過ごした時間と心
こんばんは。今年も3週間が過ぎました。長かったような短かったような...皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうか。地域にもよりますが、雪も降りましたし、肌寒い日が続きます。風邪も流行り始めたようです。お身体を大事にしてお過ごしくださいね。
今日は、最近観た映画や読んだ本のことを書こうと思います。昨年は映画の感想をあまり発表できなかったので、今年は観た映画については一言でも何か感じたことを書きたいなと、年初に思っていました。このnoteアカウントを開設したのは一昨年のことですが、投稿して来た記事を振り返った時に、当時の状況や抱えていた悩みや、楽しかったこと、頑張っていたこと、涙を流したことなどが思い起こされて、改めて自分の来た道を考える契機になると感じています。それだけでなく、オンラインに残しておけば、いつかどなたかが作品のタイトルで検索したり偶然感想記事を読んで作品を観てみることに繋がるかなとも思ったのでした。
しかしながら、最近、映画を観ていても文章がまとめられず、あまり感想を投稿できておりません。書き手としては自分の力不足を痛感しますが、ひとりの人間としては、観た映画からはそれぞれに大切なことを感じ取って、少しずつ自分の中の思考が耕され、過去や現在や将来に悩みながらも考えながら生活する内に、幾つかの或るテーマを巡って行きつ戻りつしながら成長して来たような気がします。これまでに手帳にペンで書きつけた文章を、時々頁を繰っては読み返して考えながら、どうも人様にお見せするものを書けないことの原因は、自分の中にある長年の未解決の問題なのだろうと感じています。
今日は、日記代わりに、自分の備忘録も兼ね、今年に入ってこれまでに観た映画や舞台や読んだ本の題名をリストにしておこうと思います。
1/6(月)
映画『ショーシャンクの空に』
ビデオ『ミッキーのクリスマスキャロル』
1/10(金)
映画『パターソン』
1/13(月)
キエフバレエ来日公演『白鳥の湖』全幕
1/14(火)
小説『西の魔女が死んだ』
(昨年から大切に少しずつ読み進め、この日に読み終えました)
1/15(水)
映画『アラジン』
映画『僕のワンダフル・ジャーニー』
1/16(木)
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』
映画『失くした体』
映画『銀河鉄道の夜』
読書中
『日日是好日』森下典子
『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』(原題: "The Bullet Journal Method")ライダー・キャロル著・栗木さつき訳
『舞台芸術の魅力』青山昌文・尼ヶ崎彬・鈴木晶・古井戸秀夫・森山直人
かつて、心血を注いで勤めた仕事を失い、失業保険が頂けることを知らず、食い繋ぐためにビジネスホテルやウィークリーアパートに泊まりながら日雇い労働に明け暮れていました。ビジネスホテルの階段で草臥れた身体を引きずりながら、ほんの数ヵ月前の自分と比べて坂を転がり落ちるような人生だと感じたことを、今でも覚えています。でも、その時にビジネスホテルや民宿の方々が親切にして下さったことも覚えています。お金を払っていても、色んなお客さんと接しておられる接客業の方々が、決められたサービス以上のことを自分からやって助けて下さったこととか、交わした言葉や、宿の中の調度、色、照明、その机で日記を書いたり仕事の予習復習をしたりしたこと...そんなことも、静かに目を閉じると記憶に残っています。その困窮の日々を辛くも突然脱することとなった2012年末頃から、自分の中からとめどなく湧く欲求に従って児童文学や古典小説や自然科学の専門書を読み耽っていました。働き、勉強し、身体の鍛練をし、介護も家事もし、大変でしたが、周囲の圧力に苦しみながらも自分の渇望のままに学び続けていました。
昨年、映画制作者向けのワークショップで、アミール・ナデリ監督が仰っていました。映画をのべつ幕無しに観るのではなく、自分自身の体験を大切にし、古典を読みなさい、と。それは、過去を背負って今生きている私が、直感的に今の自分にとって正しいと思い始めていた道でした。これについては改めて別途記事にしたいと思いますが、私にとっては映画鑑賞で得たものもあれば失ったものもあるのです。失ったものとは、心の原風景です。読書をしていて心に浮かぶ情景が、過去に自分の肉眼で観たものではなく、何かの映画で観たものではなかったか...と思うことが増えたのです。それまでは、本を開き書かれたものを想像する過程で、脳のどこかにしまいこんでいてとうに忘れていた風景が脳裡に蘇り、心の奥底に忘れていた大切な何かに出会ったり改めて考えたりする糸口となることが多かったのです。自分の体験を大切にして、創作意欲も学習意欲も漲っていたかつての私は、何処へ行ってしまったのでしょう。そのように思い悩むことが、昨年の下半期には多くなりました。
映画は沢山製作され、ひっきりなしに公開されていますが、今後は、しっかりと自分自身の手綱を握り、宣伝に流されずに観るものを厳選しようと思います。とはいえ、映画館に通い始めてからの約3年間、その内SNSを始めた1年間、偶然の出会いも楽しいものでした。芸術鑑賞と自分の内面の世界を構築して行くこととの関連は、考えてみるとそれ自体面白いものでもあります。今年は昨年と少しスタンスは変えますが、人としてしっかり成長して行けるように、また過去の傷と少しでも向き合えるように、努力して行きたいと思います。
こうして書き出してみると、色々と気付きがありました。1つ1つについて丁寧に文章を書くことも思考を深めてくれますが、こうして簡単に列挙してみることで、過ごした時間を俯瞰して捉えることができるなと感じます。どちらも大切な営みなのかもしれません。
今年は、味わった作品について、作品毎の感想文や、一定期間を総合して感じたことなどを、あまり意識し過ぎずに書いてみたいなと思います。小学生の時に書いていた感想文や高校生の時に書いていたコメンタリーなどは大変でしたが嫌いな行いではありませんでした。先生に恵まれたのかもしれませんが、指導されることも、他の生徒の書いたものを読むことも、自分とは異なるものの見方や表現や見事な構成などに出会えて面白かったです。大人になった今、指導して頂けないのも、教室に机を並べて書いて語り合うことができないのも寂しく感じますが、これからは大人として、自学自習し自らの興味関心を深めたり悩みと向き合ったり心を整理したりして行かねばならぬのでしょう。
将来できれば子供を育てたいですが、できたとしてもできなかったとしても恵みに与る他ないことですので、これからいつ何があっても年下の世代にとって邪魔にならず彼らの成長の助けとなる大人になれるよう、努力して行きたいと思います。読書や映画や舞台鑑賞は、私にとって、自分の抱えた悩みや不安と向き合い様々な角度から考えたり、日本社会や世界の知らないことに少しずつ接したりすることを通して、心を耕す営みのひとつなのかもしれません。
それでは、今日はこの辺で。おやすみなさい。