7月読書記録「ミスサンシャイン」「三島由紀夫とは何者だったのか」
「大女優の評伝を書くんです・・」と浅はかに嘘ついてしまう一心くん。。もちろん恋愛だってうまくいくはずもない・・第二次世界大戦後の大スター鈴さんの断捨離のお手伝いをしつつ一心くんも成長していくというお話・・ではなく、長崎に原爆が落とされたという歴史を改めて認識させてくれる深い物語だ。さらに亡くなった人への思いをどう抱えて生きていくかというテーマもある。重いテーマのはずなのにすごくキラキラした風景の中にいて読み続けている気分になっているのが心地よく、かっ不思議だ、すごくいい本を読んだなあという気持ち。最後、一新くんは、奥さんに鈴さんの話はしない、これでいいと思う。それがすずさんとの時間を大事にすることにつながる気がする。(一心くんの妹一愛さんは9歳で亡くなり、鈴さんの親友林佳乃子さんは原爆症で28歳で亡くなっている)。
「食べることは生きること、生きることは食べることよ」
「もし世の中に中心なんてものがあるとすればそりゃあなたのお母さまが作ったごはんよ」
「そういつまでも被害者ずらしなさんな」
p169「人の心ってさ、大人になってもよちよち歩きで、ゆっくりとしか歩けないんだよ。立ち止まって、迷って、でもゆっくりでもちゃんと前に進んでいく、それでいいんだよ
p172「いい映画の脚本にはさ、誰かの失敗した人生が書かれてあったのよ、必死に生きて、失敗した人の人生」「人生に、恋愛に、失敗した人たちの話。。人ってね、失敗した人からなにかを学ぶのよ
p239「恋心というのは嫌われたくないと思う気持ち、愛するというのは嫌われてもいいと思う気持ちじゃないか」
2017年購入したままほったらかしだった。。三島由紀夫は何者だったか。。①ヘンな人である。。という文に笑ってしまい読み始めた。幼いころ、「自分はどこから生まれたか知っている・・」と詳細に語ったそうで、周囲の大人に気味悪がられたそうだ、たぶんとても傷ついたのではないだろうか、そこから作家になる人生が始まったように思う。何者だったか、読者を信用しなかった人である、近代的知性の持ち主ですべてをひとりで引き受ける孤独な存在、生きた時代に忠実、嘘はつかない、優しい、ややこしい・・と作品の説明とともに教えてくれる、40代になり三島氏は老いを認めなかった、そして「物語を書く三島は物語の中の三島を守っていた」から「物語を書く三島は物語の中の三島に守られるようになる」と変化し・・最後を迎える。読むのに時間はかかったけど大変面白かったし、何冊かは作品を読んでみようと思う、難しいけど。
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