっと楽しい
私が軽い気持ちでアベンジャーズを見に行って感動という気持ちを得たように、もっと軽い気持ちで美術に触れていろんな感情を得る人が増えてくると、美術というジャンル自体が絶対もっと盛り上がるし、そんな世界になるといいなと日々思ってます。
一方で、容易に想像がつくと思いますが、「アベンジャーズ/エンドゲーム」を見た後、私が真っ先にやったことはマーベルシリーズの作品鑑賞と背景情報のリサーチです(笑)
もちろん何度も書いている通り、単発でも十分すぎるほどに楽しみましたが、やはり背景を知ることで新しい見方ができるし、あの作品をまた全然別のもののように楽しめるんじゃないかという期待があったからです。
なので、美術も軽い興味から足を踏み入れた人が、気軽に知りたい情報を得られるように、もっともっといろんな美術の情報を発信していきたいなと個人的に思っております。
ここまでお付き合いありがとうございました!
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