「バー『夢幻』」【声劇フリー台本】3人約8分
深夜の高級バー『夢幻』にあらわれた女は、赤い情熱のカクテルを頼んだ。 そして「究極のカクテル」とは…。
謎めいた、静かな物語です。(8分程度)
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元々は、StandFMのLive声劇のために、あてがきしたものです。
バー『夢幻』
作: カオルのAI工房
登場人物
Mr. K. :古風な高級バーのマスター。
燕:妖しい超自然的存在。語尾を男言葉に変更するのも可です。また、「燕」という名前は、演者によって変更してくださってもOKです。
赤の女:謎の美女
テキスト版
Mr. K.:また、この時間。時計の針は動いているのに、時間だけが止まったように...客足がふと途切れて誰もいなくなる。
燕:ふっ、今宵も静かねえ。
Mr. K.:ああ、燕、相変わらず現れ方が不気味だなあ。今日はろうそくの影から現れるのか。
燕:(くすくすと笑って)そういえば、この燭台も随分と古びたものね。でも、年月を重ねた分だけ...物語を宿すものなのよ。
Mr. K.:そうだな、深夜のバー「夢幻」にはお前のような…人ならぬ客しか訪れない。
燕:(軽やかに宙を舞いながら)あら失礼な!私だってれっきとした常連よ。それにオーナーのおまえがそれを言うの!一応、知る人ぞ知る高級バーでしょ。
(微笑んで)まあ、この場所が私の「巣」みたいなものだけれど。
Mr. K.:お前の巣にされてるから、閑古鳥が鳴くのか…
燕:今日は妙に物思いに耽ってるのね
Mr. K.:ああ、今日は、先代がいなくなった日…
燕:ええ、そうね。あの方は変わっていたよ
Mr. K.:先代は言っていた...「究極のカクテルは、時間と記憶を溶かし込む芸術だ」とね。
燕:記憶を溶かし込む...か。
Mr. K.:このボトル、1900年代初頭のコニャック。(グラスに数滴垂らして)この香りを嗅いでごらん。
燕:ああ...まるで、ベル・エポックのパリの社交場ね。紳士淑女たちのため息が、グラスの中で結晶になったよう。
Mr. K.:そう、先代の求めた「記憶のカクテル」の素材の一つなんだ。時を封じ込めた酒か。
燕:封じ込めてしまったら、時がかわいそうじゃぁない?
Mr. K.:ふっ、まあね。また雨か...こんな夜は変なものが紛れ込む。
効果音(ドアの開く音、ヒールの音)
赤の女:(艶のある声で)あら、いいバーね。時が止まったような
Mr. K.:お客様、申し訳ございません、もう閉店まじかでございまして
赤の女:ん~、素敵な香り...まるで、失われた時を集めたような
Mr. K.:よくお分かりで…。失礼しました
赤の女:あなたのカクテルを一杯だけ…いただけないかしら?
Mr. K.:(間)...かしこまりました。お好みをお聞かせくださいますか?
赤の女:赤いお酒をお願い。でも、(マスターの目を覗き込み)普通のカクテルじゃなくて...情熱の色をした、魂を震わせるような一杯がいいわ
Mr. K.:それは、あなたの情熱を一杯のグラスに満たし、飲みほしてみたい、と…?
赤の女:あらあら、何を見抜かれているのやら
Mr. K.:先代から教わりましてね、お客様の「渇き」は、ただの喉の渇きではないことも
燕:(警告するように)気をつけて。彼女は...普通の客じゃない。
赤の女:(優雅に立ち上がり)あら、バーの住人にも気付かれてしまったのね。
赤の女:(踊るように歩き出しながら)昔ね、あるバーテンダーがいたの。永遠の一杯を求めて、魂を注ぎ込んだカクテルを作った人...誰も見たことのない色をした一杯。
燕:おっと、Mr. K.、その女はどうも怪しい。
Mr. K.:(カクテルを作りながら) 燕...おまえ、何を疑ってるんだ
赤の女:私を見て。
効果音:(ここでBGMを変えるも可)
赤の女:今夜だけの特別な踊りよ。
Mr. K.:まるで...赤い薔薇が舞っているみたいだ。
燕:見入られないで、Mr. K.。あ奴はたしか...
赤の女:そして、彼はついに究極のカクテルを作ってしまった。でも、あまりにも完璧すぎて…。
Mr. K.:まさか、それは先代のマスター...?
赤の女:そ、その通り。私が最後のお客だったの。あの夜、彼が作った究極のカクテルを前に...
(間)
彼は選んだのよ。永遠の芸術になることを。
燕:あ、思い出した、アンタは!
赤の女:遅いわ。Mr. K.、あなたも既に究極のカクテルにとらわれている。
赤の女:これなのね、あなたが私のために作った赤いカクテル、あなたの記憶が溶けているわ。一緒に飲まない?
燕:駄目よ、Mr. K.
Mr. K.:嗚呼、もしかして、おまえは...?
赤の女:もう気付いているでしょう? 彼の目指していたカクテルは、私と一緒に飲むことによって、ついに究極のカクテルとなったのよ。
Mr. K.:そんな...
赤の女:そして彼はいなくなった。
赤の女:さ、あなたも選びましょう。このグラスの中には、あなたの記憶が溶けているわ。一緒に飲まない?この時が止まったようなバー「夢幻」で、最高の、そして最期のカクテルを…
Mr. K.:...先代は、幸せだったのですか?
赤の女:それは、あなたが自分で知ることになるでしょう。さあ(笑)
Mr. K.:ああ、ああ、溶けちまった記憶たちに...乾杯を
(間)
燕:(諦めたように)そして、また一人、夢の住人が増えるってわけね...
燕:人間って面白いわねぇ。
音声版
Stand.fm https://stand.fm/episodes/67698ef5a9d6e0101437248f 40:40 より
コンテンツについて
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