「One Small Step for Man」


小さな飛行船に乗り込もうとする1人の男
その男の小さな小さな一歩は
人類にとって壮大で偉大な一歩だった

世界中の期待と不安を背負って
ロケットは宇宙へ飛び立つ


大気圏に突入すると
ありえない轟音と振動に揺られ
細胞という細胞が不安や恐れを感じ取った


無事大気圏を出ると
息遣いさえ響いてしまいそうな静寂が広がっていた
そこにあったのは「無」であった


静寂と宇宙の美しさに息をするのも忘れ
自分が「ここ」に存在している事も忘れかけていた

地球に帰還する事まではあっという間で
それは一瞬の出来事であった

男は夢を見ていたのか
自分は現実に存在していたのか
その区別もつかなかった